ポルシェ、BMW、プジョーが『ドライバー3名体制義務』に反対を表明。トヨタ技術首脳は「強い意見はない」

2024年9月4日(水)16時58分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦しているポルシェ、BMW、プジョーのマネジメント陣は、シリーズが来年からの導入を検討している『すべてのレースで3名のドライバー・ラインアップを義務付ける』という提案に、反対を表明した。


 ACOフランス西部自動車クラブ会長のピエール・フィヨンは以前、WECのレースでで2名のドライバーで構成されるラインアップを禁止する規則の導入を「検討中」であると述べていた。


■「ルールを変更する意味が分からない」


 2名体制のクルーは今シーズン増加しており、チップ・ガナッシ・レーシング、プロトン・コンペティション、ハーツ・チーム・JOTA、プジョーなどが、年間を通じてさまざまなタイミングでこの策を採用している。


 ポルシェ・ファクトリーLMDhのディレクター、ウルス・クラトルは、1台の車両あたりのドライバー数の決定は規則に制約されるのではなく、チームの手に委ねられるべきだという意見を表明した人物のひとりである。


「これは私個人の意見だが、ただポルシェとしても、ドライバーがふたりか3人かは、OEMやチームの裁量に任せるべきだと思っている」とクラトルはSportscar365に語った。


「ルールで義務付けられるべきものではない。いまの(規則の)ままで、各陣営は好きなことを何でもできる。2名体制だからといって、安全上重要な問題とはならない。我々は6時間レースの話をしているのであって、10時間や24時間レースの話をしているわけではない。だが、レース時間がどうあれ、それぞれのチーム次第だ」


「ルールブックで意味があるのは、運転(時間)制限だけだと思う。ドライバーに関するルールには、これ以上のことは書くべきではない」」


 Sportscar365は、ACOによるこの提案が、今週後半のワーキング・グループ会議で議論されるものと理解している。


 クラトルと同様のコメントは、BMW Mモータースポーツディレクターのアンドレアス・ルースからも聞かれた。ルースは「それは間違いなくチームに任せておくべきだ」と述べ、3名のドライバーを義務付けると、メーカーやチームが他のレースとの日程バッティングに対処するのが難しくなると指摘した。


 現状では、2025年のWECのカレンダーは、GTPクラスを含む1ラウンドを含むふたつの週末でIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のスケジュールとバッティングすることになっている。また、ベルリンでのフォーミュラEラウンドは、7月のWECサンパウロ6時間レースと同じ週末に開催される。


「とりわけ、来年もまたIMSAとWEC、そしてWECとフォーミュラEのカレンダーがバッティングする状況下では、なおさらだ」とルースは述べた。


「一部のチームが、もっとも重要な耐久レース選手権と、フォーミュラEとWECプログラムの間でドライバーを共有していることは明白だ」


「日程重複がある限り、バッティングがあるという理由だけでチームやメーカーが追加のドライバーを雇うのは、いずれにしても難しいことだろう」


「したがって、最終的には、2名か3名かというのは、チームに任せるべきだと完全に同意する」

20号車BMW Mハイブリッド V8をドライブするロビン・フラインス、シェルドン・ファン・デル・リンデ、レネ・ラスト


 プジョーは、今年の第3戦スパ・フランコルシャン6時間レースで、ジャン・エリック・ベルニュとストフェル・バンドーンがフォーミュラEとのバッティングでレースに出られなくなったため、1台あたりのドライバーを2名へと減らしたメーカーのひとつだった。


 テクニカルディレクターのオリビエ・ジャンソニーは、その解決策を「非常に巧妙」で「良い妥協案」と評し、今後も選択肢として残しておきたいと付け加えた。


「我々の解決策は、規則を現状のままにすることだ」と彼は語った。


「それを推進しているのは我々だけではない。フォーミュラEのドライバーが自分たちのために走るという問題を抱えているチームは、他にもある」


「我々にとって、スパで採用した解決策は非常に巧妙で、良い妥協案だった。規則はそのままにしておきたいと思う」


「通常のレースでドライバーが3名いる場合、誰かひとりに何か不測の事態が生じたら、おそらくCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)を除いて、ふたりのドライバーで走行することになるだろう」


 ジャンソニーは「ルールを変更する意味が分からない」と付け加え、変更を行うにはメーカーの過半数の同意が必要になるだろうと予測した。

93号車プジョー9X8 2024WEC第6戦オースティン


 一方、トヨタGAZOOレーシング・ヨーロッパのテクニカルディレクター、デビッド・フルーリーは、この件について質問されたとき、ACOの提案に関して「強い意見はない」と認めている。


「そこには、賛否両論がある」と彼は言った。


「6時間レースで、それほど暑くない場合は、おそらくふたりのドライバーだけでレースをする方が良いだろう」


「だが、カタール、バーレーン、(COTA、)ル・マンでは3人のドライバーが必要となるので、1レースごとに変更するのは(好ましくない)。そしてル・マンに備えるためには、安定性がある方が良い」

総合2位となった7号車トヨタGR010ハイブリッド 2024WEC第6戦オースティン


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