『ポルシェLMP1-98』ワークスエントリーも不発に終わった“Cカー再利用”プロト【忘れがたき銘車たち】

2024年9月4日(水)7時17分 AUTOSPORT web

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは1998年のル・マン24時間レースを戦った『ポルシェLMP1-98』です。


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 1995年、ポルシェはアメリカのIMSAシリーズに設けられていたWSCクラスに参戦するため『TWRポルシェWSC-95』というレーシングカーを生み出した。


 この『WSC-95』は、かつてグループCカーレースにおいて驚異的な速さを見せた『ジャガーXJR-14』というマシンを使い、それをオープンプロトタイプカー化した。


 そのマシンに『ポルシェ962C』というグループCカー用の3.0リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンである935/83型を搭載した、いわば名車の再利用から生まれたマシンだった。


 しかし、この『WSC-95』はポルシェがWSCクラスの突然の規定変更に抗議するかたちで撤退したため、レースには参戦することはなかった。


 お蔵入りとなるかに思われたが、この『WSC-95』にポルシェ系名門プライベーターであるヨーストが目をつけてポルシェから手に入れ、1996年と1997年のル・マン24時間レースへと参戦。すると2年連続でポルシェワークスが送り込んだGT1カーである『ポルシェ911 GT1』を退けて、総合優勝を達成したのだった。


 その翌年である1998年。ポルシェは2年連続でル・マン総合優勝を手にしていたヨーストをワークスとして扱い、陣営入りさせ優勝に向けて必勝体制を築いた。その結果、『WSC-95』と名乗っていたマシンは『ポルシェLMP1-98』と名を変えた。


 シャシーやボディはほぼ変わらなかったが、エンジンを同年にポルシェワークスが走らせたGT1カーである『911 GT1-98』と同じ水冷3.2リッターツインターボエンジンへと換装。トランスミッションも911 GT1-98と同じ6速シーケンシャルミッションを与えられた。


 これによってリヤセクションが『911 GT1-98』とほぼ同じになり、ポテンシャルアップを果たすかに思われたが、マシンバランスが悪化。


 結局、ル・マン本戦では2台ともリタイアに終わってしまう。その一方でポルシェは『911 GT1-98』は総合優勝を達成するという戦果も残していた。


 そしてこのル・マンをもって“WSC-95”は一線を退いたとともにポルシェワークスとしても長き休眠へと入ることになるのだった。

1998年のル・マン24時間レースを戦ったポルシェLMP1-98の7号車。ミケーレ・アルボレート、ステファン・ヨハンソン、ヤニック・ダルマスがドライブした。


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