王者盤石のブンデスリーガ展望。長谷部誠ら日本人は定位置確保で期待大

9月4日(水)7時17分 Sportiva

 開幕から、すでに3節を消化したドイツ・ブンデスリーガ。9月2日までの移籍市場も終了し、各チームも徐々に今季を戦うチームの容貌を見せつつある。今回は、3節終了時のバイエルンとドルトムントの2強を中心に、上位に顔を出すと予測される注目チーム、そして日本人選手所属の2チームの行方を予想してみよう。


補強も順調で今季も優勝大本命のバイエルン

 ブンデスリーガ7連覇中のバイエルンは、昨季が終了する前に、すでに2人のフランス代表若手センターバックの獲得を発表し、チームの内外に”世代交代”を推し進める姿勢を打ち出していた。アトレティコ・マドリードからやって来たリュカ・エルナンデスは推定8000万ユーロ(約90億円)、バンジャマン・パバールは推定3500万ユーロ(約40億円)という大型補強だ。これまでドイツ代表の支柱として活躍してきた2014年ブラジルW杯優勝メンバーで、影響力も大きかったマッツ・フンメルスとジェローム・ボアテングの後継者として、2018年のロシアW杯優勝メンバーを据えた。

 今夏は、ドイツ代表レロイ・サネの獲得で大手メディアの関心を誘っておき、その間にブラジル代表のフィリペ・コウチーニョ、クロアチア代表イバン・ペリシッチの獲得を水面下で進めていたことには驚かされる。これまでドイツ国内で嘲笑の対象となってきたスポーツディレクターのハサン・サリハミジッチも評価を一変させた。的確な補強で、昨季2冠を達成したチームにさらに攻撃のオプションとロッカールーム内の平穏をもたらした。第3節ではマインツにホームで6−1と、上昇カーブを描いている。

 チームの不安要素があるとすれば、二コ・コヴァチ監督のクラブ内の評価だろう。これまで2頭体制を築いてきたウリ・ヘーネス会長とカール=ハインツ・ルンメニゲCEOだが、ヘーネス会長は職を辞すことが決まっている。その後釜には、敏腕経営者に転身した元ドイツ代表GKの”タイタン”ことオリバー・カーンが就任する。

 ルンメニゲCEOが、コヴァチ監督に懐疑的な目を向けているという話は継続的にメディアに挙がる。自身を支持するヘーネス会長の後ろ盾を失ったコヴァチ監督は、大きなプレッシャーに晒されながら、ミスが許されないシーズンを過ごすことになる。

 昨シーズン2位のドルトムントは、オフシーズンの早い時期に、立て続けに大型補強を大々的にアナウンスし、推定1億ユーロ(約120億円)を超える補強を行なった。ドイツ代表左サイドバックの二コ・シュルツ、同じくドイツ代表のオフェンシブハーフを務めるユリアン・ブラント、そしてベルギー代表ウイングのトルガン・アザールに加えて、バイエルンからマッツ・フンメルスが復帰した。

 昨シーズンは、一時2位バイエルンとの勝ち点差を9まで広げたものの、下位チームに勝点を取りこぼし、優勝のチャンスをみすみす逃した。バイエルンで”勝者のメンタリティー”を培った経験豊富なフンメルスを補強したのは、そのためだ。ドイツのサッカー専門誌『キッカー』のインタビューで、フンメルスは「”勝者のメンタリティー”をチームにもたらすことが、自分に課した目標だ。バイエルンは、40年もの間、そのメンタリティーを維持してきた。ドルトムントに、その姿勢を定着させることが目標だ」とライバルクラブとの差を詰めようとしている。

 だが、第3節では昇格組のウニオン・ベルリンに敵地で1−3の完敗。炎天下のなか、是が非でも勝利を狙うウニオンの気迫の守備に得点を重ねることができず、一瞬のスキを突かれ、3失点。悪いクセが再び顔を出した。

 フンメルスは、「苦しいときに平静でいること、そして自身の役割を落ち着いて全うすることが、サッカーの巧さなんだ」と開幕前に話していた。だが、まさか第3節を終えて正念場が訪れるとは、自身も思いもよらなかっただろう。国際Aマッチウィーク明けの連戦のなかで、チームの反発力が試される。

 第3節を終えて首位に立ったのは、RBライプツィヒ。開幕戦でウニオン・ベルリンに4−0で快勝すると、フランクフルト、ボルシアMGといった難敵との接戦を制して3連勝。契約延長したばかりのドイツ代表ストライカーのティモ・ヴェルナーを筆頭に、ハイプレッシングなサッカーで、2016−17シーズンのブンデスリーガ1年目から在籍する選手が主力として活躍している。

 今季は、ドイツ屈指の手腕を誇る若手監督のユリアン・ナーゲルスマンが就任。ホッフェンハイムでは攻撃的なサッカーで、ヨーロッパ中のエキスパートの注目を集めた。ホッフェンハイムでは、再三チャンスを作りながらも決定力不足に泣いてきただけに、点取り屋の存在の大きさを誰よりもわかっている。エースのヴェルナーの残留は大きいだろう。第3節のボルシアMG戦では、そのヴェルナーが3発の大活躍。監督と選手のいずれも、互いに相性の良さを感じさせた。

 また、パリ・サンジェルマンからクリストファー・エンクンク、エバートンからアデモラ・ルックマンなど若手の有望株を獲得し、バックアップも高いレベルを維持している。UEFAチャンピオンズリーグ、代表戦といった過密日程をやり繰りできれば、最後まで優勝争いに絡んでくる存在だ。

 ドイツの移籍サイト「トランスファーマルクト」で実質リーグ4位の市場価値(推定4億1310万ユーロ/約516億円)を誇るのが、レバークーゼンだ。

 昨季途中から就任したオランダ人ペーター・ボシュ監督の下、攻撃的なサッカーで再びUEFAチャンピオンズリーグ圏まで躍進した。世界的コンツェルン「バイエル製薬」が背後にいるだけに、経営面ではリーグ屈指の安定感を誇る。ヨーロッパの舞台に出場することを目標に予算を組む様子が見て取れるので、本気で優勝を狙える陣容とは言いづらいが、実力者を要所に揃えている。

 今季はホッフェンハイムから、2人のミッドフィルダーを獲得。ドイツ代表のテクニシャンで、クラブの司令塔だったケレム・デミルバイを推定3200万ユーロ(約40億円)、ドイツU−21代表で東京五輪の有力選手のナディム・アミリを推定900万ユーロ(約11億2500万円)で獲得した。19歳でドイツ代表に定着した”天才”カイ・ハヴェルツを軸に、魅力的な中盤を形成する。

 日本人選手2名が所属するフランクフルト。ドイツ屈指のセンターバックとして定着した長谷部誠を中心に、中盤から後方では、昨季の骨組みを中心に、ウイングバックのエリック・ドゥルムや中盤のドミニク・コーアなど実力者のバックアップメンバーを獲得し、選手層も厚くなった。

 昨季センセーションを起こしたルカ・ヨビッチはレアル・マドリード、セバスティアン・アレーはウエストハムへ移籍。そして、アンテ・レビッチもミランへの移籍が決定し、前線は総入れ替えとなる。

 だが、長谷部が「見違えた」と評価する鎌田大地は、ベルギーのシントトロイデンから復帰後、トップ下の”10番”として覚醒。存在感を発揮している。新加入のオランダ人ストライカーのバス・ドストも、第3節で早々に得点を決めるなど調子は上向きだ。

 予選を勝ち抜き、ヨーロッパリーグの出場権も獲得。昨年の快進撃をもう一度再現すべく、士気は高い。昨年の経験を活かし、リーグ戦でも昨季の成績を上回れるか期待される。

 ブレーメンは、昨季まで主将を務めたエースのマックス・クルーゼが抜けたことで、日本代表アタッカーの大迫勇也に期待がかかる。

 フロリアン・コーフェルト監督は、大迫の能力を高く評価しており、今季の攻撃は大迫を軸に組み立てられると地元紙も予想している。今季スタートは守備陣にケガ人が続出し、安定した成績を残せていない(6得点8失点)。だが、第3節のアウクスブルク戦では大迫が2発の大活躍で今季初勝利に貢献、”エース”の地位を確立しつつある。

「トランスファーマルクト」のチームの推定市場価格では、11位(1億6498万ユーロ/約206億円)のブレーメン。昨季、ヨーロッパリーグ出場権が視野に入ったときは、地元の番記者たちも驚くほどの成長を見せた。今季の現実的な目標は、順位表の上半分に入ることだろう。

 ここまで見て、今季のブンデスリーガのタイトルレースは、バイエルンが本命。毎年、チーム内外のゴシップが出てくる10月下旬、11月上旬の難しい時期を乗り切れるかどうかがカギとなる。対抗としてドルトムント、ライプツィヒが2番手として追う展開。熾烈な競争となるのは、今季もUEFAチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの出場権を争う3番手、4番手のグループになりそうだ。

 日本人選手は、長谷部誠、鎌田大地、そして大迫勇也がそれぞれ所属クラブでレギュラーの座を獲得。ケガさえなければ、主力の座を失うことはないだろう。国際Aマッチウィーク以降は、UEFAの大会の本戦も始まり、いよいよ今季も本格的に動き出す。白熱のタイトルレースになることを期待したい。

Sportiva

「ブンデスリーガ」をもっと詳しく

「ブンデスリーガ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ