【注目選手】“速いだけの選手”で終わらせない…伊東純也、覚悟と決意を胸に新たな挑戦へ
2018年9月5日(水)6時30分 サッカーキング
日の丸から遠ざかっていた約9カ月間の間に、指揮官が2度交代した。西野朗前監督に率いられた日本代表が2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を果たした、先のワールドカップ・ロシア大会はファンの一人として、MF伊東純也はテレビの前で必死になって応援した。
そして、U−21日本代表の森保一監督が4年後のカタール大会へ向けて、A代表の監督を兼任することが7月末に決まった。先月30日に発表されたチリ代表(7日・札幌ドーム)、コスタリカ代表(11日・パナソニックスタジアム吹田)と対峙する注目の初陣、キリンチャレンジカップ2018へ臨む新生日本代表の中に、柏レイソルが誇るスピードスターは再び名前を連ねている。
「やっぱりみんなが目指す場所だと思うので。そこに入れたということで、結果にこだわりながら頑張っていかなきゃいけないと思っています」
3日から札幌市内でスタートした代表合宿。初日の練習を終えた森保監督は、J1を3度制したサンフレッチェ広島監督時代の基本システムで、U−21代表が準優勝した先のアジア競技大会でも採用した[3−4−2−1]を、A代表でもベースにすると明言した。
招集された23人の顔ぶれからも、U−21代表と同じコンセプトが描かれていると察することができた。しかし、東京五輪世代の冨安健洋(シント・トロイデン)をはじめ、センターバックタイプが大勢名前を連ねる一方で、ウイングバックを務められる選手が少ない。
例えば右ウイングバック候補は、DF登録の中では室屋成(FC東京)くらいだろうか。そこでクローズアップされてくるのが、50mを5秒8で駆け抜けるJリーグ屈指の韋駄天、伊東となる。
「サイドならば仕掛けるという意味で得意な場所なので、そこで自分の良さを出せればいいかなと思います。ただ、ウイングバックはあまりやったことがなくて。(ヴァンフォーレ)甲府の時はシャドーが多かったので、いろいろと聞きながらやっていきたいと思っています」
森保流の[3−4−2−1]のウイングバックに求められるのは、タッチライン際で何度も上下動を繰り返し、攻守両面で試合に絡んでいく仕事となる。爆発的なスピードを誇る伊東は縦への突破だけでなく、相手ボールになった時の素早い帰陣をも個人で完遂することができる稀有な存在と言っていい。
神奈川・逗葉高校から神奈川大学、甲府、そして柏へと昇り詰めてきたサッカー人生で、自分自身に対して「速いだけの選手とは思われたくない」と常に言い聞かせてきた。サイドアタッカーとして開花した柏では、突破した後のプレーに左足からのシュートを含めた「柔らかさ」を融合させて、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督を「違いを生み出せる選手だ」と唸らせた。
A代表デビューを果たした、昨年末のEAFF E−1サッカー選手権大会では全3試合に出場。右サイドから仕掛けるスピードを生かして、韓国代表との最終戦では先制点となるPKを誘発した。しかし、その韓国戦で喫した1−4の逆転負けとともに、伊東の挑戦も小休止を余儀なくされた。
「チーム自体もよくなかったし、しょうがないのかなと。結果がすべてだと思うので」
右サイドバックの小池龍太とともにJ1全25試合で先発出場を果たし、貪欲に「結果」を追い求めてきた今シーズンの戦いの過程で手にした代表の座。4年後へつながる爪痕を残すために——。新たなポジションへ挑む覚悟と決意を伊東はその胸中に同居させている。
文=藤江直人
そして、U−21日本代表の森保一監督が4年後のカタール大会へ向けて、A代表の監督を兼任することが7月末に決まった。先月30日に発表されたチリ代表(7日・札幌ドーム)、コスタリカ代表(11日・パナソニックスタジアム吹田)と対峙する注目の初陣、キリンチャレンジカップ2018へ臨む新生日本代表の中に、柏レイソルが誇るスピードスターは再び名前を連ねている。
「やっぱりみんなが目指す場所だと思うので。そこに入れたということで、結果にこだわりながら頑張っていかなきゃいけないと思っています」
3日から札幌市内でスタートした代表合宿。初日の練習を終えた森保監督は、J1を3度制したサンフレッチェ広島監督時代の基本システムで、U−21代表が準優勝した先のアジア競技大会でも採用した[3−4−2−1]を、A代表でもベースにすると明言した。
招集された23人の顔ぶれからも、U−21代表と同じコンセプトが描かれていると察することができた。しかし、東京五輪世代の冨安健洋(シント・トロイデン)をはじめ、センターバックタイプが大勢名前を連ねる一方で、ウイングバックを務められる選手が少ない。
例えば右ウイングバック候補は、DF登録の中では室屋成(FC東京)くらいだろうか。そこでクローズアップされてくるのが、50mを5秒8で駆け抜けるJリーグ屈指の韋駄天、伊東となる。
「サイドならば仕掛けるという意味で得意な場所なので、そこで自分の良さを出せればいいかなと思います。ただ、ウイングバックはあまりやったことがなくて。(ヴァンフォーレ)甲府の時はシャドーが多かったので、いろいろと聞きながらやっていきたいと思っています」
森保流の[3−4−2−1]のウイングバックに求められるのは、タッチライン際で何度も上下動を繰り返し、攻守両面で試合に絡んでいく仕事となる。爆発的なスピードを誇る伊東は縦への突破だけでなく、相手ボールになった時の素早い帰陣をも個人で完遂することができる稀有な存在と言っていい。
神奈川・逗葉高校から神奈川大学、甲府、そして柏へと昇り詰めてきたサッカー人生で、自分自身に対して「速いだけの選手とは思われたくない」と常に言い聞かせてきた。サイドアタッカーとして開花した柏では、突破した後のプレーに左足からのシュートを含めた「柔らかさ」を融合させて、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督を「違いを生み出せる選手だ」と唸らせた。
A代表デビューを果たした、昨年末のEAFF E−1サッカー選手権大会では全3試合に出場。右サイドから仕掛けるスピードを生かして、韓国代表との最終戦では先制点となるPKを誘発した。しかし、その韓国戦で喫した1−4の逆転負けとともに、伊東の挑戦も小休止を余儀なくされた。
「チーム自体もよくなかったし、しょうがないのかなと。結果がすべてだと思うので」
右サイドバックの小池龍太とともにJ1全25試合で先発出場を果たし、貪欲に「結果」を追い求めてきた今シーズンの戦いの過程で手にした代表の座。4年後へつながる爪痕を残すために——。新たなポジションへ挑む覚悟と決意を伊東はその胸中に同居させている。
文=藤江直人