アジア最強クラブ・名古屋オーシャンズとアジア最高の選手・吉川智貴。彼らはなぜ、最強で最高なのか?/Fリーグ

9月6日(金)22時0分 AbemaTIMES

 現在開催中のバスケットボール・ワールドカップ、まもなく開幕するラグビー・ワールドカップ、それに2022年サッカー・ワールドカップのアジア予選や世界陸上……世間はスポーツの秋、真っ只中。

 上述した競技は、バスケは中国、ラグビーは日本、サッカーはアジア各地、世界陸上はドーハ(カタール)と、いずれの開催地もアジア。まさに「アジアで輝く日本人アスリート」が最旬の話題だ。

 フットサルの世界でも、アジアの舞台でとてつもない輝きを放った選手がいる。フットサルの日本最強クラブ・名古屋オーシャンズでプレーする吉川智貴だ。彼は、3年ぶり4回目のアジア制覇を達成した8月の『AFCフットサルクラブ選手権』において、堂々の最優秀選手賞(MVP)を獲得した。

 サッカーでいえば、『AFCチャンピオンズリーグ』(ACL)に置き換えられるこの大会で無類の強さを誇った名古屋と、その最大の功労者と評価された吉川。彼らの真髄とは何なのだろうか。

シンプル・イズ・ベストこそが最強のスタイル

 日本最高峰のフットサルリーグ・Fリーグで、12シーズン中、9連覇を含む11回の優勝を誇り「絶対王者」と呼ばれる名古屋は、国内では敵なし。ただし、アジアで勝つことは決して、簡単ではない。フットサルの場合、サッカーのACLとは大会規模が異なるものの、前身のアジアクラブ選手権時代を含めた過去37回のACLで日本勢の優勝が7回しかないことが、ちょうどアジアと日本の立ち位置を示している。

 フットサルのクラブ選手権は、ベンチ登録できる外国人が、Fリーグでは3人のところ1人しか認められないため、名古屋の強力な助っ人3人のうち1人しか帯同させられないことや、わずか10日間で最大6試合を戦う超過密日程(しかも名古屋は、大会初戦の4日前にリーグ戦を戦っている)など、どのクラブも同様の条件とはいえ、大会を制覇するためのハードルが決して低くはないことは明らかだ。

 しかし、名古屋は今大会、予選で前回大会覇者のイランのクラブと同組になりながらも、3連勝で首位通過を果たして、準々決勝、準決勝と勝ち上がっていった。そして決勝で再びイランのクラブと相見えると、苦戦を強いられながらも、最後は実力で押し切って、文句なしの全勝優勝で大会を制してみせた。

 言葉にすると簡単そうに聞こえるが、これは相当な偉業だ。

 イランを2回も倒して優勝したことは、勢力図を塗り替える可能性のある出来事だからだ。フットサルにおけるイランは「アジアの盟主」と呼ばれ、ずっとトップを走ってきた国である。日本代表は、AFCフットサル選手権(アジア選手権)で過去15大会中3回優勝しているが、それ以外の12回はすべてイランが制してきた。それくらい、イランは強い。

 では名古屋はなぜ、そのイラン撃破を含めて、今大会で強さを発揮できたのか。

 大会を視察したブルーノ・ガルシア監督は勝因を「チーム力」と語り、吉川も「チーム力が他チームを上回れた」と振り返っていた。そうした意味から、監督やスタッフ、選手を含めた全員でつかんだ優勝だろう。

 ただし、もっと端的な表現をするなら、彼らの勝因は「質の高さ」にほかならない。

 名古屋は日頃から、相手の意表を突くような難しいことはしない。あくまでもシンプルかつていねいに、力強くプレーする。前任のペドロ・コスタ監督時代も、現在のフエンテス監督になってからも、そのシンプル・イズ・ベストな戦い方に変化はない。彼らのプレーは、「フットサルの教科書」そのものなのだ。

 全員の基礎技術が高く、正確で素早いパスやトラップ、ボールコントロール、ダイレクト、シュート技術、相手の裏を取るフェイク、味方を助けるフリーランニング、攻守の切り替えの早さ、ディフェンスの強度、タイミング、共通理解……あげればきりがないほどに、彼らは“フットサル”に忠実なプレーを見せる。

 その上で選手個々の武器を発揮して、チャンスを作ったり、ゴールを決めたり、決定機を防いだりして“プラスアルファ”を体現できる。しかもそれを、いつ、どこで、どんな場面でも出せる。相手の戦い方や、試合の展開、ピッチに立つ選手の組み合わせに関係なく実行できる安定感があるからこそ、強いのだ。

 今大会を通して、外国人枠の1人として参戦したペピータが圧倒的なパフォーマンスを披露。ゴールを量産して、チームに大きく貢献した。そのプレーは傑出していたが、MVPはペピータではなく吉川だった。そこに真髄がある。

「MVPは自分一人の力で取れるものではない。自分はゴールゲッターではないし、そういった(分かりやすい結果が見える)ポジションではない中で、こういう賞をもらえることはないので非常にうれしい」

 吉川は大会後、クラブメディア『インサイド・オーシャンズ』内のインタビューでそう話した。彼が話している通り、吉川のプレーは決して派手なものではなく、一見すると“分かりづらい”ものかもしれない。ただし、名古屋の選手がいつも「トモキは本当にすごい」と口をそろえるほど、チームへの貢献度が高い。

 スペースを作ったり、相手の動きを制限したり、ボール奪取のお膳立てをしたり、すべてのプレーで味方を助け続けているのだ。先に「名古屋はフットサルの教科書」と触れたが、その意味で吉川は、名古屋どころか日本でもっとも質の高い選手である。何か一つが突出しているのではなく“すべて”が突出している。

「僕はオールAの選手を目指しています」

 そう話していたのは5年以上も前のことだが、吉川は今、オールAどころか「オールS」になりつつある。つまり、吉川がMVPを獲得したことは、名古屋のスタイルそのものが賞賛されたことを意味している。

 速く、強く、正確に。シンプル・イズ・ベスト。名古屋と吉川は、だから最強で最高なのだ。

文・本田好伸(SAL編集部)
(C)AbemaTV
 

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