山下健太のWECデビュー戦はクラス7位。「レースというより、フリー走行のロングランみたい感じ」

2019年9月6日(金)6時45分 AUTOSPORT web

 TOYOTA GAZOO Racing WECチャレンジドライバー、山下健太の初陣が8月30日〜9月1日、イギリス・シルバーストンで行われた。WEC世界耐久選手権のLMP2クラスに初参戦した山下は、ハイクラス・レーシングの33号車オレカ07・ギブソンを駆り、第1戦シルバーストン4時間レースをクラス7位/総合12位でフィニッシュした。


 トヨタ・ヤングドライバー・プログラムの一環として、2019年からスタートしたTGR WECチャレンジ。その育成ドライバーに選ばれたのが現在、スーパーGT GT500クラスと全日本スーパーフォーミュラ選手権の国内トップカテゴリーに参戦している山下だ。


 今回のWEC2019/2020年シーズン開幕戦シルバーストンは、山下にとって初めての海外シリーズというだけでなく、将来のLMP1シートを獲得するという挑戦に向けた第一歩となった。


 レースウイークの月曜に渡英した山下は翌日の火曜から2日間、現地のシミュレーター施設で今戦の舞台であるシルバーストンをはじめ、今後のシリーズ戦で実際に走ることになる各国のサーキットを走行。その後、木曜にサーキット入りし7月末のバルセロナテストと同様に、チームメイトやエンジニアたちとコースを歩いて周り、縁石や走行ラインなどを確認した。


 走行初日となった金曜、翌日の公式予選を担当する山下はフリー走行2回目で新品タイヤを履いて予選シミュレーションを実施すると、クラス首位とわずか0.021秒に迫る2番手タイムをマークしてみせた。


 しかし、迎えた予選ではクルマに問題が発生。山下は跳ねが収まらない症状を抱えたままのクルマで、そのままアタックに入ることに。「まったく満足できないラップでした」というタイムは1分41秒931と振るわず。チームメイトのアンダルス・フィヨルドバッハとの平均タイムは1分42秒414となり、クラス6番手で決勝を迎えることとなった。


「今回は開幕戦なので、とにかくレースをきちんとフィニッシュしたい」と気持ちを切り替えて臨んだ決勝。青空で迎えたスタートから一転、ブリティッシュウィザーに見舞われたレースにおいて、山下の出番はふたりのチームメイトの走行後、レース折り返し過ぎにやってきた。


 山下がマシンに乗り込んだのは雨上がりの路面が乾き始めたタイミングだった。33号車オレカ07はこの時点で1周遅れのクラス6番手となっていたが、「コースインした時に縁石はまだ濡れていましたが、走行ラインは完全ドライでした。その後、縁石も使えるようになってからのペースは悪くなかったのでそれはよかったです」と言うように、上位陣と遜色のない1分45秒台のタイムで周回を重ねていく。


 しかし、自身の第2スティントでは、オーバーステアの症状に悩まされてペースを上げられず。また、リヤタイヤのみを交換した第3スティントでも改善はみられず最終的には、チームメイトが犯したセーフティカーラン中の追い抜きに対するペナルティも受けたことでクラス7位でのフィニッシュとなった。


■「2周目からガクンとグリップが落ちて、オーバーステアがひどくなった」と山下健太


山下健太駆るハイクラス・レーシングの33号車オレカ07・ギブソン
予選日、前日の好タイムのご褒美としてカナードに日の丸がデザインされた。


 自身初参戦となったWECでの戦いを終えた山下は「正直なところレースをしたというより、フリー走行のロングランみたいに、ひとりで淡々と走っていた感じです」とコメント。


「ただ、ほぼ2時間走り込めたので、GTEとの間合いだったり、LMP1クラスがどれくらい速いかがかわかったのは収穫でした。また、今回の1番の目的だったアクシデントやトラブルなく走るという目的は達成できました。チームの皆さんに感謝します」


 次戦の富士6時間レースに向けては、「富士は、ここ何年かほぼ毎週と言っていいぐらい走り込んでいるサーキットなので、チームを引っ張っていくぐらいの気持ちで戦います」と自信をみせた山下。


「できれば表彰台を争いたいという気持ちもありますが、まずはしっかりと自分の仕事ができるように頑張ります」と抱負を述べている。


 世界に羽ばたき始めた若武者の次なる戦い、10月4〜6日に行われるWEC第2戦の舞台は母国日本。トヨタ育成ドライバーである山下が、慣れ親しんだ富士スピードウェイで躍動する姿が期待されるところだ。

レース序盤から中盤にかえてブリティッシュウェザーがサーキットを襲った
ハイクラス・レーシングは昨シーズンまでヨーロピアン・ル・マン・シリーズを戦っていたデンマークの中堅チームだ。
山下健太は決勝122ラップ中、約半分の58周を走行し貴重な経験を摘んだ。
ハイクラス・レーシングの(左から)アンデルス・フィヨルドバッハ、マーク・パターソン、山下健太


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