英国人が見たサウジアラビア戦「今後本田の先発は難しい」「W杯ではほとんどが日本より強い」

9月6日(水)10時25分 フットボールチャンネル

「山口と柴崎に注目」「原口のようなウィンガーは本当に助かる」

日本代表は5日、ロシアW杯アジア最終予選でサウジアラビア代表とに0-1で敗れた。すでにW杯出場権を獲得している日本だが、どんなパフォーマンスだったのだろうか。イングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

——

ーー日本代表のスターティングメンバーが発表されました。先週のオーストラリア戦から4人変更となっています。ショーンさんが注目する選手はいますか?

「山口蛍と柴崎岳は注目ですね。オーストラリア戦のときは長谷部誠の存在感があった。彼がいなくなったことがチームにどのような影響を与えるのかは気になる」

ーー前線の3人は全員入れ替わりました。彼らにはどんなことを期待しますか?

「たぶん前からプレッシングするよりサイドから反撃することになると思います。そして本田圭佑と原口元気だけじゃなくて、酒井宏樹と長友佑都も攻撃のポイントになって、岡崎慎司にたくさんクロス入れると思う」

ーーサウジアラビアはW杯出場権を獲得するため勝たなければいけない状況です。どのような戦い方が予想されるでしょうか。

「得失点差は関係なくなったので、1点でもとって勝利すれば十分。そんなに前がかりにはなってこないと思います。だけど、できるだけ早く先制を点取りたいので、立ち上がりは少し攻めてくるかもね」

ーースタジアムを埋める6万人のホームの大声援もすごそうですね!

「そうでうね。でも引き分けのままの時間が長くなれば、それはプレッシャーになるかもしれない。逆に日本は全くプレッシャーがないので、その雰囲気を楽しめるね」

ーー試合が始まりました。立ち上がりはオーストラリア戦と同じようにかなりアグレッシブですね。

「このペースが続いたら面白いゲームになりそう!」

ーー原口はすごく気合いが入っているように見えます。

「原口は冬に移籍したいからかもしれないね(笑)。今日は長友もよく上がっている。サイドバックにとって原口のようなウィンガーは本当に助かるよ」

ーー逆サイドの本田はあまり目立っていません。

「本田は良い意味でも悪い意味でも、まだあまり目立ってないね」

ーー柴崎はいかがですか? ここまでは攻撃だけでなく、守備でも成長した姿を見せているのではないでしょうか。

「ハリルホジッチ監督からは守備の時も下がるけど、攻撃のリズムを作ることを求められていると思う。彼は非常に上手い選手だと思うので、もし自信があったら良いアクセントになれるね」

ーー注目していたもう1人、山口のパフォーマンスはいかがですか?

「カバーリングも良いし、よく試合の流れを読んでいる。ここまで彼のポジショニングはいい。彼の今日の役割はボールを持っていないところにあって、主に守備のカバーリングですので、攻撃にはあまり絡まないと思う」

「本田の判断力やパス精度はいつものレベルではない」

ーー給水タイムに入りました。最長3分間のようですが、意外に長いですね(笑)

「やっぱり暑そうだね。3分以内となっていましたが、少し延長されていたかもしれない(笑)」

ーー前半は0-0で終了しました。勝つために先制点が欲しいサウジアラビアにとって、前半は嫌な展開だったのではないでしょうか?

「いや、ここまでは満足じゃないかな。もちろん早く先制点が欲しいだろうけど、カウンターで惜しいチャンスを作ったので、後半も同じような戦い方を続けると思う。ただ、スピードはあるけど精度はあまり高くなかったね」

ーー日本の戦いぶりはいかがでしたか?

「予想通りでしたね。攻撃したけど、常に守備の意識も持っていました。日本にとっては勝ち点1で全く問題ないし、リスクをとる必要はない。もしもカウンターからゴールできればいいけど、前がかりになる必要はないですね」

ーー後半、本田が浅野拓磨と交代しました。確かに良くなかったと思いますが、本田はハリルホジッチ監督の信頼を失ってしまったのでしょうか?

「それもあるかもしれませんが、コンディションが良くなくて、サイドはベストポジションではない。判断力やパス精度はいつものレベルではなかった。このフォーメーションならインサイドハーフがベストだと思う」

ーー惜しいチャンス! サウジアラビアのGKにギリギリで止められてしまいました。そのあとのカウンターも危なかった…。

「原口の守備意識はすごかったね。浦和レッズにいた頃とは別人みたい。本当にありえないくらい成長した。これほどタフな選手になるとは全く思わなかった。僕の地元のブライトンに移籍したいのかな(笑)」

ーー川島永嗣も素晴らしいセーブを見せました! カウンターから長友が振り切られてビッグチャンスを作られましたが、1対1を見事な飛び出しで阻止。そしてドヤ顔も出ました(笑)

「あのセーブはすごかった! 足だったね。ピーター・シュマイケルみたいだった。オーストラリアのファンは川島のことが大好きになるかもしれないね(笑)」

ーー先ほどからペットボトルのようなものがスタンドから投げ込まれていますね。とても危険です。

「そうですね。今もまた投げられた! 日本人選手はこの厳しい環境に慣れないといけない」

ーーだんだんスタジアムの観客が熱くなってきています。

「ゲームもサポーターもヒートアップしているね!」

「失点はコミュニケーションミス」「本田の先発はもう難しい」

ーーここでまさかの失点! サウジアラビアに先制点を奪われてしまいました。

「マークがよくなかったね…」

ーー19番の選手の外に逃げていく動きについていけず、フリーでシュートを打たせてしまいました。DFのブロックも追いつかず…。

「本人たちもわかっているみたいだね。この失点の原因はセンターバックのコミュニケーションミスだと思う」

ーーサウジアラビアサポーターの雰囲気も変わってしまいました。

「すごく勢いがあるね!」

ーー交代で杉本健勇が日本代表デビューを飾りました。彼はこの流れを変えられるでしょうか?

「難しいね…。アウェイでビハインドという状況もあるし、杉本はこのレベルでプレーしたことがないので、インパクトを残せるかわからない」

ーーゴールはもちろんですが、杉本にはどんなプレーが求められるでしょうか?

「ポストプレーも大事ですね。チームメイトが攻撃に参加できるよう、ボールをキープしなければなりません。全くボールが入らないのが問題ですね」

ーー先制したサウジアラビアの勢いに少し押されてしまっていますね。

「そうですね。日本は勝ち点0でもW杯に行けますが、サウジアラビアは勝ち点3を取らなければW杯には行けない。それがモチベーションにつながっていると思う」

ーー浅野が入って明らかに右サイドは良くなりました。本田にはもともと縦に仕掛けるスピードはないですが、パスやボールキープでも価値を証明できなかったとすれば、もう代表では戦えない選手になってしまう…。

「そうですね。これから本田の先発出場は難しくなると思います。だけど、23人の中でならまだ絶対に役割がある。あのような経験がある選手、落ち着いてプレーできる選手も必要だからね」

ーー柴崎に代わって久保裕也が入ります。2年ぶりの招集でしたが、柴崎のプレーはいかがでしたか?

「今日は本当に良かったね。でも今は得点が必要なので、その面では久保の方が危険な選手」

ーー後半は日本がボールを持つ時間が長くなって、全然うまくいかなくなってしまった感じがします。サウジアラビアがあえて日本にボールを渡してきたような…。いまのチームは3年前と違ってオーストラリア戦のようにカウンターを狙う試合展開の方がやりやすそうです。

「日本はボールを持つ時間が長くなったら強い相手を崩すのは難しいけど、素早くボールを奪ってからカウンターを狙ったら点を取れる可能性が高まるね」

ーー残り5分ほどです。日本はどのように戦えばいいでしょうか?

「もしもセットプレーからチャンスがあったらね。それしかないと思う」

ーーあっ…また誰か倒れました! そして今度はGKが靴ひもを結んでいる…。得意の時間稼ぎが始まりましたね。

「アディショナルタイムは7分くらいかな(笑)。よろしくはないけど、これもサッカーではあるよね。え…アディショナルタイム4分だけ!? 短いね…ひどいな…」

「試合内容は悪くなかった」「香川の方が本田より可能性がある」

ーー結局0-1のまま試合終了となりました。残念ながら日本代表は最終予選2敗目です。試合全体を振り返っていただけますか?

「まあ、悪くなかったね。結局お互いのモチベーションが違ったので、サウジアラビアの方が攻めました。今日の結果は日本にとってあまり大事ではなかった」

ーー素晴らしい試合だったオーストラリア戦から、結果が大事ではなかったとはいえ、選手を変えて戦って、うまくいかなかったことは問題ですか?

「いいえ、問題ないと思います。サウジアラビアはホームであまり負けないので、非常にタフなカードだからね。もちろん負けたくなかったけど、試合内容は全体的に悪くなかった」

ーーサウジアラビアはここ数年、ホームで勝率6割を超えています。アウェイでは勝率5割を切っているのに…。

「そんなに違うのはすごいね! 別のチームみたい(笑)」

ーーサウジアラビアは3大会ぶりのW杯出場を決めました。試合内容の印象はいかがでしたか?

「少しルーズでしたね。正直に言えばW杯ではあまり期待していない。攻撃は面白いけど、チームのバランスはあまり良くない」

ーー2002年の日韓W杯でボコボコにされていたのはよく覚えています。

「ドイツに0-8だったよね? 来年はそんなに悪くならないだろうけど、難しいと思う」

ーー日本は負けましたが、W杯には出場できます。残された時間で解決すべきことは何でしょうか?

「相手にボールを持たせる新しいスタイルをブラッシュアップしないといけないね。W杯では4分の3くらいのチームは日本より強いので、オーストラリア戦のようなパフォーマンスがもっと必要になると思います。そして守備は戦術やフォーメーションよりも選手個々の判断力や集中力が重要ですね」

ーーもしオーストラリア戦のような戦い方をする場合、本田や香川に居場所はあるでしょうか? 香川は今回の2試合に出場できませんでした。

「難しいですね。香川の方が本田より可能性があると思います。インサイドハーフでね。香川は素早くチャンスメイクできるからね。本田のスタイルはそんなにスピーディではない。プレッシングでも、ボールを奪ってからの攻撃でもスピードが重要です」

ーーでは最後に、この予選を通じて見続けてきた日本代表の総括をお願いします。

「全体としてチームは成長してきたと思います。少しずつ『ザックジャパン』から『ハリルジャパン』に進化してきました。原口や久保、浅野、井手口のような経験が少ない選手や若手も大きく貢献できたので、これからも楽しみにしています!」

ーー朝早くまでありがとうございました! 

「『お疲れ』より『おはよう』の方がふさわしいかもね(笑)。でもお疲れ様でした。おやすみなさい!」

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年、イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

フットボールチャンネル

W杯をもっと詳しく

BIGLOBE
トップへ