ギリシャの女神、ヌービルに微笑む。最終SSでオジエがまさかのクラッシュ、ヒョンデが1-2-3/最終日レポート
2024年9月8日(日)20時51分 AUTOSPORT web
9月8日(日)、2024年WRC世界ラリー選手権の第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』のデイ3はスペシャルステージ13から15が行われ、ヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合優勝を飾った。そして、2024年シーズンから新たにポイント付与の対象となった日曜日のみの総合順位“スーパーサンデー”は同じくヒョンデのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が首位となり、7ポイントを獲得している。
日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、クラス8位/スーパーサンデー5位で大会を終えた。
デイ1、デイ2とともにリタイアやアクシデントによる失速が相次いだ今大会。いよいよ迎えた最終日は、3本のスペシャルステージ(SS)で争われ、全ステージの総走行距離は54.05km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は208.96kmだ。
■日陰の区間が泥まみれに
土曜日の晩に雷雨が降ったこともあって路面状態に不安が残るなか、この日最初のSS13『イノホリ』(17.47km)が8時59分にスタートした。気温24度、晴れ空のもとで始まったSS13は、幸いにもドライコンディションが保たれており、先頭走者の勝田からアタックへと向かう。
しかし、滑りやすいグラベルの量もかなり多く、タイムは走行が進むにつれて徐々に向上。最終的にセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がベストタイムをマークし、2番手にはティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が続く日曜日の開幕となった。
一方、その後ろで走った総合2番手につけていたダニエル・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)は、31.9秒遅れの8番手発進となったことで総合3番手にダウン。あと2ステージを残して、オジエが総合2番手に浮上した。この時点で首位のヌービルとの差は1分15秒6だ。
続くSS14は、ループステージの『エレフテロホリ1』(18.29km)。勝田からアタックを開始していくが、先ほどとは異なって大きな水溜りが残る部分や、日陰では土が湿って泥になっている箇所も多いトリッキーなコンディションとなっていた。
各車は突然の酷路に対峙しながらも、確実性を優先した走りで無事に完走。ここではオジエがふたたびステージウインをあげ、スーパーサンデーのリードを13.0秒に拡大した。さらに、ヌービルは13.2秒遅れの6番手タイムとなり、かわりに僚友オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)がスーパーサンデー2番手に浮上する。
■最後まで続くサバイバル。WRC2は同タイム決着に
大会最後のSS15は先ほど走った区間の再走となる『エレフテロホリ2』(18.29km)で、各車はサービスパークでのミッドデイサービスを経てラストアタックへ向かう。このステージは、上位5台のクルーおよびマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる『ウルフ・パワーステージ』に指定されている。
午前は湿り気を帯びたエリアが厄介なステージとなったが、クルーらはSS14での感覚を頼りにボーナスポイントのかかるSS15に挑んだ。
最終ステージは、WRC2クラスの車両からのアタックとなるため、カエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)からコースイン。計4台のWRC2クラスの後に、最高峰クラスは勝田からアタックを開始した。
午後の再走ではややコンディションが改善したようで、各車はペースが向上する。その影響もあってか勝田もコース序盤でパンクが発生したりと最後までサバイバルな展開となり、4台を残した時点では観客救護のために約30分の中断も挟んだ。セッションは無事に再開され、タナクからコースイン。
しかし、その後方でドラマが起きた。先ほどの中断でリズムが狂ったか、コースインしたオジエが1.6km地点でまさかのクラッシュ。クルーは無事が確認されている。
最終的なベストタイムはアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)がマークしており、ボーナスポイントの5点を手にしている。
これで、開幕から大荒れとなったWRCギリシャはついに決着。選手権首位のヌービルが最後まで完璧にギャップをコントロールし、自身初タイトル獲得への勢いを手繰り寄せる今季2勝目を飾った。1分36秒8差の2位にソルド、さらに1分20秒5差で3位にタナクが浮上し、ヒョンデの3台が表彰台を独占する結果となった。
また、日曜日のみの総合順位で決まるスーパーサンデーは、リードしていたオジエがクラッシュを喫したことでタナクが制した。2位はヌービル、3位はエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)となり、以下7位まで選手権ポイントが付与されている。
WRC2クラスは、大会初日から繰り広げられたサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー2)とロベルト・ヴィルヴェス(シュコダ・ファビアRSラリー2)の争いが続き、最終日も互いのタイムを超え合う争いを披露。28.5秒差で迎えた最終ステージでは、パヤリが左フロントホイールにダメージを受けてしまい、ヴィルヴェスに対してまさかの28.5秒遅れでフィニッシュ。最終的には、最初のステージでより速いタイムを刻んでいたパヤリの勝利となり、今季3勝目を挙げた。2位のヴィルヴェスと17.3秒差の3位にはヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)がつける表彰台となった。
2024年WRCの次戦『ラリー・チリ・ビオビオ』は、南アメリカ大陸の西側に位置し、太平洋に面する国チリの大自然を舞台に行われるグラベルラリーだ。2019年に初めてWRCが開催され、今回が3度目のWRC開催となる。2024年シーズン最後のグラベルラウンドとなる第11戦は、9月26日(木)から29日(日)にかけて開催される予定だ。
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