トヨタ、WRCアクロポリス・ラリー初日を全車が走破。難関グラベルに向け「グリップ改善に努めた」

2022年9月9日(金)14時30分 AUTOSPORT web

 2022年のWRC世界ラリー選手権はシーズン終盤戦に突入。後ろから数えて4戦目となる第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』が9月8日、ギリシャの首都アテネで開幕した。王者としてタイトル防衛を目指すTOYOTA GAZOO Racing WRTは今戦も3台体制を敷いて参戦し、初日はカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合8番手、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合10番手、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組は総合15番手となっている。


 また、TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合18番手でデイ1を終えた。


 昨年、8年ぶりにWRCの一戦として開催されたアクロポリス・ラリー・ギリシャは、数あるWRCイベントの中でも非常に長い歴史を誇るグラベル(未舗装路)イベントだ。2年連続の開催となる今大会は、中央ギリシャの山岳地帯に広がるグラベルステージが戦いの主な舞台となる。


 大会初日の8日は競技を前にサービスパークが置かれるラミアの北側エリアでシェイクダウンが行われ、ここではラッピがチーム内最上位となる5番手タイムを記録した。その後、選手たちはラミアの南東へ約200km離れたアテネへと移動し、現地20時過ぎに始まったSS1“オリンピック・スタジアム”に挑んだ。


 ステージ名からもわかるとおり、このSSは2004年に開催されたアテネ五輪のメイン会場が使われており、アテネ・オリンピック・スタジアム内に登場した全長1.95kmの特設ターマック(舗装路)ステージが戦いの舞台となった。


 スタジアムを埋め尽くす群衆が見守るなかで行われたスーパーSSで、トヨタ勢はロバンペラが首位から1.5秒差の総合8番手に。チームメイトのラッピはコンクリートバリアに車体を擦りながらもトップと1.8秒差の総合10番手につけた。


 エバンスは総合15番手、勝田も総合18番手と沈んだがタイム差はそれぞれトップから2.8秒、3.5秒と僅差だ。


「オリンピック・スタジアムというアテネの象徴的な場所で、会場いっぱいの観客に見守られ、素晴らしい雰囲気のなかでラリーをスタートすることができて本当にうれしく思う」と語るのはTOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表。


「昨日はギリシャの首相をお乗せしてGRヤリスでステージを走ったが、テクニカルなコーナーがありながら、道幅はそれほど狭くなかったので、走っていて楽しかったし、ファンにとっても最高のショーになるだろうと思っていた」


「ただし、明日から始まるグラベルステージに向けて、クルマをセットアップするのは簡単なことではないし、我々にとってはそれが今回の焦点だ」

シェイクダウンで陣営最上位の5番手につけたエサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ
アテネ・オリンピック・スタジアムを舞台にした、2台同時走行のスーパーSSで競技がスタートした


■デイ2は苦戦が予想されるロバンペラ「想像していた以上に大変なことになると思う」


「明日のフルデイ初日は、チャレンジングな1日になると思う」とラトバラ。


「とくにルートラキのステージはルーズグラベルが多いので、出走順がトップのカッレ(・ロバンペラ)にとっては困難なステージになるだろう」


「シェイクダウンが終わった後、我々はドライバーたちのためにクルマのグリップレベルを改善しようと努力した。今回の戦略はトラブルを避け、タイヤの摩耗を賢くコントロールすることがメインだが、それが奏功していい順位を得られることを願っている」


 アテネでのラリー初日を戦いを終えたTOYOTA GAZOO Racing WRTドライバーのコメントは以下のとおりだ。


●エルフィン・エバンス(#33 トヨタGRヤリス・ラリー1)/デイ1総合15番手


「このようなスタジアムの中で走るのは初めてだったので、オープニングステージは少し新鮮だった。正直なところ、とても難しくてあまりいい走りではなかったけど、大勢の観客が集まっていたし、ラリーのスタートとしてはいい環境だったと思う。明日からは荒れたコンディションのグラベルでの戦いが始まるので、とても対照的だ」


「朝のシェイクダウンは、路面はかなりスムーズだったけどグリップが低く、少し苦労した。そのため改善作業を進めた。それがシェイクダウンというものだからね」


「明日は昼間のサービスがなく、1回しか走らないステージが多いため、順出走順による路面コンディションの違いが大きな影響を及ぼすだろう。金曜日はいい位置につけ、土曜日にしっかり戦えるようにしたいと思っている」


●カッレ・ロバンペラ(#69 トヨタGRヤリス・ラリー1)/デイ1総合8番手


「SS1はスタジアムが人で埋め尽くされ、すごい雰囲気だった。皆さんにとっては良いショーになったのではないかと思う。ドライビングはあまり楽しめなかったけど、今までで最高にクールなステージのひとつだったよ」


「シェイクダウンでは、1回目に走行したときに難しく感じられ、明日同じようなコンディションの道を出走順トップで走るのは、想像していた以上に大変なことになると思う。望んでいたようなグリップが得られなかったので、チームと一緒に最大限の努力をし、明日に向けて準備を進めた」


「明日は5本のステージを出走順トップで走行しなければならないので、タフな1日になるだろう。路面が多くのルーズグラベルで覆われている、今回のラリーでもっともトリッキーになりそうなステージもあるんだ。とにかく長い1日になると思うけど、タイムロスを最小限に抑えるためにベストを尽くして戦っていくよ」


●エサペッカ・ラッピ(#4 トヨタGRヤリス・ラリー1)/デイ1総合10番手


「スタジアムのステージは、以前から自分にとってあまり相性が良くなかったのだけど、観客がたくさん集まり、いい雰囲気を味わうことができたので、ラリーのスタートとしては格好のステージだったと思う」


「(バリアへの接触に関しては)ブリッジを越えた直後のブレーキングでホイールを完全にロックさせてしまった。けれどクルマは大丈夫だったし、ダメージも外側だけだと思う」


「面白いイベントになりそうだし、自分にとってはきっと今シーズンもっとも大変なラリーになるだろうと思っている。シェイクダウンのステージはとても滑りやすかったし、明日は今回のラリーの中でもとくにラフな1日になりそうだ。ただし、実際のところ、このような低速でラフな路面のラリーとの相性はこれまで悪くない。クルマのことも考えて走らなければならないので、いつもとは少し違う戦略をとる必要があると思っている」



エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ



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