前日のトップ3が脱落する大波乱のデイ3。サバイバルと化したWRCギリシャでヒョンデ勢が1-2-3

2022年9月11日(日)10時48分 AUTOSPORT web

 9月10日(土)に行われたWRC世界ラリー選手権第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』のデイ3は大荒れの展開に。セバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)をはじめとする前日のトップ3が揃って脱落したほか、さまざまなアクシデントが選手たちを襲う“サバイバル”の様相を呈した1日となったなか、ヒョンデ・シェル・モビスWRTのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が新たなラリーリーダーとなっている。日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手だ。


 ギリシャのラミアを中心にSS8からSS13まで、合計6本のSSで争われた今季第10戦のデイ3は今大会最長の1日。コンディションは1日を通してドライに保たれ、気温は40度近くにまで達した。


 デイ2にステージベストを4本記録し、総合首位で競技3日目を迎えたMスポーツ・フォードWRTのローブは、この日もSS8で2番手タイムを記録する好スタートを切ったかに見えた。しかし、続くSS9を前にしてオルタネーターのベルトが破損。コドライバーのイザベル・ガルミッシュとともにロードセクションで30分以上を費やして修復にあたったが、健闘むなしくデイリタイアとなってしまう。


 9度のワールドチャンピオンから1.7秒差の総合2番手で競技3日目に入ったピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)にも試練が待ち受ける。彼はオープニングのSS8で滑りやすい路面に苦戦。約20秒をロスし総合3番手に順位を落とした。さらに、続くSS9では左フロントタイヤを側溝に落とした際にタイヤがパンクし、フェンダーにも大きなダメージを負ってしまう。これらのアクシデントにより7番手までポジションを落とすこととなった。


 Mスポーツ勢が揃って脱落するなか、SS9でベストタイムを記録して総合首位に躍り出たヌービルは、続くSS10とミッドデイサービスを挟んで行われた午後のSS11も制す安定した走りを披露する。残るふたつのステージについても4番手、2番手タイムで走破した彼は、総合2番手につけた僚友オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)に27.9秒の差をつけ首位でデイ3を終えている。


「僕たちにとって素晴らしい1日だった」とラリー1カーでの初優勝を狙うヌービル。


「午後はマシンにトラブルが発生して少し大変だったけど、何とか乗り切って今ここにいる。バッテリーの電圧に関するアラームが出たが、大丈夫そうだ」


■選手権首位のロバンペラがクラッシュ


 SS8でベストタイムを記録したタナクは、ルーベが脱落したSS9で総合2番手に順位を上げたが、午前中最後のステージとなったSS10でエサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1)に逆転を許し3番手にポジションダウン。その後、僅差での2番手争いが続くなかでラッピのクルマに燃料供給系のトラブルが発生し、SS12でデイリタイアとなったことから総合2番手の座を取り戻している。


 ラッピの脱落によって総合3番手にはダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)が浮上。これによりヒョンデ勢が残り1日となった時点でワン・ツー・スリー体制を築くこととなった。ふたたび集結した“ヒョンデ艦隊”を追うのはTGR WRTのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)だ。彼は首位からは1分ちょうどの後れを取っているが、3番手ソルドとは7.1秒差であることから、最終日での逆転ポディウムを狙う。


 デイ3序盤に大きく遅れたルーベはトップから2分40秒遅れながら総合5番手でフィニッシュ。初日にパンクで後れを取った僚友クレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)が約1分差で6番手に続く。勝田はそこから54秒遅れての総合7番手となっている。総合8番手はWRC2リーダーにつけるエミル・リンドホルム(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)だ。


 選手権リーダーのカッレ・ロバンペラは、総合9番手で迎えたSS9でクラッシュを喫しトヨタGRヤリス・ラリー1のリヤを壊してしまう。それでも競技を続行した彼は日中のサービスで復活したマシンで午後の3SSを走り切り、総合19番手でデイ3を走破している。


 一方、Mスポーツのガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)は、総合6番手を走りながらSS11でマシントラブルが発生しデイリタイアに。また、母国戦に臨んだジョルダン・セルデリディス(フォード・プーマ・ラリー1)も、同じくSS11で電気系トラブルによりデイリタイアを余儀なくされた。


 都合4台がリタイア、さらに2台がアクシデントで順位を落とす波乱の1日となったデイ3を終えたアクロポリス・ラリー・ギリシャは11日(日)に最終日を迎える。デイ4は、ラミアのサービスパークを中心にSS14から3本のステージをミッドデイサービスを挟んで走行する。今戦も最終ステージ(SS16)はパワーステージに設定されており、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる。3本のSSの合計距離は45.06km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は208.88kmだ。

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