【今宮純のキャッチポイント】F1シンガポールGPは、FP2を制することが優勝への第一関門

2017年9月12日(火)7時30分 AUTOSPORT web

セーフティカー導入率100%のナイトレース
FP2を制することが優勝への第一関門

 ヨーロッパ・ラウンドを2連勝で締めくくり、首位奪還に成功したルイス・ハミルトン。順風満帆で向かう第14戦シンガポールGPだが、昨年ここからのアジア・ラウンド3戦では“逆風”に苦しんだ。シンガポールGP3位、マレーシアGPリタイア、日本GP3位。ニコ・ロズベルグに初戴冠を許す敗因となったのがここだった。


 決して、マリーナ・ベイ・ストリート・サーキットが苦手ではなかったはずだ。だが、2016年も15年もフリー走行すべて一度もトップに立てなかった。非常に珍しい。別人のような走りに終始した彼は、「1周をまとめることができなくて……」とこぼした。最速メルセデス・マシンに乗るハミルトンに何があったのか。


 ポールポジションのロズベルグから0.704秒落ち、大差の予選3位はショッキング。セクタータイムを揃えられず、何度もブレーキングが乱れ、ダニエル・リカルドに2位を奪われた。


 このコースには23ものコーナーがある。そのほとんどが低速ショートコーナーと直角ターンで構成されている。コースサイドをまわっていて気になったのは、セクター1のターン1〜4とセクター3のターン16〜20だ。複合コーナーで流れがブツブツと断続気味、速い突っ込みの後に抜け出しが乱れ、修正が多い。いつもの安定したリズムが感じられなかった(チャンピオンに失礼多謝)。


 このコースでチームメイトと大きく異なるセッティングに振ることは考えにくい。研ぎ澄まされたブレーキングでコーナーを切っていくハミルトンなのに、切れ味が良すぎてかえってオーバーアクションに……(?)。


 元祖ナイトレース、今年で10回目の“夜更かしシンガポールGP”。金曜FP2は20時30分から、土曜予選は21時から、日曜決勝は20時スタートだ。気温条件など、FP2時間帯が唯一の“シミュレーションタイム”になる。ひときわ重要なこのセッション、こういうデータがある。


 16年最速ロズベルグ(→1位)、14年最速ハミルトン(→1位)、11〜13年最速ベッテル(→1位)、08年最速フェルナンド・アロンソ(→1位)、過去9年で6回FP2トップの彼らが制している(勝率約66.7%)。


 金曜FP2ナイトセッションで今年、ハミルトンがトップタイムを出し切れるかに注視したい。


■今宮純が厳選するF1シンガポールGP 6つの見どころ


■キャッチポイント1
セーフティカー(SC)導入率100%オーバー、複数回出番の年もある。ハミルトンはしばしば無線で「SCペースが遅すぎる!」と訴える。今年はマシンスピードが上昇、全力疾走のSCがスローに感じるのは分かるが、ここではその速度差が他よりさらに大きくなるだろう。23コーナー・レイアウトなのでSCペースはおよそ平均100km/hプラス、最終セクターはもっと下がる。それだけに“タイヤ温度マネージメント”は難しく、リスタート直後のターン1はチャンスとピンチの交差点になるはずだ。


■キャッチポイント2
ピレリはソフト側3スペックを供給。そのなかの一番硬いソフトを2セット選択したのは、ハミルトンとセバスチャン・ベッテル、パスカル・ウェーレインの3人だけ(他者は1セット)。また中間スーパーソフト1セット選択はベッテルだけ、ふたりはソフトをどう使うか。

2016年F1シンガポールGP セバスチャン・ベッテル

■キャッチポイント3
鬼門を挙げるならターン18、海沿いにあるスタンド下の左直角コーナー。毎年オーバーラン多発、止まれそうで止まれない狭き関門。


■キャッチポイント4
テレビ画面では明るく映るが、高速道路下なので街明かりがなく、実際はかなり暗いセクター3。ここで定点観測していて印象的なのはレッドブル。昔はベッテル、昨年はリカルドが予選最速、彼らの“勝負セクター”だ。


■キャッチポイント5
エステバン・オコン、9月17日が21歳のバースデイ。ここで完走すれば、新人デビュー全23戦100%完走記録に。ちなみにハミルトンとベッテルは現在18戦完走中。 
 
■キャッチポイント6
モンツァでは今年初めてトップ5チーム10人がそろい踏み入賞、中間チーム勢は食い込めなかった。ここを重点レースに定めるマクラーレン、昨年はサーキットに訪れた八郷社長の前で、アロンソが7位入賞を記録した。今年、直近ライバルとなるのは話題のトロロッソか──。

中団チームとしてポイント獲得を狙うカルロス・サインツJr.


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