ラリー北海道もトヨタ1-2。優勝のラトバラは「かなりポジティブ」とGRヤリス・ラリー2の投入に自信

2023年9月12日(火)17時20分 AUTOSPORT web

 9月8日から10日にかけて、北海道帯広市を中心に、2023年シーズンのJRC全日本ラリー選手権第7戦『RALLY HOKKAIDO(ラリー北海道)』が開催され、TOYOTA GAZOO Racingから今大会にスポット参戦したヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン組(トヨタGRヤリスJP4ラリー2)が優勝を飾った。


 チームメイトとして同じくJN1クラスに出場した勝田範彦/木村裕介組(トヨタGRヤリスJP4ラリー2)が総合2位となったことによりTGRチームは、同じ週末に行われたWEC世界耐久選手権とWRC世界ラリー選手権でのワン・ツーに先んじて、今シーズン初となるワン・ツー・フィニッシュを達成している。


 前戦のラリー・カムイで、勝田がドライブするGRヤリスJP4ラリー2が全日本ラリー初優勝を飾ってから2カ月後、ふたたびラリー2プロトタイプが北海道のグラベル(未舗装路)ステージで躍動した。主役となったのは元WRCトップドライバーで現在はTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)を率いるラトバラ代表だ。


 かつて帯広・十勝エリアで開催されたWRCラリージャパンに出場した経験を持つラトバラは、同じくラリージャパン参戦経験があるハンニネンとの“おなじみのペア”で今大会に出走すると、初日から抜群のペースを発揮。全8本のSSでベストタイムを記録し、2番手につけた勝田に1分52秒ものギャップを築く。


 ウエットコンディションでのスタートとなった最終日のレグ2も全4ステージ中、SS10を除く計3本で最速タイムを刻み、さらにリードを拡大する。結局ラトバラは僚友の勝田に2分16秒4の大差をつけてラリー北海道を制し、全日本ラリー初参戦初優勝を達成した。


 因縁の北海道で“3度目の正直”を果たしたラトバラは、「また北海道に戻ってくることができ、優勝できて最高の気分だ」とイベント後に語った。


「2006年に帯広で行われたラリージャパンでは、グループNクラスで優勝争いをしていたけれど、最終日にコースオフをしてしまったし、その翌年は勝利に向けて戦っていたところで、またしてもコースオフしてしまった」


「今回、3度目にして優勝できたことは非常にうれしいよ」


「車両の全体的な感触は、かなりポジティブだ。来年、この車両をラリー2として正式投入することに向けて、自信を深めることができた。カスタマーにとっては非常に素晴らしいクルマになるはずだ」

ワン・ツー・フィニッシュを飾ったTOYOTA GAZOO Racing 2023年JRC第7戦ラリー北海道
難しいコンディションとなったSSS“イケダ”を果敢にアタックする勝田範彦/木村裕介組


■勝田範彦「世界を感じながら走っていた」


 総合2位表彰台を獲得しチームのワン・ツー・フィニッシュに貢献した勝田は、ラトバラの参戦が刺激になったと述べるとともに、再戦を望んだ。


「ラリーの前に、ラトバラ代表と合同でテストをしました。お互いの横に乗って色々と教わったのですが、実際に乗ってみると、ドライビングが自分のイメージに残るので、とても良かったと思います」と語った勝田。


「ラリーでは、どんな路面でもしっかりとタイムを出してくるので、世界の壁は非常に厚いなと。そういう部分で“世界”を感じながら走っていた気がします」


「もちろんプレッシャーはありましたが、ラトバラ代表とワン・ツー・フィニッシュを達成できたのは非常に嬉しかったですね。一緒に走れたことは大きな刺激になりましたし、参考になりました。また来年も来てほしいなと思います(笑)」


■DAT搭載車両がグラベルラリー初参戦


 DAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)搭載車両をグラベルラリーに初投入して今大会に臨んだ眞貝知志/安藤裕一組(トヨタGRヤリスGR4ラリーDAT)は、変速を車両に任せるDレンジでの走行にトライ。しかしSS2でのアクシデントによってリタイアに終わった。そのため実戦で試す機会は少なかったものの、挙動の違いを確認することができたほか、現時点での課題も見えたという。


「今回、DATを初めてグラベルラリーでの実戦に投入しました。SS1は自動で変速作業をするDレンジで、SS2は途中までドライバーが操作するMレンジで走り、それぞれの走り味の違い、クルマの挙動の違いを確認することができました」と眞貝。


「Dレンジのままでも気持ち良く走れることが分かりましたし、一方で、『もう少しこういうタイミングでギヤが変わってほしい』という課題も見えました。リタイアとなってしまいましたが、今後に活かせるデータが少しは得られたかと思います」


「次戦はまたターマックラリーに戻りますが、今回見えた課題はターマックラリーの仕様にも織り込めると思っています。トランスミッションの制御がとても進み、楽しく走れるようになっていますので、次戦もDレンジで走りたいと思います」


 TOYOTA GAZOO Racing WRJの豊岡悟志チーム監督は今季第7戦を次のように振り返った。


「ラトバラ代表のすごさにあらためて驚きました。スピードはもちろん、ラトバラ代表とハンニネン選手のラリーに取り組む姿勢ですね。チームメンバーにも丁寧に声をかけてくれますし、ファンサービスの振る舞いなど、その人柄に魅了され、とても勉強になりました」


「勝田選手はラトバラ代表のペースに追いつこうと一生懸命走ってくれました。多くのプレッシャーがあるなか、しっかりと完走を果たす姿はさすがだなと。一方でリタイアをしてしまった眞貝選手には申し訳なく思っています。ラリーでは日常茶飯事とも言える程度のダメージで走れなくなってしまうようではいけません。あらためて詳細を検証し、解決すべき部分だと思っています」


「また、今回はモリゾウさんの全日本ラリーを盛り上げようという想いで特別なラリーになったと思います。ラリーショーやデモランなど、全体の雰囲気が盛り上がりましたし、来ていただいた皆さんにもモリゾウさんの想いが伝わったのではないでしょうか」

2023年ラリー北海道では、モリゾウとユハ・カンクネンによるデモランも行われた。
優勝したヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン組(トヨタGRヤリスJP4ラリー2) 2023年JRC第7戦ラリー北海道
SS2でリタイアとなった眞貝知志/安藤裕一組(トヨタGRヤリスGR4ラリーDAT) 2023年JRC第7戦ラリー北海道

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