【木村和久連載】疲労もストレスも半減。「救世主」乗用カートに敬礼

9月12日(木)10時57分 Sportiva

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第221回

“シブコブーム”いわゆる渋野日向子フィーバーは、とどまることを知らず、加速度的な盛り上がりを見せています。

 凱旋帰国2戦目のNEC軽井沢72トーナメント最終日には、テレビ放映の平均視聴率がなんと12.3%(関東地区。ビデオリサーチ調べ。以下同)という、大会歴代最高の数字を叩き出しました。毎分の視聴率では、最終18番ホールで渋野選手がバーディーパットを外した時で、16.8%を記録。フジテレビのゴルフ中継における、歴代最高記録を塗り替えたそうです。

 今後も、渋野選手の動向から目が離せませんね。

 というわけで、その人気にあやかって、連日ゴルフをしまくっているのですが、こっちは渋野選手よりも3倍も年齢が上で、体がついていけません。とうとうガタがきてしまいました……。

 先日、名門コースで歩きのラウンドに誘われました。名門って、スコットランドの伝統を継承しているのか、歩きのラウンドが多いです。

 料金が高いうえに、乗用カートに乗れないって何なの? ストイックなゴルフって、ほんと不可解ですわ。都心からちょっと離れた関東郊外じゃあ、乗用カートに昼食まで付いて、平日なら4000円ほどで回れますからね。

 まあ、その名門コースでも、4000円ぐらい出せば、オプションでカートに乗れるのですが、自分だけそんなことをしたら、友だちを失うのでやめました……。

 名門コースはおおよそ平坦な林間コースですから、スタートした時は「歩きも楽しいじゃん」という感じでしたが、次第に持病の外反母趾が悪化。足の裏がズキズキと痛み出したのです。

 外反母趾は、ハイヒールを履く女性に多く見受けられます。男性でも、長時間姿勢を悪くして歩いていると、足の親指に負担がかかり、何年も経過してからですが、左右どちらかの指が変形することがあります。

 足の指が変形すると、自分の体重を支えることが困難になり、足の裏がぺったりと平らになる——俗に言う、偏平足になります。

 通常、足の裏の「かかと」「親指の付け根」「小指・薬指」の3点で体を支えるイメージでしょうか。偏平足になると、そうしたバランスが崩れてしまうのですから、痛いですよ。

 結局、残り3ホールほどは、私は足を引きずってのラウンドとなりました。歩き方が悪いと、足の指に突然マメも出来て、ほんと踏んだり、蹴ったりです。

 やっぱりね、毎週試合だけで3〜4ラウンド、練習ラウンドやプロアマも含めれば5〜6ラウンド、歩いてプレーしているプロ選手は”超人”だと思います。

 さて、乗用カート愛好歴25年の私としては、決してサボリじゃなくて、歩いていると足が痛くなるからカートに乗るのですが、どうもそれが理解されないようで悲しいです。

 たとえば、こんなこともあります。ボールを打ったらすぐにカートに乗ると、同伴メンバーが「おまえ、たまには歩けよ」的な視線を投げかけてくるのです。言葉に出して言わないけど、おそらく「歩かないから、ぶくぶく腹が出るんだ」とか、「いつもカートでふんぞり返って、何様のつもりだ」とか、そんなことを思っているんだろうな、とそこはかとなく感じています。被害妄想かもしれませんが……。

 だから、アスリート的な人とラウンドするのは、やや苦手です。だって、そういう人はナイスショットをしたら、すぐに走るんだもん。逆に、小太りの方には共感を抱きます。打ったら、すぐにカートに乗ってタオルで顔を拭くって、実に微笑ましいじゃないですか。

 そもそも乗用カートって、1958年頃、アメリカで開発された乗り物で、すぐさま全米中に普及しました。

 その頃、アメリカではプロトーナメントのテレビ中継が始まり、ロバート・トレント・ジョーンズが設計した池絡みのロングホールなどで、パワーヒッターのアーノルド・パーマーが果敢に2オンを狙う——そういう姿が放映されて、空前のゴルフブームとなり、ゴルフが一気に大衆化したのです。

 そうした状況ですから、乗用カートの登場は爆発的な破壊力があったと思います。気分的には、ノーベル賞ぐらいの発明だったのではないでしょうか。

 だって、当時のアメリカでゴルフをやる人って、社会的な成功者でお金持ち。そういう人は、たいがい太っていて、恰幅がいいですからね。そんな彼らの思考を想像すれば、「流行りのゴルフはしたいし、お金もある。けど、長時間歩くのは苦手」。当然、乗用カートに飛びついたことでしょう。

 アメリカは、そもそも車社会です。日本より、全然歩きませんよ。

 じゃあ、日本はどうか。

 日本のコースは、山岳や丘陵コースが多く、乗用カートはまさに”救世主”でした。「あそこのコースは面白いけど、アップダウンがきつくて……」と言われて、結構敬遠されるコースが多かったですからね。

 どのコースも、すべてが上りのコースというわけではありません。上りと下りと半分ずつ、というのがよくあるパターンです。

 そうした日本の多くのコースでは、「あのアウトの3ホールの上りがしんどくて……」などと、ぼやくお年寄りがいっぱいいました。そこでの乗用カートは、本当に威力抜群でした。

 しかも、日本の場合、家からゴルフ場までの移動距離が長い。ゆえに、コースに着く頃には、運転で神経をすり減らして、疲れているゴルファーがたくさんいます。そこで、さらに歩きのラウンドとなると、完全に体力を消耗してしまいます。帰りの運転のことも考えれば、「乗用カートに乗って、体力を温存させよう」——そんな”作戦”もあり、でしょう。

 ここで、歩きと乗用カート、それぞれのラウンドにおける体力消費量をざっと比較してみます。

 6300ヤード程度のコースを歩いてラウンドした場合、途中で崖や谷にボールが捕まったことも考えれば、歩く距離はおおよそ8〜10kmぐらいでしょうか。上手じゃない人が、それ以上余計に歩くのは仕方がないことです。

 一方、乗用カートに乗ってのラウンドですが、カート道路に沿って走るカートで考えると、カートに乗っていても、ボールの地点までは歩かなければなりません。同伴メンバーのボール探しも手伝うし、グリーン近辺はすべて歩きと考えると、おそらく5㎞ぐらいは歩くことになるのではないでしょうか。

 結局、その歩く距離の差を考えれば、歩きのみのラウンドのほうが体力を消耗して、肉体的には疲れます。「ゲームをした」という精神的な疲労はどっちも一緒ですが。


こんなカートに乗ってラウンドできたら楽でしょうねぇ...

 そもそも、ゴルフはプレーに夢中になっているから、その場では元気です。その緊張感がほどけた帰宅途中あたりで、どっと疲れが出ます。

 日本人は、ゴルフを真面目にやりすぎるのです。しかも、ニギリをやらされたりして、負けてストレスをため込むことも……。

 身体的な疲れに加え、精神的な疲労もあるから、夜中に叩いた夢を見たりしてうなされるのです。これじゃあ、翌日まで疲労が残っているのも当然です。

 ここでは、ストレスをためず、疲労も半減するゴルフを提唱します。

 ラウンドでは乗用カートを使って、調子がよかったら、歩くようにしましょう。残り150ヤードをナイスオンしたら、気分も最高! 気づかぬうちに、グリーンまでスキップしている自分がいますからね。

 とにかく、乗用カートをうまく使って、自分のリズムでラウンドしてみてください。

 モハメド・アリのように「蝶のように舞い、蜂のように刺す」ではないですが、「渋野日向子のように舞い、松山英樹のようにゆったりと打つ」——そんな感覚でやってみましょう〜。

Sportiva

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