アパレル業界も顔負け?進化するサッカーユニフォームの世界【2023/24】

2023年9月13日(水)12時0分 FOOTBALL TRIBE

マンチェスター・シティ(左)写真:Getty Images、アーセナル(右)イラスト:Football Tribe

サッカーの楽しみ方を問われた時、選手のプレー技術や試合分析に基づく勝敗予想、または自分自身がプレーをして楽しむなど、一般的にはスポーツとしての楽しみ方を答える人が多いだろう。


しかし、スポーツ自体を楽しむ以外にもサッカーの楽しみ方は存在する。そのひとつが「ユニフォームをファッションの視点で楽しむ」というものだ。日本ではまだ馴染みが薄いため、やや風変わりに感じられるかもしれないが、近年ではイングランドの『Classic Football Shirts』など、サッカーユニフォームだけを専門に販売するアパレルブランドもある。また、バーバリーやプラダのようなハイブランドでもスポーツのデザイン要素を取り入れたスタイルが発表されている。


サッカーのユニフォームデザインは年々多様化しており、これまでの概念に捉われない色や形が採用され、新作をリリースする際のプロモーション映像もファッション業界顔負けのクオリティに進化している。この記事では、イングランドのクラブユニフォームで特に注目のデザインやプロモーションビデオを紹介する。




マンチェスター・シティ FWアーリング・ハーランド 写真:Getty Images

日本で初お披露目!


ひとつめの注目ユニフォームは、スポーツブランド「PUMA」が手掛けたマンチェスター・シティ(イングランド1部)の3rdユニフォームだ。2023年7月、約4年ぶりに来日を果たしたシティは、同23日に「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2023」で横浜F・マリノス、26日に「Audi Football Summit」でブンデスリーガ(ドイツ1部)のバイエルン・ミュンヘンと対戦。滞在期間中には東京でシティの3rdユニフォームお披露目&撮影会も行われた。


激しい稲妻が配されたそのユニフォームは、暗闇の中にクールさと激しさを兼ね備えたデザインで、前代未聞の稲妻パターンが意味するのは本拠地マンチェスターの活気溢れるエナジーと選手たちの迫力あるプレー。このデザインだけでも目を引くが、更に注目したいのが背面の背番号と選手名の書体である。まるで毛筆で書いたかのようなエキゾチックな雰囲気で、アルファベットがどことなく漢字やカタカナにも見えてくる不思議なデザインだ。まさに「やられた!」と叫びたくなるほど斬新なユニフォーム。


この衝撃的な背面デザインはシティの公式Instagram(@mancity)でも公開されているので、気になる方は是非チェックして欲しい(7月25日〜26日付けの投稿)


アーセナルの3rdユニフォーム(2023/24シーズン)イラスト:Football Tribe

2023/24シーズンのトレンドはクラシック&レトロ


2023/24シーズンのイングランド1部リーグでは、男女ともに「クラシック」「レトロ」などのキーワードがユニフォームのトレンド。全てのクラブが該当する訳ではないが、例えばリバプールのホームユニフォームには1974/75シーズンのデザイン要素が取り込まれている。チェルシーは1990年代、アーセナルは1980年代と、まさにファッション業界の流行サイクルと相まって歴史を辿るような動きをみせている。


ユニフォームデザイン同様に注目したいのがプロモーション映像だ。各クラブはユニフォームの新作発表にあわせて映像を制作するのだが、最近はストーリー性のある個性豊かな演出が加えられた芸術的な作品が誕生しており、そのクオリティは年々高まる一方だ。


特に、今シーズン公開された映像の中で際立っていたのが、アーセナルの3rdユニフォーム映像。やや時代を遡り、80年代の映画を思わせる世界観にフランス語の曲「Je Reviendrai(私は戻って来るでしょう)」を重ね、現代で活躍するワールドクラスの選手たちがモデル顔負けのポージングでフレームに映り込んでいる。出演している選手はDFリア・ウィリアムソン、MFデクラン・ライス、DFユリエン・ティンバー、MFマルティン・ウーデゴール、DFウィリアン・サリバ、MFカイ・ハフェルツの6名。


選手たちは1982/83シーズン時代の要素を取り入れたビリヤードグリーン色の3rdユニフォームに、白シャツやタートルネックシャツを組み合わせ、幾何学模様のジャケットやビビットな色合いのコートでまとめ上げたスタイリングで登場。色合いの美しさやカメラワークなど、構図もセンスの良さが光る。そして、最後に表示されるのは「EUROPE’S NEVER LOOKED SO GOOD」というキャッチフレーズ。そのシュールさにノックアウトだ。


この映像は、アーセナル公式Youtubeチャンネルで視聴可能。タイトル検索「Introducing the new Arsenal x adidas 23/24 third kit」でチェックしてみよう!




アーセナル 写真:Getty Images

時代は快適さとエコフレンドリーな素材へ


前述のアーセナル3rdユニフォームを含め、スポーツブランドが近年製造しているシャツ素材には必ずと言って良いほどリサイクル素材が採用されている。例えば、化学繊維であるポリエステルは、吸水速乾などドライ系商品を製造する際に必要な素材だが、純粋な新規素材ではなく再生されたものを使用することで、持続的な製造が行えるようリユースの取り組みに力を入れている。


イングランド国内だけでも、各クラブから毎年リリースされるユニフォームの在庫問題も少なからず発生していると想像できる。そのため製造元としては、今後ますます再生素材の積極的な採用や循環型の製造モデル「サーキュラーエコノミー(廃棄せず再利用を前提としたデザイン設計)」を意識した取り組みが必要となるだろう。


数々の条件をクリアするのは簡単ではないが、選手のパフォーマンス向上はもちろん、ファッションとしても楽しめて地球にも優しいユニフォームが継続的に製造されることを期待したい。

FOOTBALL TRIBE

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