“死の組”は「3強1弱」ではない!? 大会屈指の最激戦区を通過するのは…【CL/グループF】
2019年9月14日(土)12時5分 サッカーキング
今回のチャンピオンズリーグ(CL)組み合わせ結果を受けて、各国メディアが“最激戦区”と位置付けたのがこのグループFだ。リーガ・エスパニョーラを2連覇中のバルセロナ、昨シーズンは絶対王者のバイエルンをあと一歩まで追いつめたドルトムント、そしてアントニオ・コンテ新体制のもと、セリエA開幕2連勝を飾って早くも首位に立ったインテルと、運と実力がかみ合えば欧州4強も狙えるチームが同居した。
とはいえ、選手の顔ぶれや近年の実績からして、グループ突破の本命はバルセロナになるだろう。今夏の移籍市場では、アトレティコ・マドリードのエース、アントワーヌ・グリーズマンを引き抜き、昨シーズンのCLで大ブレイクを果たしたフレンキー・デ・ヨングをアヤックスから獲得。懸案だったジョルディ・アルバの控えにも、スペインU−21代表の有望株であるジュニオル・フィルポを迎え入れ、左サイドバックの層は厚みを増した。さらにカルラス・ペレスやアンス・ファティなど、下部組織出身の若手選手が開幕早々に結果を残すなど、スカッドの質と量は大会屈指を誇る。
昨シーズンは、リヴァプールに大逆転負けを喫してベスト4で敗退。2017−18シーズンの準々決勝・ローマ戦に続いて大きな失望を味わったが、グループステージに限ればここ12年連続で首位通過を果たしており、大会記録を更新中である。昨シーズンも、トッテナム、インテル、PSVといった難敵が居並ぶグループに入ったが、4勝2分けの無敗で首位通過を果たした。彼らの辞書に「死の組」という言葉は存在しないと言っても過言ではない。
バルサの懸念は日程と3トップの連携
それでも、懸念材料がないわけではない。まずは日程の問題だ。グループ内で最も力の劣るスラビア・プラハとの試合は第3節、第4節に組み込まれている一方で、ドルトムントとのアウェイゲームは第1節、インテルとのアウェイゲームは第6節に控えている。最初と最後に大一番を迎えることになり、特に初戦を落とすと一転して厳しいグループステージになる可能性がある。昨シーズンの初戦はグループ最下位に終わったPSVをホームに迎えて4−0と快勝。好スタートを切ったことで残りのゲームも戦いやすくなったが、今シーズンは全くの逆のパターンとなる。
さらに、負傷離脱中だったリオネル・メッシとルイス・スアレスの復帰がチームに与える影響も無視できない。攻撃の核である2人が戻ってくることは大きなプラスだが、彼らの不在中に“偽9番”としてプレーしたグリーズマンは左ウイングに“異動”することが濃厚。フランス代表FWがこの配置転換に難なく対応できるのか。また、実戦でトライしたことのないメッシとスアレスとの3トップは機能するのか。攻守のバランスを含めて、いくつかの疑問点が存在する。就任3年目を迎えたエルネスト・バルベルデ監督がこれ以上の失敗が許されないCLでどのような采配を振るうのか、大きな注目ポイントとなるだろう。
首位通過を許さないドルトムントとインテル
もちろん、バルセロナの首位通過を危うくさせるのは、ドルトムントとインテルが好チームだからという理由もある。ドルトムントは今夏、トルガン・アザールとユリアン・ブランというブンデスリーガ屈指のアタッカーを獲得。さらに真のリーダーが不在だった最終ラインにマッツ・フンメルスが復帰を果たした。昨シーズンは勝負どころで安定感を欠いたが、リュシアン・ファーヴル体制2年目となったチームは経験値だけでなく戦力値もアップさせている。宿敵バイエルンを下して、5年ぶりにドイツ・スーパーカップを制したことがその証だろう。最大の目標は昨シーズンに逃したリーグ優勝かもしれないが、欧州の舞台でも躍進を遂げるだけのポテンシャルは十分にある。
インテルはバルセロナが最も苦手とするタイプのチームだ。最前線には、高さとパワーを兼備するロメル・ルカクと、コンディションさえ整えば抜群のスピードとキレを誇る“元バルサ”のアレクシス・サンチェスが加入。中盤にはテクニックと運動量を併せ持つステファノ・センシやニコロ・バレッラが加わり、最終ラインにもバルセロナを熟知するディエゴ・ゴディンを招き入れた。何より“闘将”アントニオ・コンテ監督の招聘によって、“戦う集団”に生まれ変わりつつある。新体制で新たに採用された3−5−2のシステムは、ユーロ2016でコンテ監督が率いたイタリア代表がスペイン代表を完璧に攻略したように“対バルサ”にも極めて有効だ。バルセロナとは昨シーズンもグループステージで同じ組に入って1分け1敗と負け越したが、今回は真逆の結果になったとしても不思議ではない。
“1弱”のスラビア・プラハが侮れない理由
なお、グループFで“1弱”に位置づけられるスラビア・プラハだが、決して楽な相手ではない。昨シーズンはリーグとカップ戦の国内2冠を達成。ヨーロッパリーグでもセビージャを下し、王者に輝いたチェルシーには敗れたものの、2戦合計3−5の善戦を演じるなど健闘を見せた。今シーズンは7月のリーグ開幕戦から公式戦10試合を戦って、いまだ負けなし(8勝2分け)。さらに許した失点もわずかに「2」と、目下絶好調なのだ。
プレーオフ経由で実現したCL本戦出場は、実に12年ぶりのこと。喜びも束の間、“死の組”に入ることとなったが、1つでも勝利を奪えば大きな快挙として話題になること必至だ。バルセロナ、ドルトムント、インテルにとっては最も勝ち点を計算できる相手かもしれないが、それだけに取りこぼしは許されない。上記3チームが勝ち点を奪い合う状況になれば、決勝トーナメント進出のカギを握る存在として意外な注目を浴びることになるかもしれない。
(記事/Footmedia)
とはいえ、選手の顔ぶれや近年の実績からして、グループ突破の本命はバルセロナになるだろう。今夏の移籍市場では、アトレティコ・マドリードのエース、アントワーヌ・グリーズマンを引き抜き、昨シーズンのCLで大ブレイクを果たしたフレンキー・デ・ヨングをアヤックスから獲得。懸案だったジョルディ・アルバの控えにも、スペインU−21代表の有望株であるジュニオル・フィルポを迎え入れ、左サイドバックの層は厚みを増した。さらにカルラス・ペレスやアンス・ファティなど、下部組織出身の若手選手が開幕早々に結果を残すなど、スカッドの質と量は大会屈指を誇る。
昨シーズンは、リヴァプールに大逆転負けを喫してベスト4で敗退。2017−18シーズンの準々決勝・ローマ戦に続いて大きな失望を味わったが、グループステージに限ればここ12年連続で首位通過を果たしており、大会記録を更新中である。昨シーズンも、トッテナム、インテル、PSVといった難敵が居並ぶグループに入ったが、4勝2分けの無敗で首位通過を果たした。彼らの辞書に「死の組」という言葉は存在しないと言っても過言ではない。
バルサの懸念は日程と3トップの連携
それでも、懸念材料がないわけではない。まずは日程の問題だ。グループ内で最も力の劣るスラビア・プラハとの試合は第3節、第4節に組み込まれている一方で、ドルトムントとのアウェイゲームは第1節、インテルとのアウェイゲームは第6節に控えている。最初と最後に大一番を迎えることになり、特に初戦を落とすと一転して厳しいグループステージになる可能性がある。昨シーズンの初戦はグループ最下位に終わったPSVをホームに迎えて4−0と快勝。好スタートを切ったことで残りのゲームも戦いやすくなったが、今シーズンは全くの逆のパターンとなる。
さらに、負傷離脱中だったリオネル・メッシとルイス・スアレスの復帰がチームに与える影響も無視できない。攻撃の核である2人が戻ってくることは大きなプラスだが、彼らの不在中に“偽9番”としてプレーしたグリーズマンは左ウイングに“異動”することが濃厚。フランス代表FWがこの配置転換に難なく対応できるのか。また、実戦でトライしたことのないメッシとスアレスとの3トップは機能するのか。攻守のバランスを含めて、いくつかの疑問点が存在する。就任3年目を迎えたエルネスト・バルベルデ監督がこれ以上の失敗が許されないCLでどのような采配を振るうのか、大きな注目ポイントとなるだろう。
首位通過を許さないドルトムントとインテル
もちろん、バルセロナの首位通過を危うくさせるのは、ドルトムントとインテルが好チームだからという理由もある。ドルトムントは今夏、トルガン・アザールとユリアン・ブランというブンデスリーガ屈指のアタッカーを獲得。さらに真のリーダーが不在だった最終ラインにマッツ・フンメルスが復帰を果たした。昨シーズンは勝負どころで安定感を欠いたが、リュシアン・ファーヴル体制2年目となったチームは経験値だけでなく戦力値もアップさせている。宿敵バイエルンを下して、5年ぶりにドイツ・スーパーカップを制したことがその証だろう。最大の目標は昨シーズンに逃したリーグ優勝かもしれないが、欧州の舞台でも躍進を遂げるだけのポテンシャルは十分にある。
インテルはバルセロナが最も苦手とするタイプのチームだ。最前線には、高さとパワーを兼備するロメル・ルカクと、コンディションさえ整えば抜群のスピードとキレを誇る“元バルサ”のアレクシス・サンチェスが加入。中盤にはテクニックと運動量を併せ持つステファノ・センシやニコロ・バレッラが加わり、最終ラインにもバルセロナを熟知するディエゴ・ゴディンを招き入れた。何より“闘将”アントニオ・コンテ監督の招聘によって、“戦う集団”に生まれ変わりつつある。新体制で新たに採用された3−5−2のシステムは、ユーロ2016でコンテ監督が率いたイタリア代表がスペイン代表を完璧に攻略したように“対バルサ”にも極めて有効だ。バルセロナとは昨シーズンもグループステージで同じ組に入って1分け1敗と負け越したが、今回は真逆の結果になったとしても不思議ではない。
“1弱”のスラビア・プラハが侮れない理由
なお、グループFで“1弱”に位置づけられるスラビア・プラハだが、決して楽な相手ではない。昨シーズンはリーグとカップ戦の国内2冠を達成。ヨーロッパリーグでもセビージャを下し、王者に輝いたチェルシーには敗れたものの、2戦合計3−5の善戦を演じるなど健闘を見せた。今シーズンは7月のリーグ開幕戦から公式戦10試合を戦って、いまだ負けなし(8勝2分け)。さらに許した失点もわずかに「2」と、目下絶好調なのだ。
プレーオフ経由で実現したCL本戦出場は、実に12年ぶりのこと。喜びも束の間、“死の組”に入ることとなったが、1つでも勝利を奪えば大きな快挙として話題になること必至だ。バルセロナ、ドルトムント、インテルにとっては最も勝ち点を計算できる相手かもしれないが、それだけに取りこぼしは許されない。上記3チームが勝ち点を奪い合う状況になれば、決勝トーナメント進出のカギを握る存在として意外な注目を浴びることになるかもしれない。
(記事/Footmedia)