春の実績馬が不在のセントライト記念。狙いは人気薄の夏の上がり馬

9月15日(日)6時17分 Sportiva

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 3日間開催となる今週、阪神競馬場ではGI秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)トライアルのGIIローズS(9月15日/芝1800m)、中山競馬場ではGI菊花賞(10月20日/京都・芝3000m)トライアルのGIIセントライト記念(9月16日/芝2200m)と、秋の3歳GIに向けて重要な前哨戦が行なわれます。

 ローズSは、ダノンファンタジーやシゲルピンクダイヤ、ビーチサンバに、ウィクトーリアといった春の活躍馬が出走し、見応えのあるレースになりそうですが、馬券的にはセントライト記念のほうが、妙味がありそうです。そこで、ここではセントライト記念について分析していきたいと思います。

 今年は、GI日本ダービー(5月26日/東京・芝2400m)を勝ったロジャーバローズがその後に屈腱炎を発症。残念ながら、すでに現役を引退しました。その他、GI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)の覇者サートゥルナーリアと、同2着馬で、ダービー3着のヴェロックスが次週のトライアル、GII神戸新聞杯(9月22日/阪神・芝2400m)に出走予定。そして、ダービー2着のダノンキングリーは、古馬相手のGII毎日王冠(10月6日/東京・芝1800m)に向かうようです。

 そのため、今年のセントライト記念には、今春のクラシックで上位争いを演じた馬たちが不在。実績で言えば、ダービー5着のニシノデイジー(牡3歳)が最上位といった感じでしょうか。しかし、同馬も”受けて立つ”と言えるような立場ではありません。

 基本的にこのレースは、2014年のイスラボニータ(皐月賞1着、ダービー2着)や、2016年のディーマジェスティ(皐月賞1着、ダービー3着)など、ダービー以来の出走となる実績馬が強いですが、そうしたレベルの馬が不在となれば、どの馬にも勝つチャンスはありそうです。その分、菊花賞出走の権利をかけて、かなり白熱した戦いが繰り広げられるのではないでしょうか。

 そんななか、最も注目しているのは、ザダル(牡3歳)です。今春のクラシックには参戦していないものの、まだ底を見せていない点が魅力です。

 年明けにデビューしてから、ここまで3戦3勝。前走は、ダービートライアルのオープン特別・プリンシパルS(5月12日/東京・芝2000m)で見事な勝利を飾りました。

 ただ、同レースは雹(ひょう)の影響で1週順延されて開催。おかげで、出走馬は再輸送かつ、本番のダービーまで中1週という厳しい条件でのレースを強いられました。

 その結果、レースを制してダービーの出走権を手にしたザダルですが、レース後の体調や、ダービーに出走した場合のその後の影響を考えて、断腸の思いでダービー出走回避を決めたそうです。同馬を管理する大竹正博厩舎のスタッフをはじめ、オーナーや牧場関係者にとっても、難しい決断だったと思います。そういう意味でも、最後の一冠にかける意気込みはかなり強いのではないでしょうか。

 セントライト記念の舞台となる中山・芝2200mは、外回りの難しいコースです。人馬ともに得手不得手が出やすいのですが、ザダルは中山で2勝していますし、これまでのレースぶりを見ても、しっかり対応できると思います。

 鞍上を務める石橋脩騎手も、信頼できる関東のトップジョッキーです。今年の1月に同じ舞台で行なわれたGIIアメリカジョッキークラブCでも、シャケトラに騎乗して鮮やかな勝利を決めました。

 個人的にもう1点、ザダルを気に入っている点があります。それは、常に人気がないことです。デビューからの3連勝は、すべて5番人気以下でした。

 たとえば、同馬がディープインパクト産駒であったり、ノーザンファームの生産馬であったり、クリストフ・ルメール騎手が手綱を取ったりしていれば、人気になっていたかもしれません。しかし、大牧場の生産馬ではなく、トーセンラー産駒という渋さもあって、レースでは常に伏兵扱い。それでいて、負けなしの3連勝。その強さには、何か引きつけられるものを感じます。

 ダービー出走馬の中では、リオンリオン(牡3歳)が気になる存在です。先週の中山・芝レースを見る限り、軽視はできませんね。

 というのも、同コースで行なわれたレースはとにかく時計が速く、開幕週の重賞・GIII京成杯オータムハンデも、横山典弘騎手が騎乗したトロワゼトワルがレコードによる逃げ切り勝ちを収めました。

 このレースを見届けた瞬間、「次週も、リオンリオンの横山典騎手で……」という考えが頭をよぎりました。横山典騎手の息子である横山武史騎手が手綱を取ったダービーでは、行きすぎてバテてしまいましたが、鞍上が主戦ジョッキーに戻れば、ダービートライアルのGII青葉賞(4月27日/東京・芝2400m)を勝ったときのような、絶妙なペースでの逃げも見られるのではないでしょうか。

 中山・芝2200mを走ったことがあるのも強みですし、今回人気を分けそうなランフォザローゼス(牡3歳)には青葉賞で、ルヴォルグ(牡3歳)には大寒桜賞(3月24日/中京・芝2200m)でいずれも勝っています。菊花賞出走へ賞金は足りているので、100%の仕上げではないと思いますが、今の馬場を味方にすれば、押し切るチャンスはありそうですよ。

 ところで、抽選対象だったにもかかわらず、ルメール騎手が前述のルヴォルグへの騎乗を当初から決めていた、というのが不気味ですね。藤沢和雄厩舎の馬なので、このあとはどういう路線に進むのかわかりませんが、菊花賞に行くにせよ、古馬相手の中距離路線に向かうにせよ、今回好走しないといけませんから、本気度は高いと思います。

 同じような理由で、ミルコ・デムーロ騎手が乗りに来るモズベッロ(牡3歳)も気になります。距離を延ばした前走の1勝クラス(7月20日/中京・芝2200m)で、それまでとは見違えるような走りを見せて完勝。厩舎としても、色気を持っての参戦なのではないでしょうか。

 さて、今回の「ヒモ穴馬」には、ザダルと同じく3連勝中のオセアグレイト(牡3歳)を取り上げたいと思います。


現在3連勝中のオセアグレイト

 この馬が初勝利を挙げたのは、ダービーの1週前。オークス当日の東京競馬場で行なわれた未勝利戦(5月19日/芝2400m)でした。年明けデビューから6戦を要しましたが、その後はすべてメンバー最速の上がりをマークして3連勝。クラスが上がるごとに内容がよくなっている印象を受けますし、まさしく夏の”上がり馬”といった存在です。

 関係者の話では、ソエが固まったことで体質が強くなり、初勝利のひとつ前のレース辺りから、明らかに馬が変わってきていたそうです。

 これまでのレースを見ていると、非常にスタミナがありそうなタイプ。ですから、本番の菊花賞でも気になる存在なのですが、今年はセントライト記念と神戸新聞杯の結果次第では、収得賞金1500万円の3勝馬でも抽選に回る可能性があるようで、陣営としてはできれば、ここで出走権を獲得したいところでしょう。

 鞍上の野中悠太郎騎手も非常にいい感触を持っていて、前走の2勝クラス・信夫山特別(7月13日/福島・芝2600m)のレース前には、「こんなメンバーに負けては、菊花賞を目指すなんて言っていられない」と、非常に強気なコメントを残していたそうです。

 最初に触れたように、今年のセントライト記念は、例年よりも春の実績馬が手薄です。2勝クラスを勝ったのが福島コースなので、あまり注目されていないようですが、目下の勢いと今年のメンバーレベルであれば、上位に食い込む可能性は十分。どんなレースを見せてくれるか、楽しみにしています。

Sportiva

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