【あなたは何しに?】ホンダからザウバーへ。広報としてF1界で活躍する日本人

2017年9月16日(土)21時17分 AUTOSPORT web

 F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画、今回はウインターテストまでホンダ広報として活躍し、現在はザウバーF1で働く糸賀晶子だ。


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 マリーナ・ベイ・ストリート・サーキットのパドックで、入れ替わり立ち替わり行き交う人たちからあいさつ攻めにあっていた人がいた。今年、開幕直前のウインターテストまでホンダの広報として活躍していた糸賀晶子だ。


 糸賀はウインターテストの1回目の後、ホンダを退社。駐在していたイギリスから帰国することも考えたが、「F1の世界でやり残した仕事がある」とイギリスにとどまって、就職活動を行っていた。


「ホンダがF1復帰を発表した13年の10月にF1担当の広報に移動してから、フル活動で2年半やってきて、ようやくF1の世界が見えてきたところだったので、もう少しやってみよう」という糸賀に、食指を動かしたのがザウバーだった。


 前チーム代表のモニシャ・カルテンボーンとの面接では「私たちがあなたと仕事するのはホンダとの関係だけが理由ではありません」と言われた糸賀。ホンダ時代にソーシャルメディアをゼロから立ち上げた実績を買われ、ザウバーではデジタル・コミュニケーション・マネージャーに抜擢された。


 糸賀は8月にイギリスからスイスへ移り、イタリアGP翌日の9月4日からザウバーでの仕事をスタート。今回のシンガポールGPはザウバーのチームウエアを着て仕事する初めてのグランプリだった。


 華やかなF1の世界では、一度職を失った者が復帰するのは簡単なことではない。それをわずか数カ月で実現した糸賀。それは彼女の実力が認められた証左でもある。それでも、糸賀に浮かれる様子は見えない。


「次のマレーシアGPと日本GPに行くことは決まっていますが、それから先のことはまだわかりません。チーム代表も変わって、いまチームは再編中ですから」


 日本企業に属さないF1で仕事する日本人スタッフの多くがエンジニアやメカニックのなか、唯一広報としてこの世界に帰ってきた糸賀の活躍は、日本でF1を目指そうとしている技術系スタッフ以外に大きな勇気を与えていることだろう。ザウバーでの糸賀の活躍を期待したい。

ホンダ時代に一緒に仕事したマクラーレンの広報のスティーブ・クーパー(右)


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