【新車のツボ159】スズキ・スイフトスポーツ。お手軽スポーティカーで孤高の存在

9月15日(日)10時17分 Sportiva

 通算4代目となる今のスイフトスポーツは発売からすでに1年半以上が経過するが、”国産お手軽スポーティカーの星”として、いまだ敵なし、孤高の存在と思う。わたくし自身がこの種のマイクロスポーツ系グルマが大好きなので、スイフトスポーツ以外も当連載でたくさん取り上げてきたが、「商品として、不特定多数の他人にオススメしやすいのはどれ?」と問われると、やはりスイフトスポーツが筆頭になってしまうのは今も昔も変わりない。

 たとえば、ホンダS660(第103回)やダイハツ・コペン(第121回)、あるいはスズキ・アルトワークスといった軽自動車スポーツは、なるほどスイフトスポーツよりさらに小さくて日本の交通環境でも振り回しやすいが、日本専用で生産台数も少なめなので価格は意外や割高に感じる。最安のアルトワークスでも、本体価格はスイフトスポーツと30〜40万円差。絶対的に差額は小さくないが、両車の性能やボディサイズのちがいを考えると、スイフトスポーツのほうが割安に感じてしまうのだ。

 これ以外の国産車でいっても、マツダ・デミオ15MB(第122回)を買うのはヒネリを効かせすぎの感が否めないし(笑)、日産マーチニスモS(第75回)は良くも悪くも古臭くて荒々しい。輸入車のアバルト595(第94回)は明らかに高額。もっとも新しい強敵は同じく輸入車の独フォルクスワーゲンのup! GTI(第155回)と思うが、そもそもベース車両からしてスイフトのほうが格上なのに、さらにスイフトスポーツのほうがボディも軽く、エンジンもパワフル。つまり、数字や性能だけでいえばスイフトスポーツの圧勝である。




 もちろん、この種のクルマはあくまで趣味の対象なので、最後は各自の肌に合うか……の主観が決め手である。さらに何度もいうが、これらはすべて当連載で取り上げたクルマであり、それぞれすこぶる魅力的である。だから、本来は科目別合計点や消去法で選ぶべきではないのだが、逆に、そういう客観的事実であえて選ぶと、スイフトスポーツがダントツになってしまうのも事実なのだ。

 現行スイフトスポーツ最大のツボは、単純明快に「ボディが軽くて、エンジンが力強い」ということである。その970kg(MT車の場合)という車重は軽自動車に毛が生えた程度で、世界のコンパクトカーでも最軽量クラス。いっぽうの1.4リッターターボエンジンは、140馬力という最高出力こそ飛びぬけたものではないが、230Nmという最大トルクはひと昔前でいうと2.5リッター級の怪力である。

 エンジン性能表示に使われる数字には、大きく最高出力(=パワー)と最大トルクの2つがあり、エンジンの格付けには最高出力が使われることが伝統的に多かったが、アクセルを踏み込んだときの「力強いなあ」とか「パンチがあるなあ」という感覚に直結するのは、じつはトルクのほうである。出力はトルクに時間の概念をかけたもので、クルマの性能で大ざっばにいうと、出力は「スピードを出す力」、トルクは「坂を登ったり、加速させる力」とイメージするとわかりやすいかもしれない。




 スイフトスポーツはボクシングでたとえるなら、フライ級のボディにウェルター級のパンチを組み合わせたようなクルマである。だから、アクセルを踏んだ瞬間の加速力は、いい意味で(?)ブン殴られたような鋭さと強さだ。さらに荒っぽいアクセル操作だと、優秀なトラクションコントロールのスキを突くようにフロントタイヤ(=駆動輪)がギャリっと路面を掻くのが好事家にはたまらないツボだ。

 さらに、スイフトスポーツの美点は、加速側のレスポンスだけでなく、アクセルを緩めたときのエンジンブレーキも俊敏なことで、わずかでステアリングが切れた旋回状態であれば、アクセルオンで加速しながら走行ラインがふくらみ、アクセルオフだと逆にインに食いつくかのように曲がる。

 スイフトスポーツを開発した技術者によると「トルクウェイトレシオが高いほど、ヨーコントロール性がいい」のがこのクルマのツボだという。クルマに興味のない人には意味不明の暗号文にしか思えないが、あえて直訳すると「車重に対してエンジンが怪力であるほど、旋回方向の反応が高まり、操縦性の幅が広がる」となるだろうか。いずれにしても、マニアすぎてほぼわからないが……(笑)。




 基本的に前輪駆動のスイフトスポーツでは、力エンジンの影響もあってステアリングの繊細なタッチまで絶品……とはいえないが、とどのつまりは、交差点や山道などでアクセルを元気にオンオフすると、鋭くかつ元気に曲がって、素直にメチャ楽しいということだ。

 そんなスイフトスポーツも海外仕様では最高速が210km/h(日本仕様は180km/hでリミッターがきく)と公表されている。1t未満の軽量級で200km/hオーバーの量産車はあまり例がなく、スイフトスポーツは空力やブレーキも本気の仕様なのがまた好事家にはツボである。日本の公道では200km/hはおろか180km/hすら許されないが、そうやって本気でつくり込まれたクルマは、ゆっくり走っても本気のツボがそこはかとなく漂うものだ。

 それにしても、こんなツボグルマが、若者のマイカーとしても、また中高年のセカンドカーとしてもギリギリ無理のない価格=200万円以下だなんて、ありがたくて涙が出てくる。




【スペック】
スズキ・スイフトスポーツ
全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:970kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ・1371cc
最高出力:140ps/5500rpm
最大トルク:230Nm/2500-3500rpm
変速機:6MT

JC08モード燃費:16.4km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:183万6000円

Sportiva

「スズキ」をもっと詳しく

「スズキ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ