張本勲が落選!? 大番狂わせが起きた八重樫幸雄の日本ハムベストナイン

9月17日(木)11時20分 Sportiva

「オープン球話」連載第33回

◆「ミスターロッテ」が選外⁉ロッテベストナイン>>

中田翔を救った稲葉篤紀の存在】
——八重樫さんが選ぶ「歴代ベストナイン」企画、今回は北海道日本ハムファイターズ編です。旧東映フライヤーズ、東京時代のファイターズも含めて、思い出の名選手たちを挙げていただけますか?
【写真】現役最後の日、稲葉篤紀が流した涙の本当の理由
八重樫 ピッチャーはダルビッシュ有しかいないでしょう。彼が入団した時には、僕はまだスカウトじゃなかったけど、僕も仙台出身なので、いろいろな人から東北高校のダルビッシュのことはウワサに聞いていました。関係者の話によると、高校時代の彼はそんなに試合で投げていないそうなんです。ちょうど成長期ということもあって、故障がちだったらしいんですよね。だから、僕が注目し始めたのは日本ハムに入ってからのことなんです。

2003年9月、東京ドームでの本拠地最終戦を終えてファンに挨拶する日本ハムナイン
——アマチュア時代にあまり投げなかったことによって、使い減りしなかったのがよかったんでしょうか?
八重樫 それもあるかもしれないけど、プロに入ってから貪欲に技術の習得に励んだこと、本人の努力が大きいという気がしますね。恵まれた体格や才能を持っていても、それを生かすかどうかは本人次第。才能を開花できないまま引退していった選手も多く見ているけど、ダルビッシュの場合は本人の努力のたまものだと思います。
——では、キャッチャーは?
八重樫 これは迷ったんです。1980年代に大宮龍男もいたけど、ここは田村藤夫かな? 田村はキャッチャーらしいキャッチャーでしたよ。自分を殺して、あくまでもピッチャー優先のリードを心がけていた。リードの傾向としては伊東勤タイプで、オーソドックスだったね。最初はアウトコースから攻めていって、大事なところでインコースを見せていく感じかな? バッティングはそんなに目立たないけど、「ここぞ」というときの意外性も含めて、「キャッチャーらしいキャッチャー」というイメージだね。

——では、続いて内野陣の発表をお願いします。
八重樫 最初に浮かんだのはファーストの中田翔ですね。甘いボールを絶対に逃さない勝負強さは、ますます凄みを増しているよ。今年は特にメンタル面が充実しているのか、一球への集中力が増して、ミスショットがほとんどなくなったね。
——八重樫さんは中田選手との接点はあったんですか?
八重樫 1年目のオープン戦で最初に見たのかな? 「いいバッターだな」と思ったけど、ふてくされながら練習しているのが気になったんです。思わず、「何だコイツは?」って思ったことを覚えているな。でも、日本ハム関係者は誰も注意しない。「そんなことで大丈夫なのか?」って不安に感じたのが第一印象。後で周りの人たちの話を聞くと、練習態度とか、まだまだプロ野球を甘く見ている部分があったみたいだね。でも、その態度が改まったのは稲葉(篤紀)の影響が大きかったんだって。
——元ヤクルトの稲葉さんの影響ですか! 以前、八重樫さんは「稲葉ほど練習した選手はいない」と話していましたよね。
八重樫 そう。「もういい加減にしろ」と言うまで練習をやめなかったのが稲葉でした。公私にわたって、稲葉が中田のことを厳しく指導していたって聞いたよ。言い方は悪いけど、周りの人がさじを投げかけたところを、稲葉がじっくりと救ったんじゃないのかな? 稲葉の引退のあいさつでも、中田に向かってメッセージを言っていたからね。
【三遊間は、クールな金子誠とガッツの小笠原道大】
——では、ファースト以外の内野陣をお願いします!
八重樫 セカンドも迷ったけど、普段の練習態度も加味して田中賢介かな? あの小さな体でレギュラーをつかんで、コツコツと自分の役割に徹して、ひたむきに努力する。完全に僕の好きなタイプの選手です。メジャーリーグ挑戦はちょっと厳しいと思ったけど、野球人としてはいい経験を積んだと思うよ。

◆現役最後の日、稲葉篤紀が流した涙の本当の理由

——では、ショート、サードは?
八重樫 ショートは金子誠、サードは小笠原道大かな? 金子誠は高卒3年目にはレギュラーをつかんだよね。ヤクルトの二軍監督時代に彼の若い頃を見たけど、守備のセンスは非凡なものがあったよ。彼の悪口を言う人と会ったことがないんだけど、人間的にもいいヤツなんだろうね。若い時からベテランのようなクールさと落ち着きがあった。高代(延博)もいいショートだったけど、僕は金子を選びたいな。
——サードは現・ヘッド兼打撃コーチの小笠原道大さんなんですね。
八重樫 彼も、決して手を抜かない選手だったよ。気持ちが全面に出るタイプの選手で、昔の武士のようなたたずまい。まさに「ガッツ」のニックネーム通り。この時代には珍しい、僕の好きなタイプです。僕とは正反対のバッティング理論の持ち主だよね。彼は体の力をフルに使ったスイングだけど、「もう少し力を抜いて柔らかさがあってもいいのにな」という思いで見ていました。でも、彼の場合はあのスイングできちんと成績を残したわけだから、決して否定はしないけどね。
【近藤健介は「天才」榎本喜八タイプ】
——では、外野手の発表をお願いします!
八重樫 日本ハムの外野は現役の近藤健介、西川遥輝、そして一緒にプレーをした稲葉篤紀の3人かな? 
——おっ、張本勲さんは選外ですか!
八重樫 張本さんは迷ったんです。でも、守備は決して上手ではなかったということで、「ベストDH」候補なんです。でも、この点については後でじっくり説明しますよ。ということで、外野は現役から2人選びました。特に近藤健介は、本当にいいバッターですよ。史上初の「打率4割」を打つとしたら、彼じゃないのかな?

——そこまで大絶賛されますか。
八重樫 近藤のバッティングを見ていると、かつて「天才」と言われた榎本喜八さんを思い出すんですよ。軸がまったくぶれないから選球眼がいい。絶対にボール球を振らないから打率も下がらない。練習ではしっかりと見極められる選手は多いんです。でも、試合になると気持ちも入るし、緊張もするし、どうしてもボール球に手を出すケースが増えてくる。それでも近藤はしっかりと見極める。その印象が本当に強い。もちろん、バットコントロールも並外れているので、狙ったところにヒットが打てる。現役選手の中でも有数だし、歴代で見ても遜色はないよ。
——大絶賛の嵐ですね(笑)。まさか榎本喜八さんの名前が出てくるとは! 榎本さんと言えば、八重樫さんと同じ荒川博さんの教え子ですよね。
八重樫 そうそう。だから、荒川さんからは榎本さんの話をよく聞きましたよ。一緒に練習したことはないけど、僕がプロ入りした直後に、東京スタジアムで現役晩年の榎本さんのプレーを見ました。近藤とはまったく違うフォームだけど、ボールの見極め方、バットの出し方は榎本さんっぽいんですよ。力感のない、ただ立っているような状態からのスイング。達人の域に達しているようなイメージがあるね。
——続いて、西川選手はどうですか?
八重樫 「日本ハムのセンター」と言えば、島田誠のイメージもあったけど、身体能力の高さ、守備範囲の広さを考えると、現役の西川遥輝の能力は抜群に高い。全盛期はまだまだこれからだから、とても楽しみだよね。
 そして、もうひとりが稲葉。さっきも言ったけど、常に全力プレーで決して手を抜かない。それが他の若い選手へもいい影響を及ぼす。チームにとって、決して欠かせない選手ですよ。監督が言いづらいことを率先して言ってくれる真のチームリーダー。ヤクルト時代よりも日本ハムに移籍してから、プロとしての円熟期に入ったと思うね。

——そして、「歴代ベストDH」が張本さんですか?
八重樫 張本さん、大杉勝男さんが主軸だった東映フライヤーズ。この2人は外せないでしょ。大杉さんはヤクルト編でベストナイン入りしているので、今回は張本さんを指名打者で選出しようと思ったんだけど......、個人的に田中幸雄は外したくないんだよね。高卒からの叩き上げで2000安打を記録して、決して強引なバッティングをしない打撃スタイルもいい。ということで張本さんではなく、田中幸雄を歴代ベストDHにしたいんだよ。相当、悩んだけど、あくまでも「八重樫幸雄が選ぶ」という点にこだわってみました(笑)。
——まさかの大番狂わせです(笑)。じゃあ、打順を発表してください。
八重樫 日本ハム編の打順は、こんな感じかな?
1.西川遥輝(中)
2.近藤健介(左)
3.稲葉篤紀(右)
4.小笠原道大(三)
5.中田翔(一)
6.田中幸雄(指)
7.金子誠(遊)
8.田中賢介(二)
9.田村藤夫(捕)
P.ダルビッシュ有
 期せずして、現在の日本ハムから現役3選手がランクインしたね。ということは今の日本ハムもいいメンバーがそろっているんだから、元チームメイトとしてヤクルトOBの栗山(英樹)監督にはもっと頑張ってほしいな。

(つづく)

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