固い絆で結ばれた琢磨とクルー。無念の最終戦に「みんな残念だよ。ここまで頑張ってくれてありがとう」

2017年9月18日(月)14時39分 AUTOSPORT web

 インディカー・シリーズは他のカテゴリーよりひと足早くシーズンを終える。第17戦、最終戦の舞台はナパバレーに近いカリフォルニア州ソノマ。風光明媚なこのサーキットがここ数年最終戦の舞台に選ばれている。


 琢磨はサンフランシスコでプロモーションをこなした後、サーキット入りした。訪問したサンフランシスコ・ジャイアンツの選手が今度はソノマを訪問し、琢磨と再会して2シーターライドを体験するなど、インディカーとメジャーリーグの微笑ましい交流が続いた。


 今週は木曜日に公式テストがあったが、タイヤのセット数が少なく、勢力的に走るといったテストではなかった。琢磨はセッションの最後にターン6の高速コーナーでクラッシュし、マシン後部にダメージを負ってしまった。

2017年シーズンの最終戦に挑む佐藤琢磨


 しかし、琢磨はチームメイトのデータを見ながらも順調にマシンを仕上げて、またもや予選で光る速さを見せる。Q1、Q2を無事に通過し、ファストシックスで5番手グリッドを獲得。


 上位4台はペンスキー勢で、もちろんホンダ最速だった。5番手ではあったが、琢磨の喜び様はすごかった。それだけの達成感のある走りだったのだろう。


「本当にうれしいですね。ここまで一緒にクルマを仕上げてくれた26号車のクルーに感謝するし、誇りに思います」


 上位はこのレースにチャンピオンのかかったドライバーばかりだけに、琢磨のスピードが光った。


 決勝のスタート前にはグリッドでちょっとしたサプライズがあった。琢磨は円陣の中で「みんな今年一年間本当にありがとう。今日のレースはどうなっても、最後までベストを尽くすよ」と挨拶すると、今度はチームクルーから寄せ書きしたウイングが琢磨に贈られた。さすがの琢磨もこれにはびっくり。


 とかく政治的な移籍話が飛び交うものの、琢磨とチームクルーの固い絆は最終戦まで変わることはなかった。


ディクソンに交わされるも上位をキープする佐藤琢磨

 レースがスタートし、隣のチャンピオンのかかったディクソンの邪魔をすることなくターン4に向けてターンした琢磨に、チームメイトが牙を剥いた。


 アレクサンダー・ロッシがその後ターン6で琢磨に幅寄せし、コースアウトさせたのだ。


 ロッシは「琢磨がターン4で幅寄せしたお返し」とシラを切ったようだが、琢磨にとってはこれでレースを失ったも同然の結果となった。その後右リヤタイヤがパンクし、引きずった走行をしたおかげで前後のエアロキットもダメージを受けた。


 ピットに入って修復しコースに戻ったものの、その時点で2ラップ遅れとなり勝負権を失った。

ノーコーションでレースは進み厳しい戦いを強いられる


 琢磨は淡々と走り続けたが、エアロバランスが狂ったおかげでタイヤへの影響も大きく、デグラデーションが通常の倍の速さで進むなど苦戦を強いられた。


 それでもチームクルーのためにも走行を続けたが、今度はエンジンが根を上げてしまった。62周目にマシンをコースサイドに止めた琢磨は無線で「みんな残念だよ。ここまで頑張ってくれてありがとう。感謝してる」と言い残すとマシンを降りた。結果は20位となり最終的なランキングは8位のままだった。


「なんでアレックスがあそこであんな寄せ方をしたかわからない。最後だから、気持ち良くレースを終えたかったのに本当に残念。あのドライビングは軽蔑に値しますね」


「でも1年間一緒に頑張ってくれたクルーとチームのみんなには、感謝したいです。来年の事については近々言えると思いますけど、2018年も良いレースができると思います」と、少し含みがあったがアンドレッティ・オートスポーツとのレースはこれが最後。


 だが来年も琢磨はインディカーのグリッドにいる。2017年のインディ500チャンピオンとして。


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