ついにトヨタのエースが覚醒。カローラGRS TCRの開発担当ロッシが連勝達成/TCR南米第7戦
2024年9月20日(金)20時25分 AUTOSPORT web
シーズン終盤戦を迎えているTCRサウスアメリカ・シリーズは、アルゼンチンに移動しサンフアン・ビリクムで第7戦を開催。この地元戦で「水を得た魚」のごとく躍動したのがトヨタ・チーム・アルゼンティーナ(TTA)から今季本格参戦を果たしているマティアス・ロッシで、自らがホモロゲーション登録まで手塩に掛け開発を担当したトヨタ・カローラGRS TCRで初ポールポジションを獲得すると、レース1のライト・トゥ・フラッグに続きレース2でも連勝を達成。南米大陸で“最高峰のテクニカルシリーズ”と称するFFツーリングカー選手権に君臨するTC2000“5冠”を誇る名手が、TCRの週末でハットトリックを決めている。
走り出しから雨に祟られたアルゼンチンの週末は、予選時には雲間が切れドライコンディションに転ずると、まずはQ1でこちらもTC2000“3冠”の現役王者リオネル・ペーニャ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)が最速タイムを記録する。
「とても暑かったが、地元のサーキットだしゆっくりと競争力を高めている。引き続き作業を続けるよ」と語った宿敵ペーニャに対し、Q2ではロッシがQ1のラップタイムを0.5秒短縮する驚異的なタイムを計時。ファン-マヌエル・カゼッラ(スクアドラ・マルティーノ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)らを退け、TCR規定ツーリングカー初の予選最速を手にした。
「最初の練習走行から非常に安定したマシンだったし、それを予選で証明して締めくくりたかった」と笑顔のロッシ。「素晴らしい仕事をしてくれたチーム全員に感謝したい。明日もこのペースを維持できるか見てみよう」
日曜の現地時間午前9時半を回ってシグナルグリーンとなったレース1は、ポールシッターのロッシがリードを守ってホールショット。カゼッラやマティアス・クラベロ(スクアドラ・マルティーノ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)のホンダ艦隊が背後に続いたものの、カゼッラがオープニングラップでコースアウトを喫してしまう。
レース6周目には同じカローラに乗るファビアン・シャナントゥオーニ(パラディーニ・レーシング/トヨタ・カローラGRS TCR)がコース上で停止し、セーフティカー(SC)が導入される場面があったものの、リスタート後もレースをコントロールし続けたロッシが快走を披露して初優勝。復帰後に追い上げたカゼッラとクラベロが表彰台の両脇を固めた。
「簡単ではなかった。苦戦したレースだったよ」と続けたロッシ。「プラクティスからホンダよりもペースで上回れることは分かっていたが、それでも戦わなければならなかった。何度も勝利に近づいたが、ついにブエノスアイレスで勝利がもたらされたね」
正午を回ってスタートが切られたレース2は、週末を通じて40kgの補正重量に苦しむ選手権首位のペドロ・カルドソ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)がリバースポールから発進したものの、2周目にはペーニャが、その直後にはラファエル鈴木(PMOレーシング/プジョー308 TCR)が立て続けにトップを奪う。
一方のロッシは、ファン-アンヘル・ロッソ(パラディーニ・レーシング/トヨタ・カローラGRS TCR)やカゼッラをパスして5番手とし、トラブルでスローダウンしたライバルのペーニャや、カルドソのプジョーを立て続けに仕留め、4周目には早くも2番手に進出する。
直後にアクシデントの発生でSCが導入されると、リスタート以降は首位の鈴木がタイヤの摩耗に苦しみ始め、13周目にはカローラがトップに躍り出る。そのまま週末2度目のトップチェッカーを受けたロッシが、愛機カローラとの初勝利の週末をパーフェクトで飾る結果となった。
「これは夢だ。このレース2で勝てるなんて思ってもいなかったよ」と喜ぶロッシ。「素晴らしいマシンで戦い、いくつかの効果的な動きがあったが、運も味方してくれた。セーフティカーがトップ争いに挑むカギとなったね」
続く第8戦は引き続きアルゼンチンでの開催で、首都ブエノスアイレスが誇る国際トラック、アウトドローモ・オスカー・ファン・ガルベスで10月4〜6日に争われる。
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