鹿島、ACL連覇ならず。なぜ「優勢」でも勝ち切れなかった?

9月20日(金)7時37分 Sportiva

 週末に行なわれたJリーグで、首位を行くFC東京に2−0で完勝した鹿島アントラーズ。その差を勝ち点1に詰め、いまにも首位の座を奪おうという勢いにある。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝。広州恒大との第2戦が行なわれたのは、FC東京戦の4日後になる。

 第1戦のアウェー戦は0−0。しかし、試合内容では勝っていた。鹿島はとくに後半、Jリーグの試合と変わらぬいいサッカーを展開。第2戦のホーム戦をいい流れで迎えることができた。不安点を挙げるとすれば、三竿健斗と白崎凌兵がFC東京戦で負傷し、この試合のメンバーから外れたことにあった。

 しかし、この件に関しての心配は杞憂に終わった。代わりにピッチに立った永木亮太、名古新太郎は好プレーを随所で披露。彼らの活躍もあり、鹿島は立ち上がりから試合を優位に進めた。永木、名古に限らず、鹿島の強みは誰が出場しても各選手がほぼ同水準のプレーをすることだ。ひと言でいえば、選手層が厚いということになるが、監督の使い回しのうまさも見逃すことができない。鹿島の”ステディさ”を語る時、これは欠かせぬポイントになる。

 14分にレオ・シルバが、32分にはセルジーニョが際どいシュートを放つ。このあたりまで流れは鹿島にあった。それは第1戦から続くものでもあった。違いはパスコースにあった。鹿島は広州恒大をプレーの選択肢の数で上回っていた。面白そうに見えるサッカーと言ってもいい。


広州恒大に引き分けてACL準決勝進出を逃し、倒れ込む鹿島アントラーズの選手たち

 風向きが変わったのは前半の半ばすぎから。広州恒大には、それなりのレベルを誇る助っ人がいる。エウケソン、アンデルソン・タリスカ、そして元バルサのパウリーニョのブラジル出身トリオだ。局面を一瞬にして打開するその個人の力に、鹿島は苦しめられ始めていた。

 そして前半40分、まさかの失点を許す。ピンチをコーナーに逃れたその直後だった。CKを、191㎝の長身選手タリスカに、高々としたヘディングでズドンとぶち込まれてしまったのだ。アウェーゴール。瞬間、鹿島には2ゴールが必要になった。勝ち抜くためのハードルはこれで一気に跳ね上がった。

 想起したのは内容で上回った第1戦の戦いだ。だが結果は0−0。「アウェーは引き分けでオッケー」とは、広くこの世界に浸透している言い回しだが、それは少々大雑把すぎる括りだ。スコアレスドローとアウェーゴールを奪っての引き分けとでは大違い。同じ引き分けでも天と地の差がある。

 ディフェンディングチャンピオンであることを意識したのか、鹿島は、リスクを恐れた静かな戦いに徹しているように見えた。55対45以上の関係で、試合を優勢に進めていたにもかかわらず。その成果が0−0では物足りない。引き分けるなら2−2ぐらいでないと割が合わない内容だった。

 第2戦の後半。2点を奪わなければ勝ちがない鹿島は、立ち上がりから攻め立てた。そして割と早い時間に、同点ゴールを奪うことに成功する。後半6分、レオ・シルバがゴール左斜め45度の位置から放ったシュートが、コースが変わりゴールに飛び込む。

 1−1。そこからタイムアップの笛が吹かれる39分+4分間(アディショナルタイム)の間、試合はほぼ鹿島ペースで推移した。いつ2点目のゴールが入ってもおかしくない展開のまま、エンディングに向かっていった。後半30分にはセルジーニョが左足シュートを放つも、バーに当たる。

 最後のワンプレーも惜しかった。レオ・シルバが左からセルジーニョとのワンツーで抜け出してシュート。決まったかに見えた瞬間、広州恒大のディフェンダーがシュートを掻き出していた。

 タイムアップの笛が鳴ったのは、その瞬間だった。シュートを放ったレオ・シルバと攻め上がっていたチョン・スンヒョンがピッチに突っ伏す。広州恒大も4人の選手がバタリと倒れ込んだ。激闘。こう言っては何だが、久々に見るスリル満点の好試合だった。

 日本のディフェンディングチャンピオンが敗退したとなれば、残念で悲しいニュースに聞こえるが、少なくとも「鹿島人」ではない第三者には悪くない敗退劇に映った。「サッカーなので勝つこともあれば負けることもある」と大らかな気分に浸ることができる、「また来年頑張ろう。次はJリーグ。逆転優勝目指して頑張るぞ」と、気持ちを切りかえやすい負け方と言えた。

 あえてひと言いうならば、その2トップの概念についてだ。

 鹿島は常に4−4−2と称する布陣で戦うが、実際は必ずしもそうではない。土居聖真は2トップの一角というより1トップ下だ。布陣は4−4−2というより、4−2−3−1、あるいは4−4−1−1なのだ。そのなかでの土居の役割が”何でも屋”というか、中途半端に見えて仕方がない。

 役割をハッキリさせた方が、その持ち味はより発揮されるのではないか。事実上の1トップである伊藤翔、あるいは上田綺世の役割も明確になるのではないか。攻めている割にシュートが飛ばない現実と、土居の役割は、少なからず関係があるように見える。

 言い換えれば、チームとして鹿島伝統様式である4−4−2の呪縛にハマってしまっている気がしてならない。この日の終盤のように、絶対にゴールが欲しい時は、布陣を変更して戦った方が変化はつけやすい。それに対応できる駒はいる。多種多彩、充実している。その4−4−2はいささか単調に見えて仕方がない。もったいない気がしてならない。好試合を見たあとに抱いた、もうひとつの感想である。


Sportiva

「鹿島」をもっと詳しく

「鹿島」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ