フランス初アシストの次は初得点へ リール、リヨン、モナコとの3戦に勝負賭ける中村敬斗

2023年9月25日(月)19時18分 サッカーキング

ブレスト戦での中村敬斗 [写真]=Getty Images

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 9月12日のトルコ戦で2得点を叩き出し、3月のウルグアイ戦での日本代表デビューからわずか3試合で3ゴールという固め取りを見せている中村敬斗。

「僕はどちらかと言うと、ペナルティエリア付近で勝負するタイプ。代表はボールを失ったところでみんながプレッシャーに行くというのがあるので、そこに僕も参加して、得点の形が生まれた。ちゃんと試合に出たのが2戦目で2ゴール取れたのは本当に大きい。マジで感謝ですね」

 本人は同ポジションの三笘薫との違いを意識しつつ、こだわっていた結果を出せたことに安堵感をにじませた。

 しかしながら、出場した日本代表戦3試合だけで第2次森保ジャパンに定着したとは言い切れない。彼が陣取る左サイドアタッカーは三笘を筆頭に前田大然など複数の候補者がいる。久保建英や堂安律も左に入ることがあるし、パリ五輪世代の斉藤光毅なども虎視眈々とA代表入りを狙っている。今回、いいアピールができたとしても、所属先でコンスタントに結果を残していなければ、いつ外されてもおかしくない。

 中村自身もそういう危機感を強めつつ、今夏赴いたフランスのスタッド・ランスでの戦いに身を投じたのである。

 代表明けの初戦は17日のスタッド・ブレスト戦。9月3日のメス戦ではスタメンを外れた中村はトルコ戦の活躍が認められたのか、2試合ぶりに先発復帰。代表の先輩である伊東純也と左右のウイングに陣取った。

 開始9分、センターサークル付近でボールを受け、素早い反転で相手をかわし、豪快にドリブルで持ち上がって強烈シュートをお見舞いするという離れ業をやってのける。これは実に見ごたえのあるプレーだったが、惜しくもGK正面。得点には至らなかった。

 直後にも積極的なミドルシュートを放ち、前半終了間際にも左サイドの角度のないところから持ち込んで右足を一閃。いずれもゴールになっていてもおかしくない場面だったが、相手守護神の鋭い反応に阻まれ、フランス初ゴールとはならなかった。

 それでも記録は残した。それが19分のFKからの先制弾のシーン。中村が頭で落とし、ファーサイドのアミール・リチャードソンがゴール。待望の「初アシスト」がついたのだ。

「セットプレーは結構、細かく言われていて、ニアに入れと。自分で触ってファーから決めるというのは狙い通りでした。アシストという記録がついたのもよかった。守備でも球際に行ってボールも取っていたし」と本人も前向きにコメントしていた。

 だからこそ、勝ちたかったが、スタッド・ランスは後半の11分間でまさかの2失点。これで逆転され、1−2で苦杯を喫してしまった。ブレストも同じ中位で、直接対決を制していたら一時的でも2位に浮上できていただけに、悔やまれる敗戦だ。中村も自身のアシストが勝利につながらなかったことを悔やんでいた。が、すぐに次の戦いがやってくる。本当の勝負はここからなのだ。

「これからリール、リヨン、モナコという強い相手が続く。ブレストには勝っておきたかったですけど、切り替えてやるしかないですよね」と彼自身も気合を入れ直していた。

 中村がここから得点を取れる形を確立させていくために、真っ先にやるべきなのが、伊東純也との連携強化だろう。

 今季のスタッド・ランスは、昨シーズン21ゴールを挙げたエースFWフォラリン・バログンがモナコへ移籍したのを筆頭に、伊東を除く主力攻撃陣がガラリと変わっている。となれば、なかなかコンビネーションを使ったプレーで崩すことができず、個の力頼みになりがちだ。そんなチームしてみれば、同じ日本人ウイングの2人が連携連動し、ゴールへの推進力を発揮してくれれば、理想的だ。

「僕はカットインが得意で、縦にも行けるようになるのが今の目標の1つなんですけど、パッと顔を上げた時に一番最初が見るのは純也くんのところと決めてるんです。一番遠いところから見て、そこにマークがついてるんだったら、手前を狙ったりする。ブレスト戦の前半の最後のカットインからのクロスもそういう狙いを持ってやりました。味方が邪魔になってしまい、通らなかったですけど、これからもっと狙っていきたいですね」とホットライン形成に意欲を燃やしていた。

 それが実現して、2人がスタッド・ランスをけん引し、今シーズンの目標であるUEFA大会出場圏内(6位以内)に到達するようなことがあれば、中村の評価は一気に上がる。日本代表でも三笘に肉薄できるかもしれない。

 若い選手には際限ない可能性があるし、何かのきっかけで成長曲線が急激に上がることもあり得る。今の彼はそういう時期を迎えているかもしれないだけに、本当にワクワク感を抱かせるのだ。

「今はランスですごく楽しくやれている。チームの雰囲気もいいですしね。ブレストに負けはしましたけど、次にビシッと行ければ問題ない。いい波に乗れればいいなと思います」と語気を強めた中村敬斗。直近のリール戦でフランス初ゴールを奪ってくれることを切に願いたいものである。

取材・文=元川悦子

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