2人の「ユウヤ」大迫VS山岸を比較。J1残留争い直接対決の行方は

2022年9月26日(月)18時30分 FOOTBALL TRIBE

山岸祐也(左)大迫勇也(右)写真:Getty Images

残り4節となった2022明治安田生命J1リーグ。優勝争いは横浜F・マリノスが1歩抜け出した形だが、対照的に残留争いは大混戦。12位から17位までが勝ち点3差と、1試合で順位が大きく入れ替わる状況となっている。


日本代表の欧州遠征による中断期間を挟み、J1第31節(10月1日)にはさっそく重要な試合が複数行われる。そのうちの1つが、14位アビスパ福岡と13位ヴィッセル神戸による、残留争い直接対決だ。第30節(9月17、18日)の試合で残留圏へと浮上した両チーム。福岡は清水エスパルスに3-2で逆転勝利し、神戸もガンバ大阪に2-1で逆転勝利を果たしたが、同試合ではそれぞれのエースストライカーが2得点を挙げるという共通点もあった。


ヴィッセル神戸の日本代表FW大迫勇也と、アビスパ福岡のFW山岸祐也。ここでは2人の「ユウヤ」に注目し、第31節の直接対決の注目ポイントをまとめよう。




Jリーグ旗 写真:Getty Images

大迫と山岸の2022シーズン


まずは2022シーズンのデータ面を中心に、大迫勇也と山岸祐也を比較してみる。


J1リーグ戦での得点数は大迫が6、山岸が9と、山岸が上回る。アシスト数は両者ともに1。出場時間は大迫が怪我の影響で1240分にとどまる一方で、山岸は2285分と大きく上回っている。


しかしシュート数は大迫が52、山岸が47と、出場時間を考えると大迫のほうが明らかに多く放っている。なお枠内シュート率は大迫が約35%、山岸が約36%とほぼ互角だ。


また両者ともにボールを収める技術に優れるが、強靭なフィジカルで踏ん張る「剛」の大迫と、柔らかな胸トラップなど「柔」の山岸と、印象は大きく異なる。




ヴィッセル神戸 FW大迫勇也 写真:Getty Images

大迫勇也のキャリア


言わずと知れた、日本を代表するFW大迫。鹿児島城西高校時代に、第87回全国高等学校サッカー選手権大会で10得点を決め得点王になったことで名を挙げた。この数字は大会最多得点記録となり、現在まで破られていない。Jクラブの争奪戦の末、高校卒業後の2009年に鹿島アントラーズに入団。


年々得点数を増やし、2014年1月にドイツ2部の1860ミュンヘンへと移籍すると、同年6月には1部のFCケルンへ。その後のヴェルダー・ブレーメン時代(2018-2021)を含め、高校時代のような得点力とはいかなかったが、安定感抜群なポストプレーを中心に貢献し続けた。


日本代表においても、各年代別代表を経て2013年の初出場からだんだんと評価を上げ、2014年のブラジルW杯や2018年のロシアW杯にも出場。今2022年も9月の欧州遠征メンバーからは外れているが2試合に出場するなど、未だ森保一監督からの評価は高い。2021年8月に加入した神戸でも、出場すれば安定したプレーをみせている。


4試合ぶりの出場となった前節(J1第30節)は45分間で2得点と「半端ない」姿を披露した。


アビスパ福岡 FW山岸祐也 写真:Getty Images

山岸祐也のキャリア


鹿島やドイツでキャリアを築いた大迫と対照的に、山岸は少しずつキャリアを積み重ねてきた。尚志高校(福島県)時代には、第90回全国高校サッカー選手権大会で5得点を挙げ、大会の優秀選手に。卒業後は流通経済大学に進学し、総理大臣杯やインカレ優勝を経験している。


2016年からザスパクサツ群馬に入団すると毎年安定した成績を残しながら、FC岐阜(2018-2019)モンテディオ山形(2019-2020)アビスパ福岡(2020-)と移籍し、昨2021シーズンついにJ1へとたどり着いた。


遅咲きではあるものの、昨シーズンは5得点、そして今シーズンはここまで9得点。夏にはガンバ大阪からのオファーが報道されるなど、J1でも注目を集めるまでになった。吸い付くような胸トラップを筆頭に、柔軟性あふれるキープ力、今2022年のJ1最速を記録するスピード、前線からの守備など、魅力は得点力だけではない。




長谷部茂利監督(左)吉田孝行監督(右)写真:Getty Images

直接対決(福岡VS神戸)の行方は?


前述したように9月17、18日に行われたJ1第30節に勝利し、自信を取り戻した大迫が所属する神戸と、山岸が所属する福岡。ただ自動降格となる17位とは勝ち点差2と、まったく安心できる状況ではなく、次戦(10月1日J1第31節)での直接対決の結果が来シーズンのカテゴリーへと直結する可能性もある。


熱戦となることは間違いない。大迫と山岸のエース対決に期待すると同時に、両チームの守備陣が彼らを抑えられるかにも要注目だ。


ホームとなる福岡は、ボランチの主軸の1人である中村駿が前節から復帰し、本来の中盤の安定感が戻ってきた。また9月25日に行われたサンフレッチェ広島とのルヴァン杯準決勝第2戦(0-0)では、公式戦10試合ぶりの無失点。2戦合計2-3で結果的に敗退となったものの、登録人数さえそろわなかった時期を考えると、コンディションは大きく上がってきた。


アウェイとなる神戸は、怪我人の状況が気がかり。9月25日に練習を公開したが、右サイドで攻守に活躍をみせる飯野七聖が右足を痛めてしまい、前節負傷交代したマテウス・トゥーレルは別メニュー調整が続く。それでも窮地で身体を張りプレーで引っ張る山口蛍酒井高徳、第29節の名古屋グランパス戦で復帰するとそこからの3試合で2勝1分と負けなしが続く菊池流帆など、十分に役者は揃っている。


両者ともに前節逆転勝利をおさめたとはいえ、本来「6ポイントゲーム(相手の3ポイントを奪い、3ポイントを獲得することで6ポイントの影響を与える直接対決)」で早い時間帯の失点は避けたいところ。後ろの選手がどれだけ踏ん張れるかは、試合の行方を大きく左右する。


勝ち点3を積めたどちらかのチームは残留争いから1歩抜け出せるだけに、10月1日のベスト電器スタジアムは通常の試合以上に熱気で包まれることだろう。

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