山崎武司が夏の強打者10人を診断。「育てたい」という意外な球児は?

9月27日(金)6時45分 Sportiva

 39歳で本塁打王のタイトルを獲得するなど、プロ通算403本塁打を放った山崎武司氏。パワーと技術を併せ持ったスラッガーが、今夏の甲子園に出場した打者のなかから有望な10選手をピックアップ。山崎氏の眼鏡にかなう選手は誰だったのか。そして、山崎氏は意外な伏兵に高評価を与えた。


甲子園で3本塁打を放つなど、初の全国制覇に貢献した履正社・井上広大

井上広大(いのうえ・こうた/履正社3年/187cm94kg/外野手/右投右打)

甲子園で3本のホームランを打って、チームを優勝に導いたスラッガーですね。もちろん、僕も知っています。決勝戦であの奥川恭伸くん(星稜)からホームランを打つのだから、パワーだけではない目に見えない力があるのでしょう。見るからに体に力がありそうですが、彼のいいところは上体の力に頼って振らないこと。だから強いスイングができるのでしょう。ただ、上半身と下半身のバランスは改善の余地があります。左腰が前にいきすぎて、ボールと衝突するような形になっているので、その分さばききれない場面を見ます。このバランスを意識して改善できれば、高いレベルでも楽しみなバッターです。


高校通算45本塁打を放ち、投げても最速145キロを誇る東海大相模・遠藤成

遠藤成(えんどう・じょう/東海大相模3年/178cm82kg/遊撃手/右投左打)

しっかりとバット振り切れるし、面白い素材ですね。面構えからして、相手に向かっていく気迫を感じます。少し気になるのは、引っ張りたい気持ちが先行しているからなのか、ホームベースから右45度の角度で野球をやっているように見えます。軸足への体重の乗りが浅く、体重移動のバランスがもうひとつ欠けています。いい打者なのは間違いありませんが、広角に打てるようになるにはどうすればいいか、追求してみてほしいです。


奈良大会で新記録となる5本塁打を放った智弁学園・坂下翔馬

坂下翔馬(さかした・しょうま/智弁学園3年/165cm67kg/遊撃手/右投左打)

身長は低いですが、いわゆる小力(こぢから)のあるいいバッターですね。強靭な下半身があって、軸足に体重を残しつつボールを待てるし、体の右サイドがギリギリまで開かないのもいい。しっかりと自分で考えて、意識していることが伝わってきます。個人的には、ヒザを深く折り曲げて重心を下げる構えは、しゃがみ込みすぎだと感じます。もう少しラクに構えた方が、バットがスムーズに出るはずです。


習志野戦で2打席連続本塁打を放った鶴岡東の丸山蓮

丸山蓮(まるやま・れん/鶴岡東3年/183cm80kg/外野手/右投右打)

習志野戦でレフトとライトに2打席連続ホームランを打ったシーンを見ましたが、非常に元気のいいスイングをする打者ですね。おそらく高めに飛距離が出るツボを持っているのでしょう。僕も似た系統の打者でしたが、こういうタイプはタイミングをうまく合わせられるかで決まります。クイックモーションのときにどう合わせていくか、課題になりそうです。現時点で丸山くんは上半身で強く振れる力を持っていますが、下半身をもう少しバランスよく使っていきたいところ。どんな球でもタイミングを取れるよう考えてみてほしいですね。


甲子園では無安打に終わったが、愛知大会で打率.364を記録した誉・澤野聖悠

澤野聖悠(さわの・きよはる/誉3年/183cm84kg/遊撃手/右投左打)

まったく知らない選手でしたが、スイングが柔らかく、バッティングセンスを感じる打者ですね。甲子園では初戦敗退でノーヒットに終わりましたが、光るものを感じました。上体が立ったいい姿勢でボールを待てるし、バットの出方もいい。打撃の基本であるインサイドアウトのスイングができています。あとは体に力がついていくかどうか。プロ志望届を提出したそうですが、非凡なセンスを持った面白い選手でしょう。


甲子園では初戦敗退も2安打を放った俊足好打の1番打者、広島商の天井一輝

天井一輝(あまい・いっぺい/広島商3年/178cm78kg/外野手/右投左打)

今回見た選手のなかで、一番惹かれたバッターは彼でした。何がいいかと言うと、ボールの見送り方がいい。構えからスイングまで全体的にバランスがよく、ボールをしっかりと見極めている。これはできそうでできないことなんです。体つきも下半身の強さもあるし、あとは全体的に力がついてくればもっと飛ばせるようになるはず。今はまだガムシャラにやっているだけでしょうが、「どうしたらこの球をこの方向に打てるか?」と考えて打てるようになれば大化けするはずです。変なクセもないし、僕が指導者なら「教えがいがあるなぁ」と感じる素材です。


準決勝の履正社戦でホームランを放った明石商・来田涼斗

来田涼斗(きた・りょうと/明石商2年/178cm78kg/外野手/右投左打)

春のセンバツでも見て、そのスケールの大きさから「イチオシ」と言わせてもらった打者です。2年生とは思えないほど体つきがいいし、力もある。下半身の使い方もうまいと感じます。狭間善徳監督から「タイミングが計れない」と指摘されているようですが、僕から見ると手の使い方で改善できると思います。ガチッと手に力を入れてバットを握っているので、バットがスムーズに出てこないのでしょう。ソフトに握って、少しでもいいから手を動かしてゆったりとタイミングを取ってみたらもっとよくなると思います。


1年夏からベンチ入りを果たした東海大相模の大型スラッガー・西川僚祐

西川僚祐(にしかわ・りょうすけ/東海大相模2年/186cm92kg/外野手/右投右打)

まず体が大きいところに目がいきますし、ドンピシャのタイミングでとらえた時の飛距離はすばらしい。いいものを持っている反面、「もったいないなぁ」と感じるところも多い打者です。まず、せっかく大きな体をしているのに小さく構えているところ。もっと大きく構えれば、雰囲気を出せるはずです。また、東海大相模は「前で打つ」という打撃指導を徹底していると聞きましたが、西川くんの場合はその意識が強すぎるように感じます。軸足のタメができていないので、外角に逃げていくスライダーなどは対応できなくなってしまう。もう少し軸足に体重を乗せる意識を持つといいでしょう。


昨年夏の甲子園も経験している花咲徳栄のスラッガー・井上朋也

井上朋也(いのうえ・ともや/花咲徳栄2年/180cm80kg/外野手/右投右打)

彼も体に力があって、バットを強く振れますね。高いポテンシャルを感じます。頑丈そうだし、たくさん練習ができる指導しがいのある打者なのでしょう。少し気になるのは、まだ打撃の基本動作を把握できていないように見えること。本来であれば、右ヒザがホーム方向に残って左足が前にいく、いわゆる「割れ」の形をつくるのが基本。井上くんの場合はボールを呼び込む際に軸足が早めに前にいってしまい、力が抜けてしまうことがあります。割れの形をしっかり作れるようにしたいですね。


名門・智弁和歌山で1年から4番を任される徳丸天晴

徳丸天晴(とくまる・てんせい/智弁和歌山1年/183cm79kg/外野手/右投右打)

1年生ながら名門の4番を任されるだけだって、体に力があって強く振れるのがいいですね。まだ1年生ですから、粗さがあるのは当然。これから大きく成長してもらいたいです。1つだけ指摘させてもらうと、打ちにいく際の姿勢を改善した方がいいでしょう。ステップする際に左肩がホームベースに被さるように入ってくるので、インコースはすべて詰まってしまいます。ピッチャーから背番号が見えてしまうようなボールの待ち方だと、アウトコースの甘い球は打ててもインコースは早めに開いて打つしかありません。ピッチャーに対して真っすぐステップできるといいですね。

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 昨夏の根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)のようなインパクトのある打者は少なく感じましたが、大事なのは高校以降でどれだけの技術を身につけられるかです。将来性の高い打者はまだまだいるなと感じました。

 全体的に少し気になったのは、メジャーリーグの影響なのか上半身の力だけで振ろうとしている打者が多かったことです。たしかにロスの小さいメジャーリーガーのスイングはある意味、理想です。でも、それは強靭な上半身の筋力があった上でのこと。外国人の丸太のような腕があれば別ですが、日本人の場合は骨格的に全身をフルに使ったスイングのほうが合っていると僕は思います。

 上半身の力に頼っている打者のほとんどは、高校卒業後に木製バットに変わって苦労しています。そうなるとバッティングを一から作り直さなければならないので、高校時代からしっかりとした形を作っておいた方がいいでしょう。

 ポイントはやはり「上半身と下半身のバランス」。上半身はヒッチやコックなどの予備動作、遊びで間(ま)を作って、下半身は軸足側に体重を残しながら前へステップする。もちろん、打者によって向き不向きはありますが、基本動作として頭に入れておいてもらいたいですね。

Sportiva

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