目指すは“夫婦ドライバー”!? KYOJO-CUP第2戦に細川慎弥の由衣花夫人が挑戦

2017年9月28日(木)19時24分 AUTOSPORT web

 9月17日、富士スピードウェイで今季からスタートした女性によるレース『KYOJO-CUP』の第2戦が行われたが、この一戦に出場した16台のうち、あるユニークなキャリアをもつドライバーが参戦していた。


「いつかは自分も出てみたい」──。


 KYOJO-CUPの開幕戦を見て、そう思った女性も少なからず存在するのではないだろうか。そんな思いを、さっそく実現させたドライバーが存在する。それが今回の第2戦で、28号車INCELL×SD-STYLEのVITAをドライブした、細川由衣花だ。ただのルーキードライバーではない。彼女の夫はスーパーGT等で活躍するプロのレーシングドライバー、細川慎弥なのだ。


「遊びでドリフトをやったり、主人とレンタルカートをちょこっと乗ったりしたことはありますが」とは言うものの、由衣花にレース経験は皆無。夫である慎弥が行っているキッズカート講習会を手伝ううちに、自分でもレンタルカートに乗るようになり、自ら走ることにも興味を覚えたタイミングと、このKYOJO-CUPの感動がうまくシンクロしたのだという。ただし、それから4か月……。すでにレースを始めている人なら長いインターバルながら、初めてとなると、短いインターバルなのは間違いない。


「走りはじめは主人にS2000で引っ張ってもらったんですが、主人もどこまでいっていいのか分からないみたいで(笑)。クルマがメチャクチャ動くな、怖いなぁという状態で、でもけっこういっているんだけどなぁ……と思ったら2分18秒台(笑)。その時に速い子たちのタイムが2分3秒と聞いていたので、あと15秒縮められる自信はなかったんですが、とりあえず2本目は自分だけで走ってみて12秒台。それから2週間ちょっと開いて、おととい9秒台までいって、そこから今日、6秒の前半までいけたんです」と由衣花。それがレースウイークの金曜日のことだ。


 12秒もの短縮は、きっと慎弥の的確な指導の賜物なのだろう。加えて運動神経の良さも、著しい進歩の理由のようだ。


「以前、水泳を本気でやっていて、いちおう強化選手にまでなったんですが、腰がおかしくなっちゃってドクターストップがかかり、止めることになっちゃって。自分がやり始めたことに対して、突き詰めたものになっていなかったので、モヤモヤ感は残っていました」と由衣花。もしかしたら、レースをやることは必然だったのかもしれない。

KYOJO-CUP第2戦に参戦した細川由衣花
少しずつタイムアップをみせていった


 練習期間中には、車載動画をしきりに見たというが、「困っちゃったんです。主人の動画を見ていると、キレイなんですよ。何に乗ってもキレイな走りをするので、そのまんま乗っていたら、自分と主人のスピード感が全然違うんですよ。『これキレイすぎるから、あんまり見ちゃいけないのかな』と迷ったほど。だから、主人に対して尊敬の念が生まれましたね」


「今までは『ドライブはうまいんだろうけど、何やってるんだろうな』って感じだったんですが、すごいなぁって(笑)」とあっさり語ってはいるが、違いが分かるのだから、やはりそのあたりスポーツ経験者ならではの、感覚の鋭さなのだろう。


 残念ながら、ドライコンディションで走れたのは、レースウイークの金曜日まで。予選、決勝ともウエットコンディションとなってしまったものの、そういった悪条件の中でも、由衣花は堂々たる走りを披露した。予選では二度スピンがあったとのことで「心、折れかけました。アタックラップに失敗すると、こんな感じになるんですね」としみじみ。


 それでも10番手を獲得し、決勝でも小迫美代子(#739)やおぎねえ(#13)といった、ベテランを相手に激しいバトルを演じ、最終的に予選よりひとつ順位を上げて9位でフィニッシュした。なお優勝は小山美姫(#36)で2連勝。神子島みか(#94)が2位、小泉亜衣(#86)が2戦連続の3位となった。


「いや〜、楽しかったです。すごくクリーンなバトルをベテランの方とさせていただいて、とても勉強になりました。私はどちらかというといっちゃうタイプなので、おふた方にうまく抑えてもらったというか。練習中からハマりつつあるのは感じていましたが、より一層今後も続けたい、という気持ちがすごく強くなりました」と由衣花。今回が「幸先の良いスタート」となることを期待したい。

由衣花のデビュー戦には、雨のなかながら多くの応援が駆けつけた。
レース後、慎弥と談笑する由衣花


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