F1ロシアGP木曜会見:2019年のシートを喪失したエリクソン「キミが契約したとき悪い予感がした」
2018年9月28日(金)10時25分 AUTOSPORT web
F1第16戦ロシアGPのFIA木曜日会見の出席者は、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、マーカス・エリクソン(ザウバー)、シャルル・ルクレール(ザウバー)、セルゲイ・シロトキン(ウイリアムズ)の4人。
ただ一人のロシア人ドライバーのシロトキンが呼ばれるのはわかるが、それ以外は少し話題性に欠けるメンバー。そういうこともあってか、最初の質問はロシアGP直前に、2019年のザウバーのレギュラーシートを失うことが発表されたエリクソンからスタートした。
「もちろん、来年レースができないことになって、かなりガッカリしているよ。もちろん、チームとの関係が来年も継続されるけど、レーシングドライバーだから、レースができないのは、決してハッピーじゃない。いまはとりあえず、F1だけでしゃなく、ほかのカテゴリーも含めて、さまざまなオプションを探っているところ。ただし、F1をあきらめたわけじゃない。来年は不可能でもまたF1にカムバックすることを目標に頑張りたい」
とはいえ、まだ来年のシートはすべてが埋まったわけではない。ロシアGP前日の木曜日の時点で、フォース・インディアもウイリアムズも、そしてトロロッソ・ホンダもまだ正式な発表は行なっていなかった。
「そのような状況の中で、どうしてザウバーのリザーブドライバーに就くという選択を採ったのか?」と質問されたエリクソンは次のように答えた。
「キミ(・ライコネン)が契約したとき、それは僕にとって悪いニュースになると思った。その悪い予感は的中して、先週末にはアントニオ(・ジョビナッツィ)がもう一つのシートを獲得したという情報が入った。そのとき僕と僕のマネージメントは、ほかのF1チームのシートも検討したけど、ザウバーと継続して関係を維持していくことのほうが重要だと考えたんだ」(エリクソン)
2018年シーズン、唯一のロシア人ドライバーとしてF1に参戦しているシロトキンに対しては、「われわれのチャンピオンであるシロトキンに質問です。母国グランプリに向けて、どんな準備を行なってきましたか?」という質問が、地元の記者からとんだ。するとシロトキンは冷静にこう答えた。
「もし、グランプリに向けて最高の準備というものがあるのなら、それはこの母国グランプリにだけでなく、どのレースでも行っているよ!! だから、このグランプリに向けての準備は、これまでと同じだよ」
この手の質問は、日本グランプリに向けて、私たち日本の記者たちが日本人ドライバーに行ってきたのと同じで、シロトキンの答えがなぜか胸に突き刺さった。
■フェラーリ入りが決定し期待が高まるシャルル・ルクレール
ボッタスへは「昨年は3番手からスタートしたのに、スタート直後にスリップストリームを使って逆転しました。今年もポールポジションより予選は3番手か4番手のほうがいいと思っていますか?」という質問が。これにはボッタスも苦笑いしてこう答えた。
「確かに去年の勝因はスタート直後にスリップストリームを使うことができたことだけど、やっぱり、レースというのは少しでも前からスタートしたほうがいい。その前の年はいずれも最前列からスタートしているからね。特に今年は何ヶ所か舗装が新しくなっていて、グリッド上では、ちょうど1列目だけが新しくなっているから、最前列のほうがアドバンテージがあると思う」(ボッタス)
2019年のフェラーリ入りが発表されてから初めてのFIA会見となったルクレール。そのため、この会見では「フェラーリドライバーになるというあなたの夢は達成されましたが、もうひとつの夢である初勝利についてはどうですか?」という質問が。しかし、ルクレールは冷静にこう答えた。
「そんなことはまだ全然考えていない。いまはザウバーでの仕事を最後までやり遂げることしか頭にない。もちろん、フェラーリのドライバーになることは僕の夢だった。それは事実だけど、今シーズンはまだ6レースもある。来年のことを考えるのは、まだ早い」
ルクレールは英語のほかにフランス語、イタリア語も達者で、コミュニケーション能力が高く、絶対に脱線しない。フェラーリとしてはこういう部分の能力も買っているのだろう。
とはいえ、脱線しないために面白みに欠けてしまっていることも否めない。「まだまだ学ぶことはたくさんある」というルクレール。残り6レースは、ドライビングテクニックだけでなく、先輩のライコネンから記者やファンの心をつかむ会話術を学んでほしい。