【英国人の視点】新潟、全てが遅きに失した2017年。奇跡の“脱出”は不可能? 誇りかけた終盤戦へ

9月28日(木)11時15分 フットボールチャンネル

全てが足りず、全てが遅すぎた2017年

 アルビレックス新潟が降格の危機に瀕している。2004年から守り続けてきたJ1での地位は、14年目にしてその手から離れていってしまうのだろうか。シーズン開幕前から希望を抱くのが難しかった2017年は、新潟にとって試練続きの日々となってしまった。(取材・文:ショーン・キャロル)

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 北海道コンサドーレ札幌と2-2で引き分けた先週末の試合(J1第27節)で、アルビレックス新潟は十分に戦う姿勢を見せた。2点ビハインドから追いついて勝ち点1を手に入れたが、試合終盤にかけて勝ち点3を獲れそうな戦いを見せていたのは新潟の方だった。

 だが結局のところ、この試合は新潟の今季を象徴するような試合でもあった。全てが足りず、全てが遅すぎるという点で。

 確かにまだ7試合が残されており、数字的には呂比須ワグナー監督のチームが奇跡的な降格圏脱出を成し遂げることも可能かもしれない。だが現実的には、残留の目はとっくに消えてしまっている。

 5年前の2012年にもゲームオーバーを迎えるかにみえた新潟だが、周囲の予想を完全に覆して最終節で残留を勝ち取った。ホームで4-1の勝利を収めた相手は今回と同じ札幌。加えてガンバ大阪がアウェイでのジュビロ磐田戦に1-2で敗れ、ヴィッセル神戸がホームでのサンフレッチェ広島戦に0-1で敗れたことで、関西の2チームが降格を強いられる結果となった。

 危機からの脱出を果たしたことが新潟に力を与え、その翌年には7位まで急上昇。優勝した広島との差はわずか8ポイント、降格ラインには実に30ポイントもの差をつけることができた。だがその好調も長続きはせず、2014年からは再び低迷に陥っていった。

 2014年は降格ラインと9ポイント差の12位で終了。翌年にはさらに落とし穴へと近づき、6ポイント差の15位で降格を回避した。昨年は得失点差によるギリギリのJ1残留だった。今度は名古屋グランパスが新潟を救ってくれた。すでに降格の決まっていた湘南ベルマーレとのホームでの最終節に敗れた名古屋が降格の憂き目にあった。

主力が大量流出。穴埋め進まず、初勝利は開幕から7試合目

 シーズン開幕前の移籍市場での苦戦により、今季も残留争いを強いられることは予期されていた。チーム最高の選手たちを引き抜かれることには慣れっこになっていたとしても、舞行龍ジェームズ、レオ・シルバ、ラファエル・シルバを一度に失った穴は埋められるものではなかった。

 3人の代役となる目立った補強はなし。指揮官として、J3のAC長野パルセイロを1年間率いただけであり、J1では初の仕事となる三浦文丈監督が招聘されたのも少々驚きだった。2017年の新潟に大きな期待を抱くことができる者は多くはなかった。

 その不安は現実のものとなり、新潟は開幕から6試合を終えて1勝も挙げられず、勝ち点はわずか2ポイント。4月16日のヴァンフォーレ甲府とのアウェイゲーム(第7節)で2-0の勝利を収めて今季初の勝ち点3を獲得したが、その後は無得点での3連敗が続き、三浦監督はベンチを追われることになった。

 その翌週、片渕浩一郎暫定監督の率いた新潟はホームでの浦和レッズ戦に1-6で大敗。心機一転の希望とともに呂比須ワグナー新監督が招き入れられ、5月20日には初采配の札幌戦で順調なスタートを切った。しかし、それも幻の夜明けでしかなかった。チームはそれ以来リーグ戦で1勝も挙げることができていない。

 未勝利期間はいまや15試合に達している。土曜日の試合に向けては、最初から攻めに出ると力強く宣言していたが、実際には札幌ドームでの序盤にそういった大胆な姿勢はみられなかった。最初の20分間のボール支配率は56%と相手を上回ってはいたが、その間1本も枠内シュートを放つことができず、札幌のGKク・ソンユンが27分に負傷交代を強いられた後になっても本格的にゴールを脅かすことはできなかった。

今季わずか2勝。不名誉な記録を刻まず1年を終えるには…

 前半アディショナルタイムの5分を迎えたところで、山崎亮平が正当なゴールを狙いにいくのではなく転んでPKを獲得しようとしたことは、チーム全体のファイナルサードでの自信欠如の表れだった。その直後、前半ラストプレーでホームチームがリードを奪ったのも納得の展開だった。

 後半になっても劇的な改善はみられず、56分にはヘイスがフリーキックを決めて札幌がリードを広げる。新潟がある程度試合の主導権を握り始めたのは、2点を奪った相手が気を緩めすぎてしまい、試合のコントロールを放棄してからのことだった。

 少なくとも、諦めてしまわなかったことは称賛されて然るべきだ。交代出場の河田篤秀が終盤に2点を奪ったことで、多少の誇りを手にして試合を終えることはできたが、結局のところ今後の戦いから得られるのはその誇りだけしかない。

 新潟は来季をJ2で戦う可能性が高い。だが少なくとも、最後まで戦った証として、J1での年間最少勝ち点の記録を更新せずにシーズンを終えられるようにしたいところだ。

 その不名誉な記録は現在、札幌(2012年)と大分トリニータ(2013年)、徳島ヴォルティス(2014年)の3チームが共有している。いずれのチームも年間34試合を戦い終えて勝ち点わずか「14」だった。

 新潟は現在勝ち点「12」。あと1勝を挙げることさえできれば不名誉な形でJリーグの歴史にその名を刻まれずに済む。とはいえ、これまでの27試合で手にした白星は2つのみ。残りの時間も試合数も限られている。

(取材・文:ショーン・キャロル)

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