なぜ、冨安健洋は失点に絡んだのか? ボローニャの“核”だからこそ潰しにきたウディネーゼの戦略

10月1日(火)10時20分 フットボールチャンネル

後方の冨安にもマークを付けたウディネーゼ

 セリエA第6節、ウディネーゼ対ボローニャは1-0でウディネーゼが勝利した。日本代表DF冨安健洋はこの試合でも右サイドバックとして先発起用されたが、試合を決めた1点は冨安の右サイドを崩されてのものだった。しかし、それはウディネーゼがボローニャの右サイド攻略を戦術上1番の対策としていたからだった。(取材・文:神尾光臣【ウディネ】)

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 開幕5試合連続出場で、交代は一度もない。概して移籍初年の外国人選手には難しいリーグとされているセリエA初挑戦にあたって、冨安健洋は上々の安定感を披露していた。順応が上手くいき、コーチ陣からも厚い信頼を得られているということは、中2日の過密日程だったローマ戦、ジェノア戦でスタメンフル出場だった事実が示している。

 第6節のウディネーゼ戦も然りだった。前日の記者会見でミロスラフ・タニガ助監督は「一人か2人選手を入れ替えるかもしれない」とも語っていた。しかし、ディフェンスラインには手をつけずそのまま送り込んだのである。

 ただ、今回は1点差で惜敗。しかもその1点は、冨安の持ち場であった右サイドから上げられたクロスによってもたらされたものだった。90分間を通したパフォーマンスそのものは悪くなかったのだが、他の守備陣とともに失点に絡んでしまった部分があったのは事実だ。

 この日ウディネーゼは、ボローニャの右サイド攻略を戦術上1番の対策として練ってきた。本来は右のサイドバックか、ウイングバックを務めるイェンス・ストリーガー=ラルセンをこのサイドに回した。卓越した突破力を誇るリッカルド・オルソリーニにぶつけるためだ。しかしそこでは終わらず、彼にパスを出す後方の支援者も潰しにきたのである。つまり、冨安だ。

 相手がボールを保持し守備をしている時には右サイドバック然にサイドを守り、一方で味方がボールをキープしている時は、3バック状に絞ってビルドアップを担当するのが彼の役割である。ウディネーゼのイゴル・トゥードル監督は冨安に対して、中盤のロランド・マンドラゴラにプレスを掛けさせた。

決勝点となった27分の場面とは?

 もっとも冨安自身は、そんな状況を前にも大崩れせずに普段通りのプレーを決行。プレスは執拗に掛けられるが、ワンフェイクを入れてマーカーをずらし、左右両足を巧みに使って味方にパスを蹴り分ける。ボールタッチも多く、パスの成功率も上がり、最前線の味方の動きを見て足元か頭かへのパスを切り替える丁寧さも見せた。しかしウディネーゼの狙い通り、オルソリーニへの展開は制限されてしまった。

 そしてこのウディネーゼが組んできた左には、守備でプレーを制限されるだけでなく攻撃でもやられてしまった。それが27分のシーンだ。

 攻守が入れ替わり、ウディネーゼが中央から組み立てを図る。ところが前線と中盤のプレスがうまくいかず、縦にパスが通ってしまった。冨安は前線に張り出したマンドラゴラをマークすべく中よりのポジションを取るが、アウトサイドではストリーガー=ラルセンがフリーになってしまっていた。前のプレーで前線にプレスを掛けていたオルソリーニが、守備に戻っていなかったのである。

 中盤でスピードの上がったパスは、素早くフリーとなった左に展開される。冨安はこの時点でマンドラゴラのマークを他の選手に譲ってサイドへと寄る。しかし、反応が遅くなってしまってはもはや後手の対応。ストリーガー=ラルセンに詰めきれず、余裕でクロスを上げられてしまった。

 これを中央でステファノ・オカカに合わせられ、これが決勝点となってしまった。

 悔やまれるところである。どちらかといえば冨安の不出来というよりは戦術上の問題で、ローマ戦同様前線でプレスがしっかりと掛かっていれば、アウトサイドへスイッチができる時間ができたのかもしれない。いずれにせよ、守備の連係という部分では課題を晒したということは事実だ。

それでも素晴らしかったパフォーマンス

 その後、挽回を図る冨安のプレーは素晴らしかった。34分、カウンターから逆サイドにフリーで走りこんでいたニコラ・サンソーネの足元にピタリと合わせて見せたミドルパスは秀逸だった。

 後半は積極的に攻め上がり、クロスも3度上げている。もっともそれらを受けた味方はミスをし、肝心のフィニッシュワークでは得点に結びつかなかった。逆に終盤は、相手のプレスに押されて抜かれそうになるシーンも作っていたのである。

 主審の判定基準が曖昧なことで選手が激昂した挙句、終盤にロベルト・ソリアーノが退場となるなど、ボローニャにとっては後味の悪い試合となった。ただ、チームとして足並みが整っていない面があった感は否めない。特に、ローマ戦の時と同じような形でピンチとなったプレスや守備の連動は、再度整備が求められるところだろう。

 タッチ数は全選手を通して2位の73、パスの成功数も3位と、冨安のプレーそのものは悪くなかったことは相変わらずスタッツにも出てくる。そこで守備の受け渡しなどの連係を強化し、チーム全体で噛み合せることができるかどうかが当面の課題として見えてきた印象だ。

 次はホームでラツィオ戦。この序盤ではやや低調だった彼らも、今節は大勝を遂げ復調のきっかけをつかんでいる。冨安は、ボローニャは、このタフな相手を止めて攻略することができるか。

(取材・文:神尾光臣【ウディネ】)

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