アストンマーティンF1、2022年の収益は前年から約58億円増加。その一方で損失は約96億円にのぼる

2023年10月3日(火)11時45分 AUTOSPORT web

 アストンマーティンF1は、2022年会計年度に5300万ポンド(約96億5700万円)の損失を計上し、前年度の損失額から900万ポンド(約1600万円)増加したことが明らかになった。同チームはスポンサーシップと分配金の増加によって全体的な収益は3200万ポンド(約58億2800万円)以上増加したにもかかわらず、さらに大きな損失を出したことになる。


 F1のレギュレーション刷新に関連した2022年の大幅なコストの上昇は、チームの売上改善による相殺を上回るものだった。組織再編後、現在チームはAMR GPホールディングスの小会社であるAMR GP Limitedの名の下で運営している。これらの数字によれば、チームの総収益は、2021年の1億5043万8000ポンド(約274億円)から2022年は1億8872万8000ポンド(約344億円)になっている。


 しかしチームのレース活動の実際の支出を示す売上原価は、2021年の1億773万5000ポンド(約196億円)から1億5204万6000ポンド(約277億円)に跳ね上がっている。管理費や政府補助金などの他の収入源を考慮すると、2022年の全体的な損失額は5291万5000ポンド(約96億円)に達しており、2021年に報告された損失額4333万2000ポンド(約79億円)とは対照的だ。


 グループの人件費総額は5498万3000ポンド(約100億円)と記録されており、前年に比べて約10%増加した。AMR GPは従業員総数を504名と報告しており、その内訳は管理部門に81名、“設計、製造、技術”部門の従事者が423名となっている。この数字は、2021年の従業員数401名からの増加を示しており、チームの継続的な拡大努力が浮き彫りになっている。


 シルバーストンにあるアストンマーティンの新施設への多額の投資に関して、同社は2021年12月31日の時点でグループが総額6498万5490ドル(約97億円)の設備投資を行ったことを指摘した。この金額は、アストンマーティンF1キャンパスの開発に割り当てられたものだ。

シルバーストン・サーキット近郊に誕生したアストンマーティンF1のファクトリー


 またアストンマーティン・ラゴンダ社は、F1チームのマーケティングに2022年は1920万8000ポンド(約35億円)を投じた。これは前年から84万4000ポンド(約1億5000万円)の減少となる。


 AMR GPは、2022年にチームがランス・ストロールに向けたレーシングサービスについてFalcon Racing Services Incに183万5000ドル(約2億7000万円)を支払ったと述べており、2021年と比較すると22万5000ドル(約3400万円)の減少となった。その代わりに、Falconは2022年にスポンサー料として112万5000ドル(約1億7000万円)を支払っている。


 同社は他のF1チームと同様に、新設されたアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズによって業務範囲を多様化していることを明らかにしている。この部門は「レーストラックから得られた洞察を活用して、現実世界の課題に対処」するという。さらに同社は、この新たな組織は「2022年に最初の契約を締結し、将来の成長戦略の一環として強固な商機を持っている」と述べた。


 アストンマーティンF1チームが2022年の数字を発表することに加えて、アストンマーティン・ラゴンダは、富豪の後援者ローレンス・ストロールのYew Treeコンソーシアムが事業への出資を増額したと発表した。アストンマーティンは株主に対し、Yew Treeがさらに2600万株の普通株を購入する契約に合意したと述べた。つまりコンソーシアムは、同社の株式保有率を3.27%から26.23%に増やすことになる。それでも大株主が企業に対して買収提案を行うか否かにあたっての基準となる30%には達していない。

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