【フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアント試乗記】大衆車たる懐の深い乗り味は好印象。電子制御された足回りも良好

2023年10月3日(火)7時15分 AUTOSPORT web

 先日掲載したプジョー・リフターロングGTに続き、編集部ではフォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアントに乗る機会に恵まれた。こちらもレース取材の際にドライブすることができたので、クルマの詳細と気になる乗り味をお伝えしたい。


 今回ドライブしたゴルフ・ヴァリアントは、正式名称を『ゴルフ・ヴァリアントTDI アクティブ・アドバンス・プラチナムエディション』という。1度でこれを理解できた者を尊敬せざるを得ないほど、長い名前が与えられている。しかしその名前にも大きな意味があり、要約すると以下のようになる。


『ステーションワゴンモデルであるゴルフ・ヴァリアントの、最新世代ディーゼルエンジン“TDI”を搭載したモデルであり、“アクティブ・アドバンス”というグレードかつ、その“プラチナムエディション”という特別車両』ということだという。


 名前についてはこれくらいにしておいて、クルマの詳細を説明したい。ゴルフ・ヴァリアントのボディサイズは全長4640mm、全幅1790mm、全高1485mmと標準的なステーションワゴンと大きくは変わらない。ホイールベースは2670mmで車両重量は1500kgと、“長すぎず重すぎない”具合に収まり、高い直進安定性と軽快なハンドリングを生み出している。

フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアント“アクティブ アドバンス・プラチナム エディション”(アトランティックブルーメタリック)


 搭載されるエンジンは、2リッター直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボのディーゼルエンジン。最高出力は150ps/3000〜4200rpm、最大トルクは360Nm/1600〜2750rpmとなっている。


 このエンジンには“TDI”の所以となる最新技術のツインドージング(デュアルAdBlue噴射)システムが採用されている。ツインドージングシステムとは、直列に配置したふたつのSCR触媒コンバーターから『AdBlue』を注入することで、窒素酸化物(NOx)の排出量を抑制しつつ、従来よりも最大トルクを強化するというシステムだ。

左が2リッターTDIエンジン/右が1.5リッターeTSIエンジン(イメージ)


 さらに、今回の車両にはメーカーオプションとしてアダプティブシャシーコントロール“DCC”が搭載されている。こちらは電子制御のサスペンションシステムが、ダンパーの減衰力やパワーステアリングの特性を瞬時にコントロールする機能で、ドライビングモードも乗り心地重視の『コンフォート』や硬く俊敏な乗り味の『スポーツ』などを選択することが可能だ。今回の試乗では高速道路や雨に見舞われるシーンなど、さまざまな環境を走行することができ、適宜モードを切り替えていくことでシーンに合わせた乗り味を体感することができた。

アダプティブシャシーコントロール“DCC”(イメージ)


 続いて車内に目を移すと、シックなチェックパターンのシートに、黒を基調にした落ち着いたインパネが構成されている。

不均衡ながらも調和のとれたチェック模様の施されたシート
黒を基調にまとめられたインパネまわり 10インチのタッチパネルモニターは視認性も良好


 なかでも、インパネの中央に設けられたタッチ機能搭載の10インチモニターはApple CarPlayとAndroid Autoに対応し、自身の携帯端末の地図アプリを画面上に展開したり、音楽やラジオ番組等をタッチ操作で直感的にセレクトしたりすることができた。

タッチパネルモニターとの距離もほどよく操作しやすい


 また、今回のグレード『アクティブ・アドバンス』にはヘッドアップディスプレイが搭載されており、速度や警告情報、ドライバーアシスタンス情報、ナビゲーションシステムと連動した矢印などをフロントガラスに投影してくれる。これで運転中に前方から視線を逸らすことなく、さまざまな情報を確認することも可能だ。

ヘッドアップディスプレイの様子 昼夜問わず視認性に優れている


 そして肝心なドライビングフィールは、ヘッドアップディスプレイやタッチパネルを活用しながらでも、ステアリングやシートからさまざまな情報がはっきりと感じられる明快なものだった。クルマの安定性は常に発揮されていることが分かり、そのなかでもスピードを上げていくと然るべきモーメントで力が車体にかかっていることが素直に伝わってくる。


 DCCを『スポーツ』に切り替えても、その衝撃吸収感覚は硬すぎず、ほどよいしなやかさを保っており、あらゆる状況を考慮したセンスの良いプログラミングが行われていると感じることができた。車体剛性とサスペンション、エンジンパワーとブレーキ制動力のバランスも良心的で、適切なインフォメーションが常に伝わってくるドライビングフィールはまじめで謹直なもの。「すべての人々のためのクルマ(フォルクスワーゲン)」として乗り続けられてきたクルマらしい、懐の広さを感じさせるモデルに仕上がっていた。


 最後にひとつ欠点を挙げるとするならば、それはタッチパネルモニターの下部に隣接するエアコン操作部だろう。モニターに隣接させることで、タッチ機能を付随させる目的から考えられた設計なのだろうが、自然にモニターを触ったならば必ずと言っていいほど頻繁にエアコン操作部にも指が触れてしまった。その度に温度設定を意図せず変更してしまい、対処の方法も触れないように努める以外に空しく、苦心したことを記憶している。

ゴルフTDI R-Lineプラチナム エディション(外装色:キングズレッドメタリック)、ゴルフ ヴァリアントTDI R-Lineプラチナム エディション(外装色:ピュアホワイト)
広い荷室はリヤシートを倒さずとも大人3人分のスーツケースの収納が可能だった

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