日本屈指の左SB太田宏介、今季限りで現役引退「最後に昇格、優勝してハッピーエンドで終わりたい」

2023年10月3日(火)13時20分 サッカーキング

左SB太田宏介が今シーズン限りで現役引退 [写真]=J.LEAGUE via Getty Images

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 FC町田ゼルビアに所属する元日本代表DF太田宏介が、今シーズン限りでの現役引退を発表した。

 1987年7月23日生まれの太田は現在36歳。正確無比な左足から放たれるクロス、フリーキックを武器とする日本屈指の左サイドバックは2006年に横浜FCでプロキャリアを始めると、清水エスパルス、FC東京、フィテッセ、名古屋グランパス、パース・グローリー、FC町田ゼルビアと3カ国7クラブでプレーした。とりわけ、2012年から2015年と2017年から2019年7月までの計4シーズン半在籍したFC東京ではクラブ公式戦通算216試合に出場し14得点59アシストを記録。2014年と2015年には、Jリーグベストイレブンにも選出された。また、2010年にデビューした日本代表では通算7キャップを誇っている。

 まず、太田は「引退を考えていたのはここ3、4年です。実際に昨シーズンが終わって、今シーズンが始まる前にラストシーズンと決意していました」と告白。続けて「FC東京から名古屋グランパスに移籍した2019年夏、自分が33歳になる年でしたが、そのときに将来的に35歳、36歳になったタイミングで引退しようと考えていました。(当時)J2の横浜FCからのスタートでしたが、本当に練習についていくのが精一杯。練習中にボールをもらうのが怖かったときもあります。そんな自分がここまでのキャリアを築けました。いろんなクラブにいきましたが、どこでも自分なりに頑張れた。自分のキャリアに満足できた。これまで18年間、本当に悔いなく、やりきったと思えたので、最後の1年にすることを決断しました」と引退理由を明かしている。

 また、地元の町田市に本拠を構えるFC町田ゼルビアでの引退については「中学生の頃にFC町田ゼルビア(旧:FC町田)に所属していました。その後はさまざまなクラブを渡り歩きましたけど、当時は(町田が)Jリーグのクラブになるとは予想していませんでした。ここ数年で町田が大きくなっていくのを第三者として見ていて、いつか地元で、FC町田ゼルビアでプレーしたいという気持ちが芽生えたのはここ5、6年です」としつつ、「ただ、プロの世界は厳しいもので、自分が入りたくても求めてもらえないと入れません。昨夏にオーストラリアから帰国したときに引退する考えもありましたが、そのタイミングで町田から声をかけていただきました」と入団の経緯を詳にした。

 続けて、「そのときに、FC町田ゼルビアで引退する、と決意を固めました。なにより、町田で育ち、町田でサッカーを始めた僕が、こうして18年のキャリアを経て、大好きな町田で現役を終えられるというストーリーに運命を感じていますし、本当に幸せです。最後にFC町田ゼルビアで昇格して、優勝してハッピーエンドで終わりたい。それが今、僕ができる町田に対する恩返しだと思います」と意気込んでいる。

 さらに太田は、2人の恩師にも言及。横浜FC在籍時に師事した都並敏史氏と、FC東京とFC町田ゼルビア在籍時に師事したランコ・ポポヴィッチ氏について、以下のように述べている。

「キックの種類や弾道の違いはあれど、僕自身がクロスを上げる際に最も意識していたのは、目の前に相手がいても上げられるクロスです。相手が寄せてきてもその足に当たらないような弾道、そのようなクロスを上げられるように、ボールを置く位置、体の向き、軸足の位置、ボールに(足を)当てるポイントだったりを意識してやってきました」

「その土台は、横浜FC時代の都並敏史さんですね。(周りから)本当に特別扱いしているのでは、と思われるぐらい毎日クロスの上げ方、基礎の部分をたくさん教わりました。試合中に相手に警戒され、自分の間合いで上げれないこともありますが、そのなかでも上げるちょっとした工夫は都並さんから教わり、活かすことができたと思います」

「ポポヴィッチ監督にも、今のプレースタイルの土台となるクロスやセットプレーを教わりました。ポポさんと出会ったのは24歳のときで、それまでのキャリアにおいてセットプレーのキッカーというものに接点はありませんでした。キックの自信はありましたが、チームに素晴らしいキッカーがいたので。そんなときにポポヴィッチ監督と出会い、とにかく自信を持って蹴ってみろと言われました」

「その週の多摩川クラシコ、等々力競技場で川崎相手に直接フリーキックを決めることができました。本当に不思議なんですけど、若い選手にとってはそのひとつの成功体験がとても大きな自信になって、その後はフリーキックでのゴールも増やせました。ポポさんの助言があったからこそ、太田宏介といえば(フリーキック、クロス)のイメージがつきましたし、今こうして長いキャリアを築けました。フリーキックを決めた後のポポさんとのハグとほっぺにされたキスは忘れません(笑)」

 クラブ史上初の明治安田生命J1リーグ昇格を目指すFC町田ゼルビアは、1試合未消化ながら第37節終了時点で首位に立っている。J2は残り5試合、太田宏介は愛するクラブで有終の美を飾ることはできるのだろうか。

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