ハミルトン、ベッテルの境遇に同情「フェラーリはルクレールを優先しつつある」

2019年10月4日(金)6時51分 AUTOSPORT web

 ルイス・ハミルトンは、古くからのライバルであるセバスチャン・ベッテルに同情し、”心配”さえしていたと述べている。ベッテルは、才能溢れるシャルル・ルクレールの登場により、フェラーリでの状況が厳しいものになっていると、ハミルトンは言う。


 2019年シーズンの開幕時に、フェラーリF1チーム代表のマッティア・ビノットはベッテルに対し、”50対50”の状況では、ルクレールではなく彼にアドバンテージを与えることを明確にしていた。


 しかし徐々に自身の立場を強く主張するようになったルクレールは、予選ではベッテルを上回り、今シーズン最初の2回の優勝をフェラーリにもたらした。


 4度のF1世界チャンピオンであるベッテルが再三ミスを犯し、パフォーマンスが精彩を欠いていることについて、メディアやファンから批判が出ている状況に、ハミルトンは胸を痛めていると語った。


「実は彼のことを心配していた」とハミルトンはロシアGPの週末に『Channel 4』に語った。


「僕は彼のことをよく知っている。同世代だし、調子が出せないことがどのような感じか分かっている。人々は否定的なことを言って見限ってくる。それをチームのなかで感じるんだ。エネルギーに満ち溢れているチームメイトのそばでね」


「ドライバーとして、またアスリートとして、精神的な動揺を経験する時期があることを僕は分かっている。セブはそうした状況を切り抜けているところなんだ」


■「シンガポールでベッテルが勝った時、本当にうれしかった」とハミルトン


 ハミルトンは、フェラーリが今では将来に向けてルクレールだけを当てにしているように感じているという。


「彼のチームメイトは上り調子だ。かなり高い地位にある人たちが『セブは見限られた。彼は終わりだ』と言っている。そういう人たちと話をしたことがある」


「セブはフェラーリではナンバーワンドライバーで、常にチームに優先される立場だったが、(フェラーリでは)今ではすべてがひとりに託されているようだ」


「今ではシャルルがすべてで、彼らは彼に将来を賭けているように見える。今後1年くらいで状況が展開し、そのことが本当だということが分かるようになると思う」

2019年F1ロシアGP ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテル

 ハミルトンは、シンガポールGPでベッテルが表彰台の最上段に上ったことを、メルセデスにとって不都合なことではあるが、うれしく思ったという。またハミルトンは、フェラーリSF90の成功にベッテルが大きく貢献してきたことを強調した。


「ドライバーの影響を決して過小評価すべきではないと思う」と32歳のハミルトンは語った。


「あのマシンは何年かかけて開発されているが、開発にシャルルは関係していない。それはチームとともにすべてセブがやった仕事だ」


「だから(シンガポールで)彼が優勝したのを見て、僕は自分は勝てなかったけれど、それでも本当に良い気分だった。なぜなら、実際に優秀で献身的な人間に良いことが起きて、報われたからだ」


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