日本代表、サモア戦はダブルキャプテン。リーチの負担減で必勝態勢へ

10月5日(土)7時15分 Sportiva

 連日、日本全土のみならず世界各国を沸かせているラグビーワールドカップ。9月28日、「静岡の歓喜」と銘打たれることとなった日本対アイルランド戦で、その熱は沸点に達した。


右手を挙げて、観客からの声援に応えるリーチ マイケル

 この一戦で日本代表が仕掛けたのは、奇襲でも奇策でもなかった。優勝候補の一角アイルランドを相手にスクラム、タックル、ブレイクダウンなどあらゆる面で上回り、あくまでも正攻法でひざまずかせた。

 言わば、「真っ向勝負」で日本代表は勝利をつかんだわけだ。

 10月3日。2日後に対戦するサモア代表について、日本代表のメンバーを発表したジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)はこのように語った。

「サモアはスコットランドに負けて(9月30日、0−34で敗戦)、かなりつらい思いをしています。そうなると、チームの結束力がより高まると思っているので、真っ向勝負の、かなりフィジカルな試合になると思っています」

 チーム開幕戦でロシアを34−9で一蹴したサモアは、身体的にフィジカルの強い、サイズにも恵まれたチームだ。スコットランドには完敗したものの、自慢のフィジカルの強さを活かして6トライを重ねたロシア戦の方がチームとしての実像をより正確に示しているだろう。

 そんな相手に対し、ジョセフHCは「真っ向勝負」をすると言い切った。日本代表はサモアのフィジカル、サイズに対し正々堂々ぶつかると宣言したのだ。アイルランド戦がそうであったように、である。

 開幕戦から2戦連続で先発し、アイルランド戦のプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたHO(フッカー)堀江翔太に代わってサモア戦で2番を背負う坂手淳史は、それに同調するように語った。

「フィットネスやフィジカルは、世界のどこにも負けないという自信があります。長い時間をかけてみんなで準備してきました」

 アイルランド戦に続いて2戦連続で先発FB(フルバック)を任された山中亮平も同じ姿勢を見せた。

「サモアとはフィジカルのバトルになります。まず接点で負けないことを今週1週間意識してやってきているので、そこの勝負で勝ちたいと思っています」

 FW(フォワード)、BK(バックス)を問わずフィジカルバトルに勝つというテーマがチーム内で共有されていることがわかる。「フィジカルで真っ向勝負」が、この試合の見どころであり、勝敗を分けるポイントになることは間違いないだろう。

 メンバー発表の会見でそのような発言以上に注目を集めたのが、キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケルが開幕のロシア戦以来の先発復帰を果たしたこと、しかし、その名の横にキャプテンマークがついていなかったことだ。ゲームキャプテンはアイルランド戦に続いて、FLピーター・ラブスカフニが務めることとなった。

 ジョセフHCは、その意図を説明した。

「ラピース(ラブスカフニ)が(ゲーム)キャプテンですが、前回(アイルランド戦で)リーチをベンチにしたのは、プレー面をしっかりしないといけないためです。だから、彼にのしかかるプレッシャーを軽減しました。ラピースがゲームキャプテンをすることで彼(リーチ)は非常にフィールド内でいい働きをしてくれるようになり、チームをよく引っ張ってくれています。リーチがチームのキャプテンであることは間違いないのですが、彼の負担を軽減することによって、彼をラグビーに専念させます。それはこの大会において重要なことです」

 ジョセフHCに続いて取材に応じたリーチは、ゲームキャプテンのラブスカフニとの役割分担をより詳しく明らかにした。

「外側(ブラインドサイドFL)の僕よりも彼の方が(オープンサイドFLとして)ボールに近いし、レフリーとのコミュニケーションが取りやすい。ラック周辺の指示もすぐできます。そこで、ふたり合わせてチームを引っ張っていくことになりました。彼がゲームキャプテンで僕がチームキャプテン。今週の準備もふたりでスムーズにできました」

 つまり、ゲームキャプテンはラブスカフニだが、リーチのチームのキャプテンとしての立場や務めは変わらないということだ。レフリーとのコミュニケーションなどゲームキャプテンとしての仕事をラブスカフニに任せた分、「負担が少し軽くなりました」と語ったリーチの表情は、普段の試合前よりもやや朗らかに見えた。

 ふたりの「ダブルキャプテン」。ジョセフHCの秘策の成果は、サモア戦で明らかになる。

 翻って、プールAは10月4日現在、混戦状態だ。3戦消化のアイルランドが勝ち点11で首位に立っているが、日本代表は2戦を終えた時点で勝ち点9の2位。残り試合と勝ち点(1試合最大5)を考えると、アイルランドは最大の勝ち点が16、3位のスコットランドは最大で15となることから、残り2戦の日本代表としては決勝トーナメント進出(プール2位以上で進出)、それも1位通過のためには、まずサモアに勝って総勝ち点を13、できればボーナスポイントを伴う勝利で14にする必要がある。

 ボーナスポイントとは、4トライ以上で得られる勝ち点1のことだ(7点差以内での敗戦でもボーナスポイント1が付与される)。これを獲得できるか否かが非常に重要となる。サモア戦でもボーナスポイントは必須だが、ジョセフHCはそのような趣旨の質問を一蹴した。

「ボーナスポイントのことは考えていませんし、いいパフォーマンスをすることだけにしか焦点を当てていません。しっかり相手にプレッシャーをかけて、勝機をつくっていくだけです。チームとしてそういう話しかしていません。しっかりパフォーマンスすればいい成果がついてくると思っています。そうでなければ厳しい試合になるでしょう。過去のワールドカップを考えると、ボーナスポイントを考えながら入る試合はなかったと思います」

 日本代表は過去も現在も、ボーナスポイントを考えて試合に臨むチームではない。かつて日本代表としてプレーしたジョセフHCの言葉には説得力があった。

 ダブルキャプテンで真っ向勝負。そして、あくまで勝利のみを目指す。日本代表の姿勢と目指すところは、極めてシンプルで明確だった。

Sportiva

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