WEC富士:中嶋一貴組8号車トヨタが母国ウイン! 速度違反ペナルティと意地悪な天気を見事克服

2019年10月6日(日)17時27分 AUTOSPORT web

 2019/2020年WEC世界耐久選手権第2戦富士の決勝レースが10月6日、富士スピードウェイで行われ、TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタTS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組)が総合優勝を飾った。2位は7号車トヨタTS050ハイブリッドとなり、トヨタが母国ラウンドでワン・ツー・フィニッシュを達成している。


 今年も例年と同じく10月の開催となったWEC富士6時間レースの決勝日を迎えた6日、スタート時刻の天候は雲間から日差しが届くも、上空からは小雨もぱらつくチーム泣かせの空色に。この影響でウエット宣言が出されるが各車ともスリックタイヤを装着してホームストレートを離れていった。
 
 1周のフォーメーションラップを終えて定刻11時にスタートが切られると、4番手スタートとなったチームLNTの5号車ジネッタG60-LT-P1・AERがフロントロウを独占した8号車トヨタと7号車トヨタを交わす勢いでアウト側から1コーナーに侵入していく。
 
 しかし、立ち上がりではハイブリッドマシンのトヨタに分があるため8号車と7号車が順位をキープする。だがその直後、今度はレベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13・ギブソンを駆るブルーノ・セナが、ヘアピンで7号車トヨタの小林可夢偉に襲いかかりオーバーテイクを決めた。
 
 また、後方ではアクシデントが発生する。ダンロップコーナーの侵入で星野敏がドライブするデンプシー・プロトン・レーシングの88号車ポルシェ911 RSRが、GTE Amクラスのライバルであるアストンマーティン・レーシングの98号車アストンマーティン・バンテージAMRに追突してしまいコースオフ。双方のクルマがダメージを受け修理に時間をかけることとなってしまった。
 
 レースは飛散したパーツを回収するため早々にセーフティカー(SC)が導入される。このSCランの解除後、上位勢ではセナと可夢偉の2番手争いが勃発。サクセス・ハンディキャップの影響でトップスピードが伸びない7号車トヨタと、ストレートスピードを武器とする1号車レベリオンの戦いが続いた。
 
 10分以上にわたって行われたこの争いの間に、トップを行く8号車トヨタはブエミが快走をみせ後続へのギャップを広げていく。そんななかスタートから17分後、ヘアピンの立ち上がりから300Rにかけてトラフィックに引っかかった1号車レベリオンを可夢偉の7号車トヨタが交わして再逆転に成功した。
 
 ワン・ツー態勢を築いたトヨタはその後、徐々にLMP1プライベーター勢に対する差を築いていくが同様に、首位の8号車と2番手を走る7号車とのギャップも徐々に広がっていく。スタートから2時間を経過した時点ではトヨタ2台の差が28秒、8号車と1号車レベリオンは53秒差に。また、4番手5号車ジネッタとは68秒の差がついた。
 
 スタート時から怪しげだった空色はこのレース中盤になってさらに暗くなり、雨脚も強まっていく。レース折返しを迎えた3時間すぎには本格的に路面を濡らす雨となったことで複数のチームが雨用タイヤへスイッチ。トヨタもブエミからハートレーに交替した8号車と、可夢偉からマイク・コンウェイへとバトンを繋いだ7号車を呼び戻しインターミディエイト・スリックを履かせてコースに復帰させる。


■首位を快走する8号車トヨタにドライブスルーペナルティが提示


ドライブスルーペナルティを受けながら、今季初勝利となる総合優勝を決めた8号車トヨタTS050ハイブリッド

 この直後に雨は小康状態となるが、8号車トヨタの一貴と7号車のステアリングを受け継いだホセ-マリア・ロペスは好ペースを守り、次のピットイン時にドライ用にスリックに戻す。この間、3番手の1号車レベリオンもほぼ同じ戦略を採ったことで上位3台のポジションに変化はなかった。
 
 トップを行く8号車トヨタは、チームメイトにへのリードをさらに広げ、その差を約50秒とする。しかし、まもなくレース開始から4時間を迎えようかというタイミングで、レースコントロールは同車にペナルティを提示。8号車トヨタはピットレーンの速度違反のためドライブスルーペナルティを受けることとなった。
 
 ペナルティの消化後、7号車トヨタとの差が約24秒と半減した8号車だったが、この週末の走り始めからスピードに勝るチャンピオンカーに死角はなく、終盤に一貴から代わったブエミがさらにリードを拡大。最終的に33秒のギャップを築いて6時間レースのトップチェッカーを受けた。
 
 チームメイトに対し1周あたり約0.4秒のハンデを負った7号車トヨタが2位でフィニッシュ。3位にはレース序盤にトヨタの一角を苦しめた1号車レベリオンが入った。


  LMP2クラスはレーシング・チーム・ネーデルランドの29号車のオレカ07・ギブソン(フリッツ・バン・イアード/ギド・バン・デル・ガルデ/ニック・デ・フリース組)が、クラス7番手から驚異の追い上げをみせ逆転優勝。山下健太を擁するハイクラス・レーシングは29号車やジャッキー・チェン・DCレーシングの37号車オレカと首位争いを展開するも、終盤に順位を落としクラス5位となった。
 
 GTE Proクラスはアストンマーティン・レーシングの95号車アストンマーティン・バンテージAMR(ニッキー・ティーム/マルコ・ソーレンセン組)がレース序盤からポルシェとフェラーリをリードし、そのままクラス優勝を果たした。また、GTE Amクラスでは今戦から“勝利の女神”がついたTFスポーツの90号車アストンマーティン・バンテージAMRがポール・トゥ・ウインでWEC参戦後初勝利を飾っている。
 
 日本勢は石川資章とケイ・コッツォリーノの力走が光ったMRレーシングの70号車フェラーリ488 GTE Evoがクラス4位入賞。星野のスティントでマシン修復を余儀なくされた88号車ポルシェはクラス9番手完走となった。
 
 2019/20年のWEC次戦は第3戦上海4時間レース。中国の上海国際サーキットを舞台に争われるこの一戦は11月8〜10日に開催される。

7号車トヨタTS050ハイブリッドと1号車レベリオンR13・ギブソン
チームLNTの5号車ジネッタG60-LT-P1・AER
GTE Proクラスを制した95号車アストンマーティン・バンテージAMR。アストンマーティンのWEC富士優勝は2013年以来。
GTE Amクラス初勝利を飾ったTFスポーツの90号車アストンマーティン・バンテージAMR


AUTOSPORT web

「速度違反」をもっと詳しく

タグ

「速度違反」のニュース

「速度違反」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ