タイムペナルティとラスト10分の激走で、0.2秒差の逆転決着。WRTがインディ8時間を制す/IGTC第4戦

2024年10月7日(月)11時48分 AUTOSPORT web

 チームWRTの31号車BMW M4 GT3は、レース後のライト・モータースポーツへのペナルティを受け、IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第4戦インディアナポリス8時間レースの優勝者と宣言された。これにより、シャルル・ウィーツはドライバーズ・タイトルを獲得した。


 アダム・アデルソン/エリオット・スキアー/ローリン・ハインリッヒのドライブするライトの120号車ポルシェ911 GT3 Rは、10月5日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われた8時間レースで最初にフィニッシュラインを通過したが、オハイオ州を拠点とするこのチームはピット手順違反により最終結果に5秒が加算されたため、レースの総合優勝を逃すこととなった。


 ウィーツ、シェルドン・ファン・デル・リンデとトリオを組むドリス・ファントールが最後の数分でハインリッヒを追い詰め、その差を5秒未満に縮めたことで、WRTは最終リザルト上で0.260秒差で120号車を逆転した。


■マニュファクチャラータイトルはポルシェが獲得


 WRTはレース前半をほぼ支配し、折り返しまでにワン・ツーを形成していたが、ファン・デル・リンデの37秒のアドバンテージはセーフティカーにより霧散し、レースの流れが変わった。


 ライトは3回目のセーフティカーの下でピットインしないことを選択したため一度トップに立ち、その後、スキアーがさらなるニュートラル化のほんの数分前にピットインしたことで、優位に立った。スキアーはリードラップにかろうじて留まり、戦略が功を奏して120号車ポルシェが再びトップに躍り出たのだ。


 ハインリッヒがマシンを引き継いだとき、当初は追いすがるBMWを抑え、ピット手順違反による5秒のペナルティがあるなかでも、勝利を収めることができたように見えた。


 だが、ファントールは最後の10分間でギャップを少しずつ縮め、2位でフィニッシュしたにもかかわらず、タイムペナルティ分で逆転できる状態にまで追い上げる力走を見せた。


 ライトは、シーズン最終戦にフル・ファクトリーラインアップを投入しなかったにもかかわらず、BMWとメルセデスAMGを破り、ポルシェが2度目のIGTCマニュファクチャラーズタイトルを獲得するのを助ける結果となった。


 さらに、ジョン・ライト所有のこのチームは、ファナテック・GTアメリカでDXDTレーシングを破ってプロクラスのタイトルを獲得した。


 一方ウィーツは、ステアリングの問題でリタイアしたアイハンカン・グベンを上回り、IGTCドライバーズチャンピオンに輝いている。


 マロ・エンゲル/ジュール・グーノン/ミカエル・グルニエのグループMレーシング130号車メルセデスAMG GT3 Evoが総合表彰台の一角を手にし、レーサーズ・エッジ・モータースポーツの93号車アキュラNSX GT3 Evo22が4位に入った。


 アレクサンダー・シムス/トミー・ミルナー/アレック・ウデルは、DXDTレーシング63号車のシボレー・コルベットZ06 GT3.Rで、RS1の85号車ポルシェを上回り、総合トップ5入りを果たしている。

総合優勝を喜ぶドリス・ファントール、シャルル・ウィーツ、シェルドン・ファン・デル・リンデ。ウィーツはドライバーズタイトルも獲得
トップチェッカーを受けたもののペナルティがあり2位に降着となったライト・モータースポーツの120号車ポルシェ911 GT3 R
総合4位に入ったレーサーズ・エッジ・モータースポーツの93号車アキュラNSX GT3 EVO22
DXDTレーシングの63号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R


 一方、プロ/アマカテゴリーでは、総合7位に入ったアンタレス・アウ/ルーク・ハルトグ/パトリック・ニーダーハウザーのハーバース・モータースポーツ10号車ポルシェが優勝を飾った。


 ターナー・モータースポーツは総合8位でフィニッシュし、クラス最高ポイントを獲得したことで、33ポイント差を逆転して、STレーシングからGTアメリカのプロ/アマタイトルを奪うこととなった。


 第5回インディ8時間レースは、昨年と比べて脱落率が著しく高く、昨年はセーフティカー導入が1回だったのに対し、今年は6回となったことにそれが表れている。


 アレックス・パロウ/ルカ・シュトルツ/ファビアン・シラーのローンスター・レーシング4号車メルセデスAMGは電気系統のトラブルで序盤に勝負圏外に脱落し、チームWRTの33号車BMWはディフューザーの緩みよって数周をロスした。


 ケニー・ハブル/ジェイデン・オジェダ/ルーカス・アウアーの操縦するサンエナジー1・レーシングの75号車メルセデスAMGは、レースの3分の2にわたってプロ/アマカテゴリーをリードしたが、フライング・リザード・モータースポーツ8号車BMWとの序盤の接触後、レースの大半でステアリングが壊れたままとなり、最後はリヤアクスルの故障によりリタイアした。


 GMGレーシング32号車ポルシェもステアリングのトラブルで完走できず、グヴェンのIGTCドライバーズ・タイトル獲得の望みは絶たれた。


 バサースト12時間、ニュルブルクリンク24時間、スパ24時間、そしてインディ8時間と続いてきた2024年のIGTCシーズンはこれで終了。2025年のカレンダーはすでに発表されており、日本の鈴鹿ラウンドが1000kmレースとして復活し、全5戦にて争われる。

プロ/アマクラスを制したハーバース・モータースポーツの10号車ポルシェ911 GT3 R
アレックス・パロウもドライブした4号車メルセデスAMG GT3 Evo


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