世間を驚かせた辞任劇からわずか5日間での決着、吉井ロッテを待つ困難なミッションの数々

2022年10月8日(土)11時0分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 ロッテは来季監督にピッチングコーディネーターの吉井理人氏が就任すると、7日に発表した。吉井新監督は球団を通じて「ただ、ただ驚いています。コーチとして勉強しながらやってきたが、これからは全体のマネジメントを任される立場になるということで、身が引き締まる思いです」とコメントを発表した。

【関連記事】もったいない!大阪桐蔭を倒した右腕、U18日本代表4番…プロ志望届を提出しなかったドラフト候補の高校生一覧


 世間を驚かせたのは、井口資仁監督の辞任から、わずか5日後の決定という異例のスピード感だ。井口監督は今季最終戦となった2日のソフトバンク戦後のあいさつで、辞任を電撃公表。その後「今日決まったこと。選手にも伝えられなくて、ああいう場でしか言えなかった」と説明した。6年目の来季続投は規定路線ではあったが、5位で3年ぶりのBクラスという低迷の責任を取る形となった。選手らほとんどの球団関係者が辞任するということを知らなかったという。

 球団フロントは突然の事態に慌てふためいた。「今はまだ白紙。後任を選ぶ作業をこれからしていく、ということ」と河合克美オーナー代行兼代表取締役社長は白紙を強調。新監督選定へのプロセスにはある一定の時間が必要だと思われていた。それが思わぬ内部昇格で決着した。

 新監督候補として名前が挙がっていた、生え抜きの福浦和也打撃コーチは、ヘッドコーチとの兼任に昇格する。こちらは将来の幹部候補生。近い将来、福浦新監督が誕生するまでの「つなぎ」の側面や、身近で直接帝王学を伝授してもらう狙いが透けて見える。

 もっともその吉井新監督にしても、投手コーチとしての経験は豊富ながら、指揮官の経験は全くなく未知数。投手育成においては日本ハム時代にダルビッシュ有大谷翔平を育て上げ、今も佐々木朗希を完全投球投手に仕立て上げた。コーチの手腕は折り紙付きだが、野手指導や戦術面では蓋を開けてみないと分からない。

 また、現在の吉井氏は2023年WBCに臨む侍ジャパンの投手コーチとの兼務でもある。WBCの活動期間である2、3月は春季キャンプとオープン戦の時期で、新監督にとっては最も大事な2カ月と言える。新監督との兼務は現実的ではない。侍コーチに就任後、11月には初の実戦となる強化試合・オーストラリア戦が待つが、一度も試合を経験することなく日本代表のユニホームを脱ぐことになるのだろうか。

 異例づくめの大揺れ人事となったロッテだが、河合オーナー代行は「マリーンズが掲げているのは2025年に常勝軍団になるということ。吉井監督はこの目標に向かい、共通の認識で戦っていただける方だと考えている」とコメントした。残る3シーズンで、チームは常勝軍団となれるのか。その際に大黒柱となることが予想される佐々木朗希は、2026年シーズンで現行ルールでは米挑戦への足かせが外れる25歳を迎え、2026年オフにもメジャー行きともささやかれる。そこにビジョンの乱れは果たしてないのか。前途多難な道のりなのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

ココカラネクスト

「ロッテ」をもっと詳しく

「ロッテ」のニュース

「ロッテ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ