低迷巨人で気を吐いた戸郷翔征 球団OBは投球術の変化を指摘「意味のあるシーズンだったのでは」

2023年10月8日(日)14時5分 ココカラネクスト

2年連続でチームの勝ち頭になった戸郷。エースと言って差し支えないだろう(C)CoCoKARAnext

 原辰徳監督が退任となり、来季からは阿部慎之助新監督が率いることが発表された巨人は来季、2年連続Bクラスからの脱却はもちろん、2020年以来のリーグ制覇も期すシーズンとなる。

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 新体制となったチームは今後、コーチ陣の組閣、戦力の整備、ウィークポイントの補強など、来季へ向けやるべきことは山積。球団史の中でも高い実績を残してきた指揮官が去ったことで、激動のオフとなることが予想されている。

 その中で、すでに来シーズンでも巨人の中心となり、チームの大黒柱としての期待が膨らんでいる選手が、2年連続でチームの勝ち頭となった戸郷翔征だ。

 今季、防御率2.38はリーグ4位、勝ち星はリーグ2位タイの12勝と、いずれも高い数字を残した。シーズン開幕前にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表として、世界一奪還に貢献した。レギュラーシーズンへの調整に苦しんだ代表選手もいた中で、戸郷は4月で3勝をマーク、球宴までに8勝を挙げるなど抜群の安定感を誇った。

 後半戦では思うように勝ち星が伸びなかったものの、完投数が自己最多となる4度を数えるなど、先発投手として頼もしさを増したシーズンだったとも言える。

 プロ5シーズン目を終え、来季も投手陣の先頭に立ち、チームの巻き返しの原動力となることが求められる23歳には、球団OBからもエールが贈られている。さらに、ピッチングの変化を指摘する声もあるようだ。

「最多勝は獲れなかったけど、すごい飛躍の年になった」

 そう語っているのは、1980年代から90年代、巨人先発陣の一角を担い、完全試合も達成した実績を持つ槙原寛己氏だ。同じく巨人OBの岡崎郁氏のYouTubeチャンネル『アスリートアカデミア【岡崎郁 公式チャンネル】』にゲスト出演し、今季の戸郷のパフォーマンスを振り返った。

 槙原氏は、戸郷が残した成績について「今シーズンのピッチングをみると、実質、巨人のエースは戸郷であると、ファンは感じたのでは。本人も自覚があると思う」と見通しており、また「(球界の)トップの人たちと1か月間過ごしたWBCが大きかった」と印象を述べた。

 さらに、槙原氏は戸郷の完投への意識の高さを指摘しており、「タフだからではなく、上手く(力を)抜いたりだとか、要所でギアを上げたりできていた」として、投球術を評している。その上で、槙原氏も20代半ばで、ピッチングをする上で力の使い分けに気付いたとのエピソードも交え、戸郷についても「(力の入れ方を)おぼろげに感じている時期なのでは」と語った。

 岡崎氏が「ちょっと(きっかけを)掴んだ?」と問いかけに対しても、「来年が楽しみなピッチャーですよね。今シーズンも『最多勝を獲るだろうな』という感じでしたけど」として、さらに成長が見込めると話しながら、「本人の中では意味のあるシーズンだったんではないかと思います」と称えていた。

 2019年のルーキー時より、シーズンを重ねる毎に実績を積み上げ、今季もキャリアハイと言える成績を残した。来季は新たな体制の中でのシーズンとなるものの、投手陣の中で背番号20が最も頼れる存在であることに変わりはないだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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