ドラフト目玉の森木大智と9歳差。事実上の「引退宣告」を乗り越え指名を待つ”もうひとりの高知の剛腕”

10月10日(日)18時50分 Sportiva


ドラフト候補に名前が挙がる高知ファイティングドッグスの平間凜太郎
「今年で27歳。普通だったら引退していますよね」
 そう言って昭和時代の受験生を思わせるメガネの奥の目が笑った。
山本昌がドラフト上位候補の投手13人を最終チェック。「こんな選手いたのか」と驚いたのは?
四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスの平間凜太郎(ひらま・りんたろう)。山梨学院高、専修大、そして日本製鉄東海REXでの3年間を経て、ずっと抱き続けた「NPBに入って活躍する夢」を現実とすべく、2020年より独立リーグの世界へ。187センチ97キロの体格を利した最速153キロのストレートと、「ナイアガラカーブ」とも称される、大きく縦に割れるカーブなどの変化球をあわせ持つ、リーグを代表する守護神だ。
 そんな平間が今も野球を続ける原動力のひとつには、昨年のドラフト会議での「失意」があった......。
【指名漏れの失意を越えて】
 2020年10月26日、ドラフト会議当日。高知ファイティングドッグスの練習場がある高知県越知町で、平間は歓喜の瞬間を待ちわびていた。吉田豊彦監督(元・南海ホークスなど)の指導のもとでフォームが安定し、1年目から45試合に登板して3勝1敗18セーブ。45回3分の1を投げ57奪三振・防御率0.79で最多セーブタイトルを獲得。NPB球団からの調査書も届いていた。
 が、運命は無情である。ドラフト会議開始から3時間が経ち、チームで喜びの記者会見を受けたのは阪神タイガース8位指名を受けた石井大智投手のみ。「石井くんは頑張っている選手。素直に喜べた」と話す一方、当時26歳の平間にとって指名漏れは本人が語ったように事実上の「引退宣告」であるはずだった。

 しかし、彼は再び高知のマウンドに帰ってきた。
「もっとレベルアップして、即戦力としてプロに行ければいいと思ったんです」
 テーマは「圧倒」。失意を越え、年齢に抗う平間凜太郎の挑戦が高知の地で再び始まった。
柳裕也直伝「ナイアガラカーブ」の進化】
 2020年末は高校時代を過ごした山梨の地で、他の独立リーガーたちと共に合宿に入った。現在山梨学院大監督を務める高校時代の恩師・須田喜照氏からグラウンドを提供してもらっての投球練習や、パーソナルジムでのトレーニングに努めた平間。結果、スクワットで持ち上げられる重量が200キロから270キロに上がるなど飛躍的に筋力アップ。制球力やボールの質が向上を見せた。
 同時に進化したのが「ナイアガラカーブ」である。 
 もともとは、柳裕也(中日)に教わった変化球だ。世田谷シニア時代に選出された日本代表でチームメイトだった柳。「高校2年の夏、甲子園の開会式で再会した時に教わった」という握りが原型になっているという。

ナイアガラカーブのリリース時のイメージを説明する平間

 このナイアガラカーブのリリース時のイメージを、ボール1個分高い位置に変更した。すると、球速が120キロ前後から130キロ近くまで伸びたばかりでなく、ラプソード(ボールの回転数や回転軸、球速を計測するマシン)の測定で、昨年の3000回転を大きく伸ばし3400回転をマーク。2021年シーズン前に目標のひとつに挙げていた「空振りを取れる変化球」をフォークに続き手にした。
 ちなみに、この測定数値にはあるMLBスカウトも「MLBの投手でもカーブの回転数平均は3000台。3400回転というのはすごい数値です」と驚く。
 さらに今シーズン終盤には高知ファイティングドッグスOBでもある藤川球児氏(元阪神など)からも指導を受けた。「僕の感覚と藤川さんの感覚をすり合わせるようにして教えていただいた」という高めのストレートの投球術も習得。シーズン成績は39試合に投げ2勝1敗14セーブ、41回3分の1を投げて59奪三振。自責点は2点のみの防御率0.43。
「社会人の3年間はいろいろ考えて悩んでいたんですが、高知での2年間ではチームの勝利を最優先し、0で抑えることが確立できた」
 こうした積み上げは、2年連続最多セーブ、そして、じつに12年ぶりとなるリーグ後期優勝に大きく貢献する「圧倒的な」成績として成就したのである。

【2022年の舞台を決める日へ】 
「後期優勝の瞬間は人生で初めての優勝投手で、今までで一番うれしい優勝でした。(優勝を決めた試合で)福岡ソフトバンクホークス3軍相手に冷静に投げられて、吉田監督にはじめて褒められました」
 うれしそうに大願成就を語る平間。では、「まだまだ野球で成長したい」と話す彼が日本最高峰の舞台に到達した時、目指すものとはなんだろうか。
「『平間はいいけど、年齢がねぇ』と言われるのはわかりますし、仕方ないと思いますが、今年指名していただけるのであればこのスタイルをもっと極めていって、チームの日本一のためにどんな場面でも投げたい。自分のやれることをすべてやって、胴上げ投手になりたいです」
 インタビューから数日後の9月25日、年間総合優勝を決めるトリドール杯チャンピオンシップ第2戦。平間自身は4点ビハインドでの最終回マウンドを三者凡退、カーブとフォークを決め球にした2奪三振で締めたが、チームは前期優勝の香川オリーブガイナーズに2連敗で敗れ、悲願の総合優勝はならなかった。ただ、平間の背中は試合後、感動で打ち震えていた。
「負けたことに悔いは残っていますけど、『ピッチャー・平間』とアナウンスがあった時、たくさんのお客さんが拍手を送ってくれた。お客さんに僕の気持ちを乗せていただいたし、むちゃくちゃ感動しました。一生の思い出になりますし、僕はまだまだ投げ続けたいと思いました」
 待ち望んでいたNPB球団からの調査書も2年連続で届いた。2021年10月11日。ドラフト会議目玉の森木大智(高知高3年)とは9歳違いの27歳になって、ひと伸びを遂げた"もうひとりの高知の剛腕"平間凜太郎は、2022年に自分が躍動する舞台を決めるドラフト会議を、2年間自分を育ててくれた高知の地で待つ。


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