2021年のLMP2ドライバー構成要件変更をFIAが発表も、WEC&ELMSボスがこれを覆す発言

2020年10月12日(月)16時20分 AUTOSPORT web

 FIA国際自動車連盟は10月9日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)での承認事項として、2021年のLMP2クラスにおけるドライバー構成要件の変更をアナウンスしたが、WEC世界耐久選手権とELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのボスであるジェラール・ヌブーはこれを覆し「来年は何も変わらない」と述べている。


 FIAのドライバー・カテゴライゼーションは、そのドライバーのキャリアや年齢をもとに、上からプラチナ 、ゴールド、シルバー、ブロンズと分類され、FIAが毎年長大なリストを発表する(2021年はその多くが凍結予定)。


 現在、LMP2クラスにおけるドライバーの構成要件では「1名のブロンズ、または1名のシルバードライバーを入れる」ことが義務付けられており、たとえばすでに2019/20シーズンのWEC・LMP2クラスタイトルを決めているユナイテッド・オートスポーツでは『プラチナ・プラチナ・シルバー』という、理論上最強となる組み合わせを採用している。


 対して、その多くがブロンズにカテゴライズされるオーナー(ジェントルマン)ドライバー主体のチームの場合は、自ずと相対的な戦闘力は下がることになり、チームとして、そしてシリーズとしても財政的に貴重なジェントルマン・ドライバーの上位進出が難しくなることで、やがてシリーズに魅力を感じなくなった彼らが参戦を取りやめてしまうことも危惧されていた。


 9日にFIAからアナウンスされた内容では、「LMP2カテゴリーでは2021年シーズンの初めから、3名で構成されるラインアップが義務付けられ、これには1名のブロンズ、または2名のシルバーカテゴリーのドライバーを含む必要がある」と記されている。


 この変更によって2021年のLMP2クラスでは上記ユナイテッド・オートスポーツのようなドライバー構成は認められなくなり、“アマチュア比率”が上がるものと思われた。


 しかし同じ週末にモンツァで開催されたELMSの現場で、シリーズのボスを務めるジェラール・ヌブーはエントラントに対し、FIAのアナウンスを覆す説明をしたとEndurance-infoは報じている。


 ヌブーは代わりに、ブロンズを擁するラインアップで最上位となったチームによる『プロ・アマ・カップ』を、WECとELMSに導入すると説明している。


「来年のLMP2クラスで、ひとりのブロンズまたはふたりのシルバードライバーを入れる必要はない」とヌブーはEndurance-infoに語っている。


「今朝、すべてのチームにこの新しい提案が通知された」


「したがって、ドライバー(構成)については変わらない。2020年の基準が変わらず適用される」


「我々は、ブロンズドライバーを含むチームのために『プロ・アマ・チャンピオンシップ』を準備するつもりであり、ELMSではこのLMP2プロ・アマクルーによる表彰台を設定する」


「我々はブロンズを必須とすることを検討したが、確信には至らなかった。この新しいシステムにより、ブロンズをよりプロモートしていきたい」


「それに、いまは大きな変更を加える時期ではないので(2021年は)現在我々がよく知っているものと似た規則になる」


 FIAによる決定がエンデュランス・コミッティの審査をどのようにしてパスしたのか、そしていかなる理論的な合意によってWMSCの承認前にこの変更がなされたのかは、明らかになっていない。


 なお9日のWMSCでは、9月に発表されている2021年カレンダーが正式に承認されたほか、2021年に新規定の適用除外を受けてハイパーカークラスに参戦するノンハイブリッドのLMP1マシンが、新規定『LMH(ル・マン・ハイパーカー)』と同じパフォーマンス・ウインドウに調整されることが、公式に承認されている。

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