アッカASPが最終戦を制すも王座には届かず。アイアン・リンクス&チームWRTが戴冠/GTWCヨーロッパ

2021年10月12日(火)13時7分 AUTOSPORT web

 10月9〜10日、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS第10戦バルセロナがスペイン、カタロニア・サーキットで行われ、アッカASPの88号車メルセデスAMG GT3(ラファエル・マルチェッロ/フェリペ・フラガ/ジュール・グーノン組)がポール・トゥ・ウインで2021年シーズン最後のウイナーとなった。


 88号車メルセデスのクルーは、最終戦までもつれた“エンデュランスカップ”のタイトル獲得の権利を有した状態でシーズンのフィナーレイベントとなった今戦に臨んだ。とはいえ、彼らは優勝したとしても自力での戴冠のチャンスはなく、タイトルの行方はスパ24時間を制してポイントリーダーに立つアレッサンドロ・ピエール・グイディ/コム・レドガー/ニクラス・ニールセン組(51号車フェラーリ488 GTE Evo/アイアン・リンクス)の着順次第という状況にあった。


 そんななか迎えた第10戦バルセロナの予選では63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(オレンジ1・FFFレーシングチーム)がQ1からQ3の合算タイムによりポールポジションを射止めたかに思われた。しかし、ミルコ・ボルトロッティが担当したQ1において、イエローフラッグが尊重されなかったとして、同車には予選後に降格ペナルティが科される。


 これによりポールシッターの権利は88号車メルセデスに渡り、ランボルギーニ陣営のエース格は22号車ポルシェ911 GT3 R(GPXレーシング)と7号車メルセデスAMG GT3(トクスポーツWRT)に次ぐ4番手からレースを開始することとなった。


 運命の決勝。3時間にわたって争われるレースは定刻15時にスタートが切られ、まずは順当にマルチェッロ駆る88号車が首位をキープ。これに22号車ポルシェ、63号車ランボルギーニが続いた一方7号車メルセデスは順位を下げ、代わって4号車メルセデスAMG GT3(HRT)が4番手に浮上した。


 直後、後方でのアクシデントによってセーフティカーが出されるも、スタート後10分までにリスタートが切られレースは仕切り直しに。88号車はこれに動じることなく好ペースを刻み続け、周ごとに後続をじわじわ引き離す展開に持ち込む。それはマルチェッロからステアリングを引継いだフラガのスティントでも変わりなく、第3スティントでグーノンにクルマが渡った時点で、後続とのギャップは23秒となっていた。

2021ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第10戦バルセロナのスタートシーン
予選最速タイムを記録するもペナルティを受け4番手からのスタートとなった63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo
GPXレーシングの22号車ポルシェ911 GT3 R
富田竜一郎がドライブする31号車アウディR8 LMS
濱口弘がドライブした19号車ランボルギーニは序盤に他車との接触がありフロントを損傷


■スパ24時間優勝のアイアン・リンクスが逃げ切りに成功


 一方、その88号車を追いかけるグループではペナルティによって順位が入れ替わっていた。スタートから1時間後、アンドレア・カルダレッリがドライブする63号車ランボルギーニが3番手を走行中488号車フェラーリ488 GT3 Evo(リナルディ・レーシング)に追突、スピンさせてしまいドライブスルーペナルティを受けることに。これで7番手に後退。


 また、2番手を走る22号車ポルシェにはピットストップ時の違反によってドライブスルーペナルティが科せられ、こちらはトップ10圏外へと下がることになった。


 2番手と3番手の後退によってさらに楽になった88号車だったが、チェッカーまで残り40分あまりのところでコース脇にストップした車両を排除するためのフルコースイエローが出されたことで状況は一変。リスタート前のセーフティカーランによって稼いだマージンが大幅に削られ、数台のバックマーカーを挟んで4号車メルセデスを交わして2番手に浮上した54号車ポルシェ911 GT3 R(ダイナミック・モータースポーツ)と対峙することになる。
 
 しかし、やはりペースに勝るのは88号車でふたたびギャップを築いていくなかでみたびのフルコースイエロー、セーフティカー導入によってレース時間残り10分で再度貯金はゼロに。だが、残り3分で迎えたリスタート後もグーノンは落ち着いた走りでトップを守り切り88号車メルセデスにポール・トゥ・ウインをもたらした。


 2位は予選5番手の54号車ポルシェで、トップとは2.1秒差。3位には8番手グリッドからスタートし、着実にポジションを上げてきた“オーバーオール&スプリントカップ王者”の32号車アウディR8 LMS(チームWRT)が入り、1ポイント差でライバルのアイアン・リンクスを上回りエンデュランスカップのチームタイトルを獲得。トロフィーをまたひとつ増やすことに成功している。


 4位以下は63号車ランボルギーニ、4号車メルセデス、114号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(エミル・フレイ・レーシング)という着順となり、88号車組が優勝した場合には9位以内がタイトル獲得の条件となっていたアイアン・リンクスの51号車組は7位でフィニッシュ。この結果、ピエール・グイディ/レドガー/ニールセン組が4点差で88号車メルセデスのトリオを破り、エンデュランスカップのドライバー選手権タイトルを獲得した。


 富田竜一郎がチームWRT(31号車アウディR8 LMS)から参戦したシルバーカップでは、エミル・フレイ・レーシング(14号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo)がダブルタイトルを獲得。今ラウンドで総合12位/クラス2位表彰台を獲得した富田はドライバー選手権11位となったが、チームWRTはチームランキング2位となった。


 プロ・アマカップに参戦した濱口弘の19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(オレンジ1・FFFレーシングチーム)は最終戦を総合35位/クラス8位でフィニッシュした。ふたつのタイトルはスカイ・テンペスタ・レーシングのもとに渡り、濱口/フィル・キーン組はドライバー選手権4位に。チームはランキング3位で2021年シーズンを終えている。


 2022年のファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWSのシーズンカレンダーは、週末に行われたSROモータースポーツ・グループのカンファレンスによって明らかにされており、来季開幕戦は3月21〜22日のテストデイ(ポール・リカール)の3週間後、4月9〜10日にイタリア・モンツァで開催される予定だ。

トップチェッカーを受けるアッカASPの88号車メルセデスAMG GT3
ダイナミック・モータースポーツの54号車ポルシェ911 GT3 R
チームWRTの32号車アウディR8 LMS
ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのエンデュランスカップ王者となったアレッサンドロ・ピエール・グイディ(アイアン・リンクス)
最終戦バルセロナを制したアッカASPのドライバーたち。左からフェリペ・フラガ、ジュール・グーノン、ラファエル・マルチェッロ
チームWRTは今季のシリーズで5つのタイトルを獲得した
シルバーカップでエンデュランスカップのダブルタイトルを獲得したエミル・フレイ・レーシング
プロ・アマクラスでエンデュランスカップのタイトルを勝ち取ったスカイ・テンペスタ・レーシング
2021ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ エンデュランスカップ最終スタンディングス
2021ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ オーバーオール最終スタンディングス

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