主将リーチは「鬼になる」。運命のスコットランド戦、奇跡は再びあるか

10月13日(日)11時15分 Sportiva

 台風の影響で試合中止も心配されたが、10月13日、ラグビーワールドカップで躍進を見せている「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)」日本代表(世界ランキング8位)が、ついに予選プール最終戦を迎える。対戦相手は、前回大会で唯一敗れた因縁の伝統チーム、スコットランド代表(同9位)だ。


スコットランド代表戦を目前に控え、意気込みを語るリーチ

 過去の対戦成績は日本代表の1勝9敗で、互いにテストマッチと認めた試合は0勝7敗。当然、ワールドカップでスコットランド代表に勝利したことはない。

 10月12日時点、サモア代表に勝ったアイルランド代表が勝ち点16で予選プール首位に立ったものの、日本代表は1試合を残して勝ち点14で2位、スコットランド代表は勝ち点10で3位と、日本代表が有利な立場は変わらない。なぜなら、日本代表は負けても決勝トーナメントに進出できる可能性を残しており、引き分け(勝ち点2)以上なら文句なしに1位で決勝トーナメント進出、そして悲願のワールドカップベスト8進出が決まるからだ。

 司令塔のSO(スタンドオフ)田村優(キヤノン)が「僕らの決勝戦」と言うほどの大一番。日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、サモア代表戦から先発4人を交替させた。

 HO(フッカー)堀江翔太(パナソニック)、LO(ロック)トンプソン ルーク(近鉄)といった頼れるベテランFWふたりを先発させ、BKにはトンガ出身のFB(フルバック)ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)、そして2試合連続トライ中のWTB(ウィング)福岡堅樹(パナソニック)を今大会初めて先発に起用した。

「トゥポウに関しては、思い切って(ハイボールとタックルに強い)実力を発揮してほしい。福岡は(コンディションが)ベストだから起用した。”フェラーリ”のように絶好調でなければ使えないが、彼は今、絶好調です」(ジョセフHC)

 一方で、サモア代表戦でプレイヤーオブザマッチに選出されたWTBレメキ ロマノ ラヴァ(ホンダ)と、突破力に長けたNo.8(ナンバーエイト)アマナキ・レレィ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)のふたりはメンバー外となった。

 マフィの落選は予想外だった。アイルランド代表戦でケガを負ったマフィよりも、サモア代表戦で出色の出来を見せた姫野のほうがいいと判断したのだろう。

 スコットランド代表には世界的キッカーのSH(スクラフハーフ)グレイグ・レイドローがおり、LO陣の体格も大きく、モールからのトライを大きな得点源としている。スクラムなどでの反則からPG(ペナルティゴール)を奪われるのは避けたいところだ。

 ロシア代表戦で5回、アイルランド代表戦で6回だった日本代表の反則数は、サモア代表戦では10回と多かった。スコットランド代表戦に向けた練習では、SH流大(ながれ・ゆたか/サントリー)が規律面を常に指摘してきたと言う。反則を抑えることで失点を少なくし、接戦に持ち込みたい。

 ゲームキャプテンには、チームのスキッパーであるFL(フランカー)リーチ マイケル(東芝)が戻ってきた。指揮官は「次の試合では、彼が最もリーダーとしてふさわしい。調子が戻ってきた」と語る。

「このチームが勝つには、キャプテンが最強でなきゃいけない。先頭に立って引っ張れるようになってきた。ボールを持ったら必ず前に出る。ディフェンスでは身体を張る」(リーチ)

 また、スコットランド代表戦のレフェリーがニュージーランド人のベン・オキーフであることも、ゲームキャプテンにニュージーランド出身のリーチを選んだ理由のひとつであろう。

 試合前の会見では、選手もコーチも戦術面の詳細に関して口を割らなかった。ただ、ジョセフHCは「スコットランド代表には経験値の高い選手が揃っているので、空中でのプレッシャーやモールでのフィジカルに力を入れてくるだろう」と話した。

 キックを交えて戦ってくる「攻撃ラグビー」のスコットランド代表に対し、日本代表としてはなるべく相手に攻められる時間を減らしたい。アイルランド代表戦のように、ボールをキープする時間を多くするはずだ。ただ、台風の影響でグラウンドが濡れている可能性が高く、流や田村のキックを賢く使って、最後は決定力のあるWTB松島幸太朗(サントリー)や福岡にボールを集めたい。

 スコットランド代表は、控え組中心で快勝(61−0)したロシア代表戦からメンバーを12人も交替させてくる。34−0で勝利したサモア代表戦と先発13人が同じで、レイドローを筆頭にSOフィン・ラッセル、FBスチュアート・ホッグ、LOグラント・ギルクリスト、LOジョニー・グレイといった主力が先発出場する。

「日本はすばらしいチームなので、非常にいいプレーをしないと勝てない。ただ、私たちが日本代表に8点以上の差をつけて(勝てば)、準々決勝への切符を手にすることができる、またとないチャンスだ」

 スコットランド代表を率いるグレガー・タウンゼントHCがそう語気を強めると、ゲームを牽引する司令塔のふたりも日本代表を警戒した。

「日本代表は、私たちが日本で連勝した2016年から非常に進歩しました。試合を見れば、その成長の幅がわかります。アイルランド代表のようなチームを倒すことは、まぐれではない。セットプレー、アタックもディフェンスも向上している」(レイドロー)

「No.8(姫野)はすばらしいし、(開幕戦で)ハットトリックを達成したWTB(松島)、13番(ラファエレ ティモシー/神戸製鋼)もアタックがすごくいい。FWも強くてパワフル。彼らは個々にXファクター(特殊能力)を持っている」(ラッセル)

 日本代表が開幕3連勝を成し遂げた大きな要因は、FWの抜きん出た運動量、90%を超えるタックル成功率、そしてスクラムやラインアウトといったセットプレーの安定にあることは明白である。日本代表とスコットランド代表はお互いにカラーの似たチームであるだけに、FWの出来が勝敗を大きく左右することになろう。

「(予選プール)最後の試合でティア1(世界の上位10チーム)に勝つためには、優しい気持ちは必要ない。ティア1に勝つには、鬼にならないといけない。(スコットランド代表を)ボコりたい」

 キャプテンのリーチは、強い言葉で闘志を前面に押し出した。

 世界3位の南アフリカ代表を倒した「ブライトンの奇跡」から4年——。日本代表は「静岡の衝撃」で再び世界2位のアイルランド代表から大金星を挙げ、世界のラグビーファンを驚かせた。次はスコットランド代表に勝利して初のベスト8を達成し、「横浜の歓喜」をファンと一緒に味わいたい。

Sportiva

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