渋野日向子に「大きな成長」。海外6試合で青木翔コーチが認めたこと

10月13日(火)17時10分 Sportiva

 8月のスコットランド女子オープンを皮切りに、海外ツアーを転戦してきた渋野日向子が、この遠征の最後の試合となる海外メジャー、KPMG全米女子プロ選手権(10月8日〜10月11日/ペンシルベニア州)に挑んだ。

 前週のショップライト・クラシックを終えた時点で、渋野は「あと1試合、いろいろ勉強して、いい気持ちで(日本に)帰りたい」と話していた。"いい気持ち"で帰国の途についたかどうかはわからないが、ここまでの海外での5試合と同じく、厳しい戦いを強いられ、"いろいろ勉強"したことは間違いないだろう。

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 渋野自身、大会前から苦戦することは覚悟していた。練習ラウンドを終えると、やや表情を硬くしてこう語っていた。

「アメリカに来て、一番難しい(コース)。

(これまでとは)比べものにならない難しさだなというのは、昨日(の練習ラウンド)のスタートホールに立った時点でわかりました。相当厳しい戦いになるかな、と。セカンドの距離がかなり残ってしまうことが多くて。ウッドを持ったり、ユーティリティーを持ったり......、(短いところでも)ロングアイアンなので。バーディーを多く取れるコースではないな、と思いました。

 メジャーだからって、他の試合と(試合に臨む)気持ち的には変わらないと前回(の試合あとで)言ったと思うんですけど、実際にコースに来てみたら(他とは)ちょっと違って。すごく気持ちを引き締めさせられたというか、かなり気を張ってやらなきゃいけないな、と。シビアなパットも残ると思うので、耐える戦いになるなと思いました」

 そのとおり、渋野はメジャー設定の難コースに苦しめられた。結果は、4日間通算11オーバー、58位タイに終わった。


全米女子プロ選手権では58位タイに終わった渋野日向子

 それでも、初日は悪くなかった。5バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの「70」。首位と3打差の暫定13位タイと好スタートを決めた。

「(イーブンパーのラウンドも)12番で4パットをやっちゃったけん。ふふふ......笑いも出んし、怒りもせんし、ただただ悲しいだけでした。でも今日は、昨年よく言われていた"バウンスバック"が久しぶりにできたので、すごくうれしかった。ティーショットもすごく飛んだりしていたので、これまでの試合の中で一番風と"お友だち"になれた。 毎ショット、毎ショット、自分の最大限の力を出すっていう回数も増えてきたかなと思いますし、4パットは打ったけど、今日(のラウンド)は楽しかったです」

 しかし2日目、さらに3日目と、渋野はまさに"メジャーの洗礼"を受けることになる。2日目は2バーディー、7ボギーの「75」。3日目は1バーディー、3ボギー、1ダブルパーの「76」と苦しんだ。決勝ラウンドには駒を進めたものの、3日目を終えて通算11オーバーまでスコアを落とし、順位は73位タイの最下位へと急落した。

「(2日目はインスタートの)13番のティーショットで、スプーンで右に曲げてしまって。あそこで、プチーンとなっちゃいました。ピンポジションが難しいなか、ショットが悪い分、取り返す方法が見つからなかったというか、気持ちも切れちゃって......。前半は、なかなか(気持ちを)切り替えられなかった。やっぱり、昨日(初日)よかった分、『今日もがんばらないと』と自分の中で思っていましたし、(順位が)上のほうでいられたので、その位置から『落ちたくない』という欲深いところもちょっとあったかな、と思います。

 攻めの気持ちと守る気持ちがごちゃごちゃしていたし、守るというより守りすぎているところもあった。パーを取ることに必死で。メジャーですから、難しいコースでやるんだろうなと思っていたんですけど、そこは予想以上でした。でも、こういうゴルフ場でのプレーは、日本ではなかなか経験できないこと。ですから、ラウンド中は(苦戦していても)『もっと簡単なコースがよかった』という思いはまったくなくて、このコースをどうやって攻略するのか、どうやってアンダーパーで回るのか、そういう考えしかなかったです。

(3日目は)2日目ほど頭にくることはなかった。むしろ(出だしの10番で「8」を叩いて)ちょっと呆然な感じだった。でも、その後は(気持ちを)切り替えながらやっていた。自分の中でも気持ちをコントロールしながらやっていたんですけど、結果には結びつくことはなかったですね。そう思うと、(今の自分のレベルは)気持ちのコントロールがどうこうの問題ではないな、と。

 この3日間(新たに)見つけるものしかなかったです。別に天狗になっていたわけじゃないけど、鼻をへし折られたというか。ここに来るまでは飛距離が必要だとすごく思っていたんですけど、飛距離どうこうの問題でもないな、と。飛距離以外のことでも、何打も縮められるということを、今回本当に実感した。日本に帰ってやることが、今までと変わってくるのかなと思います」

 迎えた最終日。渋野は意地を見せた。3バーディー、3ボギーの「70」。初日と同じイーブンパーで回って、「悔しい思いはたくさんしたけど、今日は一打、一打、悔いがないようにやったので、終わり方としてはよかったんじゃないかな」と言って、笑顔を見せた。

「(日本ツアーとの違いは)まずはピンポジション。『そんなところに切ってくるのか』というのが、日本ではなかなかない。まったく予想していないピン位置ばかりで、すごく厳しいセッティングというのは、こっちならではなのかなと感じた。

 もうひとつは、グリーン周りの難しさ。日本ではロブショットはそんなに必要ないけど、こっちでは必要になるシチュエーションが多い。いろいろと(ショットの)バリエーションを増やしていかないと。あと、芝だったり、ラフだったり、グリーンの芝だったり、もう全部ですね。すべてに関して日本では経験できないな、とすごく思いましたね」

 この一戦だけでも、多くのことを経験し、学んだ渋野。それを含めて、今回の海外遠征で体感し、体験したことがすべて、今後の糧になるに違いない。

「(アメリカでは)毎日、毎日が本当に悔しかった。自分のゴルフができて、悔いがない日がなかったので。そんななかで、(自分には)伸びしろしかないのが、すごく実感できている。今回は、悔しいというより、手に負えないというか、今の自分のレベルでは『無理だな』というのを、本当に痛感しましたから。

 来年、再来年と、もっと難しいところでやるとなったら、もっとレベルをあげないといけないけど、それまでに時間はまだある。そんなにすぐに(ゴルフを)やめるわけでもないので、ゴルフと向き合う時間はたくさんある。練習する時間もまだまだあるので、(自らを)どんどん伸ばせられるなと思っています。これからの自分に楽しみがある。

 日本の試合ではまだ予選を通過していないので、しっかり通過して、この6試合で見つけたもの、課題を、日本でできるようにして、上位争いができるように戦いたい。そうして、次の全米女子オープン(12月10日〜13日/テキサス州)には、自分でやり切った、練習し切ったぐらいの準備をして臨めるようにしたい」

 また、海外での戦いぶりを間近で見守ってきた青木翔コーチは、今回の遠征による渋野の成長についてこう語った。

「アメリカでは順位はあまりよくなかったですけど、4試合とも予選を通れているので、僕的には結果としては十分だったかなと思います。そのうえで、アメリカで試合をやりながら、いろいろなことを自分で『こうやりたい。ああやりたい』っていうのが出てきていると思うんですよね。それを、自分で一生懸命考えながらやっているのが、今までにはなかった感じ。『青木さん、どうしたらいいですか』っていう子だったので、そこはひとつ、大きな成長じゃないですか」

 こうして、イギリス、アメリカでの"武者修行"を終えて、渋野はまもなく日本ツアーに復帰する。ただその前に、「(日本に帰ったら)お母さんのご飯がすごく食べたい。寿司と焼肉が食べたい。自分の布団で寝たい。目覚ましをかけないで寝たい」という彼女には、心身ともにリフレッシュする時間が必要だろう。

 そんな束の間の休息を経て、彼女は再び戦いの舞台に戻ってくる。その姿を、多くのファンが待っている。

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