日本代表の豪州戦の課題をスペインの慧眼が指摘。「前がかりになった罪」と評したプレーとは?

10月15日(金)16時50分 Sportiva

カタールW杯アジア最終予選特集

「まず、森保一監督が選択した戦術と、それを運用した日本代表選手たちを高く評価したい」

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 スペインの慧眼、ミケル・エチャリは日本がオーストラリアをホームで2−1と下した戦いをそう振り返っている。

 エチャリは、2010年南アフリカW杯では、日本がアンカーを起用することでグループリーグ突破を提唱。2014年ブラジルW杯では「過度の攻撃への自信」に警鐘を鳴らしていた。そして2018年ロシアW杯では、悲観論が渦巻くなか、日本人選手のスピード、技術、コンビネーションを高く評価し、建設的な議論を展開している。そのアドバイスは逐一、的を射ていた。

「オーストラリア戦での戦術的な強度と精度はすばらしかった。ソリッドな攻守でプレーを安定させ、90分のなかでプレーを高めていた。判断が悪いシーンもあったが、多くのコンビネーションが生まれ、好機を作った」

 そう語るエチャリの森保ジャパンへの評価とは——。


オーストラリア戦の後半25分、FKで同点にされた日本代表
「日本は4−3−3(細かく見た場合は4−1−2−2−1となる)を採用していた。遠藤航をアンカーに起用し、田中碧、守田英正をインサイドハーフに起用した采配は的確だった。とりわけ遠藤、田中の2人はポジションを補完し合い、敵のパスコースを遮断し、味方のパスコースを作っていた。実際、パスカットした場面は多く、トランジションも迅速・円滑だった。

 トップの大迫勇也は中盤と近い距離を保ち、組み立てをサポート。セカンドアタッカーの伊東純也、南野拓実もサイドに張りつかず、攻撃ではインサイドでボールを受け、ダメージを与えていたし、守備でも相手センターバックのボールの出どころを封じていた。サイドでは右が酒井宏樹、伊東で攻守に圧倒、左も長友佑都が高い位置を取って起点を作っていた。

 戦術的に好感の持てるチームだった。技術レベルがもっと高い選手はいるはずだが、各選手がいいポジションを取っていたと言えるだろう。切り替えの意識も高く、プレッシングとリトリートでオーストラリアを上回っていた。日本の持ち味である組織力が際立った。

 8分の先制点は、論理的アプローチの結実だろう。鋭いプレッシングから敵陣でボールを奪うと、南野が左サイドを素早く持ち上がり、ファーに流れた田中が受け、右足で流し込んだ。

 サウジアラビア戦について、私は前線からのプレッシング強度の弱さについて指摘したが、改善されていた」

 そう語るエチャリは、森保ジャパンの戦術面に及第点を与える一方、問題点も指摘した。

「日本は、伊東、田中を筆頭に前線からの守備が充実していた。結果として、ソリッドな戦いになった。全体的に前がかりになった攻守が、功を奏していたのだ。

 しかし前半41分、課題とすべきシーンがあった。

 バックラインから左サイド高い位置にいた長友にロングボールが蹴り込まれる。これがあっさり相手右サイドバックにクリアされ、長友の背後にいた選手につながった。これに対し、冨安健洋がスライドでカバーに入ろうとしたが、距離が離れていたことで躊躇した。その一瞬、背後にパスが出され、ポジション的、数的不利で持ち込まれている。

 失点しなかったのはGK権田修一の好セーブのおかげで、僥倖と言える。
 
 対面する敵への寄せは、相手がボールを持つ体勢や他の味方のポジションで、その都度、決まるものだ。この場面、冨安はチームのやり方を順守したのだろうが、危険を冒すべきではなかった。長友のポジションも冨安のトライも、前がかりになった罪だ」

 そしてエチャリは、このピンチが後半25分の同点劇への伏線だったと説明した。

「日本は引き続きプレッシングからリズムを作っていたが、同点にされた場面では裏目に出ることになった。

 左サイドでボールを持たれた時、長友が、敵陣にもかかわらず、前を塞ぎに走った。南野がセンターバックを、守田がアンカーを封じた集団的プレスだとしても、タイミングが完全に遅れていた。そして背後にボールを出され、カバーはいなかった。

 冨安はスライドしてカバーするには距離が離れすぎ、マーカーも捨てなければならい。前半のピンチも思い浮かんだに違いない。結局、遠藤がカバーに行くが、間に合わなかった。マイナスのクロスに対して守田がタックルし、一度はPK判定がVARで覆るも、FKを叩き込また。

 戦術的破綻が失点の原因だった。難しいハンドリングだが、プレッシングはすべてを解決するわけではないと、肝に銘じるべきだろう。ポジション的不利を生み出さないように、正しく適用することが肝心だ。

 ちなみに、守田のファウル自体は責められない。ただ、失点後は明らかにプレー精度がダウンした。気持ちの問題か、無理なファウルもあったし、判断が悪くなっていた。

 終盤、日本が決勝点を決めたのは必然だろう。オーストラリアがラインを上げようとし、組織が崩れたことで、スペースを得た日本はペースを握った。最後は吉田麻也の長いボールを左サイドで浅野拓磨がコントロールし、ディフェンスに当たったシュートがGKを惑わし、弾かれたボールはオウンゴールになった。最後は戦力差が出た」

 エチャリはそう言って、11月シリーズに向けてこう締めくくった。

「日本はカタールW杯出場権を手にするだろう。オーストラリア戦は9月の試合と比べて改善点があった。細部を突き詰めることで、チームは成長するはずだ」


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