F1日本GP技術解説(2):フェラーリよりもコンパクトにまとめたホンダ製バッテリー

2018年10月16日(火)13時0分 AUTOSPORT web

 F1の開発はとどまるところをしらず、毎グランプリ、新しいパーツが導入されている。F1iのテクニカルエキスパート、ニコラス・カーペンティアーズが日本GPで展示されたホンダパワー製ユニットのバッテリーを紹介、分析する。


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 F1第17戦日本GPの鈴鹿で展示されたパワーユニット『RA618H』だけでなく、ホンダ製パワーユニットのバッテリーも要注目だった。特筆すべきは、そのコンパクトさである。フェラーリSF71Hに搭載されているものと見比べると、いかに小さいかがよくわかる。

フェラーリ製バッテリー


 6月の第7戦カナダでのスペック2に続き、第16戦ロシアで投入したスペック3は、パワーの増大には確かに成功したようだったが、問題も出ていた。ホンダの得意分野だったはずのドライバビリティに、ドライバーの不満が集中したのだ。トルクの駆動系への伝わり方が、時に唐突かつ乱暴だった。それもあってロシアGPでの予選レースは、旧バージョンに戻すことを強いられた。


 翌週に迫った地元日本GPに再投入するべく、ホンダは日本とイギリスの両ファクトリーで、最適なマッピングを模索し続けた。ある一定の周波数域で異常振動が発生するオシレーション(共振)症状を、何とか解消しようとしたのだ。しかし鈴鹿では予選当日のフリー走行にいたっても、ガスリーは「シフトアップの際に、依然としてオシレーションが出る」と訴えていた。


 そのため予選本番では、スペック3本来の性能を発揮するアグレッシブなパワーモードを封印して走らざるをえなかった。ホンダは予選後にFIAにマッピング変更を申請し、いったんは承認される。しかしレース直前のグリッド上で、変更申請は公式に却下された。


 それもあって鈴鹿決勝レースでのトロロッソ・ホンダは、満足な結果を残すことができなかった。しかしスペック3の性能向上は、2台揃ってQ3に進出したことも見ても間違いない。一方でオシレーションの問題は、「まだ完全には解消し切れていない」と、田辺豊治テクニカルディレクターは日本GP直後に言明していた。


「共振だけでなく、低回転域でのトルク配分にもまだ改良すべき点は多い。次戦アメリカGPまでに、十分に改善して行くつもりです」


 ホンダ製パワーユニットの最新仕様はまだ信頼性において完璧なレベルになく、パワーにしてもようやくルノーを超えたかどうかというところだ。しかし今季トロロッソと組んでからのホンダは、不必要なプレッシャーから開放されたからか、あるいはこれまでの過ちから多くを学んだからか、のびのびと我が道を進んでいるように見える。


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