仁志敏久が巨人・原采配を称賛「大味に見えていろんな策を練ってる」

10月16日(水)6時30分 Sportiva


「丸の加入で坂本の負担が減った」と仁志氏

 巨人がクライマックスシリーズを突破し、いよいよ日本シリーズに挑む。4年ぶりに原辰徳が監督に復帰し、広島から丸佳浩も獲得して臨んだ不退転のシーズンで、ここまでの結果を出した巨人。強さの秘密は何だったのか。1996年から11年間巨人に在籍し、3度のセ・リーグ制覇に貢献した、仁志敏久氏に話を聞いた。

——巨人はここ4年間優勝から遠ざかっていました。今シーズンは勝負の年と位置づけて挑み、見事結果を出しました。リーグ優勝、そしてクライマックスシリーズ突破の要因はどんなところにあったのでしょうか?

仁志 やはり広島から丸が入ったことが、打線の上ではかなり大きなウェートを占めていました。これまで坂本(勇人)に掛かっていた負担が大きかったように思います。それが丸の加入により、坂本が一人で背負う量が減ったということですね。それによって、坂本がより良い感情を持ってプレーできたんじゃないでしょうか。それが打線の好調につながったと思います。

——今年は、セ・リーグ全体として連勝、連敗の多いシーズンでした。巨人も例外ではなかったのですが、どんな要因があるのでしょうか。

仁志 野球の内容が変わってきていることが原因かもしれませんね。昔みたいにバントやスクイズなどをして策を講じる野球が、かなり少なくなってきている印象があります。今はピッチャーがいかに抑えるか、バッターがいかに打つかと、よりシンプルになりました。そんなシンプルな野球になると、一度打ち出すと連打になって、バッターはヒッティングしか考えなくなります。逆に打てなくなってしまったら、連鎖反応でパタッと打てなくなってしまう傾向があります。負けているチームは、そこで策を講じない。だから逆転が難しくなりますし、連敗も止まらなくなる。そんな現実があるからかなと思いますね。

——巨人がそのなかから抜け出せたのは、他の球団と何が違ったのでしょうか?

仁志 全体的な実力で言ったら、上位に食い込むようなチームと大きな差はなかったと思います。一つ言えるのは、巨人は原監督の考える野球が、大味に見えて、実はいろんな策を練ったものだったということです。ランナーが出たらまずはヒッティングを考える、ただそれだけの野球ではなかったですよね。ダブルスチールをやったり、スクイズをやったり、結果的にそういう策を講じたことが、取りこぼしが少なかった要因かなと思いますね。

 原監督は巨人を率いるのが3回目ですし、いろんな選手たち、チームを見てきて、野球を違った角度から見られるんだと思います。現代風な考え方を持ちつつも、昔ながらの相手の隙を突く野球も忘れていません。こういうシンプルな野球の時代だからこそ、つけ入る隙が見つかったんだと思います。

——巨人の投手は山口俊菅野智之の2枚看板で、今年は特に山口の出来が抜群に良かったですが、どんなところが変わったんでしょうか。

仁志 山口はコントロールが良くなりましたね。変化球、真っすぐ、どちらも良かったです。巨人移籍後のこれまではなかなか結果が出ませんでしたが、ボールに力があるのはわかっていました。今年は体のコンディションが良かったのも好調の要因だと思います。今は落ち着いて投げられていますね。

——岡本和真は4番から外された時期もありましたが、最終的には復調してきました。彼は将来チームを背負って立つ逸材になるのでしょうか。

仁志 そうなってほしいですね。日本人のホームランバッターはどのチームもかなり減ってきています。特に右バッター。その意味ではすごく貴重ですね。岡本の今年の成績(※)が良くないという人が結構いますが、そんなに悪いわけではないんです。去年が良すぎただけで、去年以上のことをずっとやっていかなくてはいけないと思うと、それはもう超スーパースターになってしまいます。相手だって「どうぞ打ってください」というわけにはいかないですからね。

※今シーズンは打率.265、31本塁打、94打点を記録。昨シーズンはプロ野球最年少で打率3割(.309)、30本塁打(33本)、100打点を達成

——巨人は5年前のリーグ優勝時よりも先発メンバーの平均年齢が30.3歳から27.7歳に若返りました。年齢から考えて、この強さは今後も続いていくのでしょうか。

仁志 今年は亀井(善行)が良かったと思っていますが、その亀井が37歳。今後のことを考えると、坂本、丸、岡本の3人が主軸になってきます。たださすがに3人でチームを引っ張っていくのは厳しいと思います。亀井のような1番バッターがいなければ、坂本、丸が生きないし、生かされない。4番の岡本の後ろもそう。いくら原監督が上手に選手をやりくりしたとしても、足りないところが出てきてしまうと思います。

——そう考えると、やはり来シーズンも巨人を含めセ・リーグは予想のつかない展開が続いていくということでしょうか。

仁志 そうですね。巨人の来シーズンを予想するのは難しいですね。今シーズンは戦力として巨人が圧倒していたわけではなく、順風満帆でもなかったなかで、最後は大きく差(2位と5.5ゲーム差)が開きました。もう少し他のチームが頑張らないといけなかったと思います。

 この状況を打開しようと、他のチームはすでに動き出していますよね。丸が抜けて順位を落とした広島は、監督を変えて来シーズンに向けて新たなスタートを切りました。他のチームも同様に選手を強化して臨むでしょうから、そう簡単に巨人は連覇できないと思いますよ。

プロフィール
にし・としひさ 1971年10月4日生まれ、茨城県出身。常総学院高では夏の甲子園に3年連続で出場。卒業後は早稲田大、日本生命へと進み、96年に巨人に入団。強打の内野手として活躍し、1年目で新人王を獲得。その後ゴールデングラブ賞4回、日本シリーズ最優秀選手など数々のタイトルに輝いた。2007年に横浜ベイスターズに移籍したのち、10年にアメリカ独立リーグへ移籍するも、同年ケガにより引退した。2014年より侍ジャパンU-12監督を務める

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