アーセナル女子&なでしこジャパン岩渕真奈の魅力はこれだ!
2022年10月17日(月)18時0分 FOOTBALL TRIBE
イングランドのFA女子スーパーリーグ、アーセナル・ウィメンに所属するFWプレイヤー岩渕真奈(いわぶち・まな)。昨2021/22シーズンをリーグ2位で終え、2022/23シーズンも3連勝で好スタートを切ったアーセナル・ウィメンだが、3月に4-2で勝利したバーミンガム・シティ・レディース戦では、岩渕が抜群のアシストプレーを華麗に披露して注目を浴びた。
なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)のFWとしても2010年から現在まで数多くの闘いを経験している岩渕は、今後世界でも大注目のプレイヤーだ。この記事では、初めての方にも岩渕の魅力をお届けできるよう、腕まくりをして解説していく。最後までお付き合い願えたら幸いだ。
華々しい経歴のスタート
1993年生まれの現在29歳、東京都武蔵野市出身の岩渕。サッカーに興味を持ち始めたのは、なんと幼稚園時代。その頃からボールとの触れ合いがスタートする。小学校2年生になると、同じくサッカー選手である兄の岩渕良太(藤枝MYFC)が所属していたサッカークラブ(関前SC)に参加。当時クラブ初の女子選手となった。
2005年の中学校進学のタイミングで、日テレ・東京ヴェルディベレーザ(WEリーグ)の下部組織であある日テレ・東京ヴェルディメニーナに入団し、まもなくの2007年にベレーザに2種登録。同年、なでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)初出場を果たして、翌年リーグ新人賞を受賞するなど鮮烈なスタートを切った。
日本代表としても、2008年にはU-17女子ワールドカップのメンバーに選出され、アジア年間最優秀女子ユース選手賞を見事受賞。他国の監督からもプレーの質の高さを大絶賛される。2011年のFIFA女子W杯ドイツ大会にはチーム最年少(18歳)で出場し初優勝に貢献するなどし、その後も数々の大会に引っ張りだこ状態が続いた。
海外でも続く「挑戦」
2012年11月に、岩渕は初の海外移籍を決意。ドイツの女子サッカー・ブンデスリーガのホッフェンハイム(当時2部)と契約を結び、30出場10得点の結果で同クラブを1部へと導くことができた。
2014年5月には、同リーグのバイエルン・ミュンヘンへ移籍。しかしながら、年毎とも言えるほど多くの怪我に見舞われてしまい、出場機会を逃してしまう状況に。その悪循環に対して岩渕は正面から向き合い、先を考えると一度日本に帰国を決意するべきと決断し、2017年3月にやむなく帰国している。
日本にて怪我の治療に専念したのち、同年9月にINAC神戸レオネッサのメンバーとしてピッチに登場!見事、復活を遂げた。
そして2020年世界中がコロナ騒動の最中、再び一大決心をした岩渕は、12月にイングランドのFA女子スーパーリーグ、アストン・ビラ・ウィメンと契約し、人生で2度目の海外移籍に挑戦をする。ドイツ時代に経験したサッカーのプレースタイルとの大きな違いに圧倒されつつも、監督や周囲のメンバーとの関係構築や、言語の壁を少しずつ乗り越えていく。
その結果「アストン・ビラにはマナがいなくてはならない」という声も上がるほど、周囲からの期待を感じられるようになっていった。13試合出場2得点の成果をあげ、2021年5月に現在のアーセナル・ウィメンと契約を結ぶことになる。
小学校2年生から現在までの怒涛の数十年間を、休む暇もなくサッカーと共に歩んできた岩渕。決してスムーズとは言えない状況にも果敢に立ち向かい、着実に歩んできている姿勢は、彼女の後輩たちを含め周囲の人々に非常に魅力的に映るだろう。この「挑戦し続ける強さ」こそが、岩渕の最大の魅力と言える。
過去の栄光よりも先の未来に
前述の2011年FIFA女子W杯ドイツ大会で、日本代表の一員としてチャンピオンの栄光を手に入れた岩渕。当時、彼女はまだ18歳という若さもあり、まずは本人が「楽しくサッカーをする」ことを第一優先に自分らしくプレーをしていた。
しかし、その後サッカーの聖地イングランドに渡ると、岩渕のサッカーに対する考えに変化が見られるようになる。トップクラブに所属をしたからには、自分自身の責任としてチームをいかに勝利に導くのか?といった考え方や、女子サッカー全体の将来についてなど視野が一気に拡大し、周囲に対する想いが強くなったようだ。
さまざまなメディアインタビューで語られてきた「岩渕真奈流の思考」。それは、過去の栄光よりも先の未来に着目すること。そして未来を見据えた時に、現在の自分自身に必要な能力は何かを分析し、現実を受け止めるということ。これはそのまま彼女の魅力として言い換えることができる。今を受け止められる勇気とオープンさがあり、立ち止まらずに先へ進んで行ける人物だ。
イングランドでの生活スタイル
岩渕と同じイングランドの地には、お馴染みのプレミアリーグ、アーセナル所属のDF冨安健洋らがいる。休みの日には大抵行動を共にしている仲良しのMF長谷川唯(マンチェスター・シティ・ウィメンズ所属)、そして2022年8月にウェストハム・ユナイテッド・ウィメンに移籍を果たしたDF清水梨紗など、その他にも多くの日本人選手が在住している。
たとえサッカープレイヤーではなくとも、最初は誰もが日本から遠く離れた土地で、文化の違いや言語の壁などが不安や心配事になることは付き物だ。しかし、同じ日本人の仲間が近くにいるというだけでお互いの強い支えとなっているようだ。
休みの日には、長谷川とお気に入りのカフェに出かけて、目一杯の女子トークでリラックスした時間を過ごしたり、29歳の誕生日に冨安らにお祝いをしてもらったり等、イングランドの生活スタイルが徐々に馴染んできている様子が岩渕のSNSで伺える。
さまざまな苦難を乗り越え、恐れずに前へと突き進む魅力。そんな魅力あふれる岩渕真奈から今後もますます、目が離せなくなりそうだ。