快進撃のウディネーゼが3位ラツィオのパスワークも封殺。好調の要因は【試合分析】

2022年10月17日(月)21時7分 FOOTBALL TRIBE

フェリペ・アンデルソン(左)ワラシ(右)写真:Getty Images

2022/23シーズンのセリエA第10節が10月16日(日本時間)に行われ、ラツィオとウディネーゼが0-0で引き分けた。


第9節終了時点で同リーグ4位と、快進撃を続けているウディネーゼ。第8節スペツィア戦と第9節フィオレンティーナ戦で4ゴールずつを挙げた3位ラツィオの攻撃を、いかに封じ込めたのか。まずはこの点について分析する。




ラツィオvsウディネーゼのスターティングメンバー

ラツィオのパスワークのキーマンを封じる


自陣後方からショートパスを繋ぐ基本布陣[4-1-2-3]のラツィオに対し、ウディネーゼは[3-5-2]の守備隊形で応戦。


ジェラール・デウロフェウとベトの2トップが、ラツィオの中盤の底ダニーロ・カタルディへのパスコースを塞ぎながら、ニコロ・カザーレとアレッシオ・ロマニョーリの2センターバックに睨みをきかせる。ラツィオの左インサイドハーフ、マティアス・ベシーノにはラザール・サマルジッチが密着マークを行ったほか、右インサイドハーフのセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチにも、ジャン・ビクトル・マケンゴとワラシが適宜マークを受け渡しながら対応。中盤に降りてパスを受けようとしたラツィオの左ウイングFWマッティア・ザッカーニには、ロドリゴ・ベカンが最終ラインから飛び出す形で対抗した。


マンツーマン守備を織り交ぜたウディネーゼ

ラツィオのパスワークを敵陣や中盤で抑えきれなかった場面では、ロベルト・ペレイラとデスティニー・ウドジェの両ウイングバックが最終ラインに降り、[5-3-2]の隊形で自陣に撤退。メリハリのある守備でラツィオのパスワークを停滞させた。


ウディネーゼの守備が一瞬崩れたのが、ラツィオの右ウイングFWフェリペ・アンデルソンに最終ラインの背後を突かれ、GKマルコ・シルベストリ強襲のシュートを放たれた前半25分すぎの場面。ここではミリンコビッチ・サビッチが右のハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)に立ち、マヌエル・ラッザリからのパスを受け取り。ウディネーゼのDFネウエン・ペレスを釣り出したうえでアンデルソンにパスを送っている。


前半27分すぎにも、ミリンコビッチ・サビッチ自身がペレスの背後に走り込み、惜しいヘディングシュートを放つ。ウディネーゼにとっては肝を冷やした約2分間であり、ラツィオとしてはこの時間帯のチャンスを物にしたかった。


ウディネーゼ MFワラシ 写真:Getty Images

淀みのないビルドアップも披露


ウディネーゼの今季の躍進の要因は、堅固な守備だけではない。1999年から2003年まで同クラブでプレーし、今夏に指導者として舞い戻ったアンドレア・ソッティル監督のもとで、自陣後方からのパスワークにも磨きをかけている。


ビルドアップの起点となっているのは、5人の中盤の真ん中を務めるワラシ。この27歳のブラジル人MFが適宜最終ライン付近に降りると、3センターバックのうち誰かが中盤に上がる。この約束事が徹底されているため、相手チームにとってはプレッシングの的を絞りづらい。ワラシの流動的なポジショニングが、相手のハイプレスを封じている。


ラツィオ戦の前半12分すぎには、3センターバックのべカンとジャカ・ビヨルの間にワラシが降り、自陣後方からのパスワークに関与。この直後に同選手が自陣右サイドから中央へ素早く移動し、最終ラインからのパスルートを確保すると、ペレスからのリターンパスを受け、左サイドに浮き球を送る。これがウディネーゼのサイド攻撃に直結すると、マケンゴが敵陣ゴール前へクロスを送り、その後のこぼれ球からサマルジッチがクロスバー直撃のシュートを放っている。ソッティル監督仕込みの、ワラシを経由したビルドアップが威力を発揮した場面と言えるだろう。


ラツィオ FWフェリペ・アンデルソン 写真:Getty Images

後半39分30秒すぎの攻撃シーンで、相手のFWアンデルソンやザッカーニに最終ラインからワラシへのパスコースを塞がれたものの、自陣後方でボールを受けたペレスは前線へのロングパスを選択。このボールに途中出場のFWアイザック・サクセスがヘディングで反応すると、こぼれ球を拾ったペレイラからのパスをデウロフェウが受け、ペナルティエリア右隅からシュートを放っている。この一撃もクロスバーに当たった。


ワラシを経由できない場面でも、攻撃が手詰まりにならなかったウディネーゼ。前節のアタランタ戦でも、途中出場のサクセスが強靭な肉体を活かしたポストプレーで攻撃のタメを作り、試合の主導権を手繰り寄せたことが2点ビハインドからの同点劇に繋がっている。


空中戦のみならず、相手最終ラインの背後へのランニングも献身的なベト、軽快なボールタッチで密集地帯を攻略でき、高精度のミドルシュートやプレースキックも売り物のデウロフェウなど、今のウディネーゼには多様かつ質の高いアタッカーが勢ぞろい。ソッティル監督によって遅攻も速攻も整えられた同クラブは、今季のリーグ戦で既にローマやインテルを粉砕しているほか、智将マウリツィオ・サッリ擁するラツィオ相手にも、ひけをとらない戦いぶりを見せた。


今節の引き分けにより順位を下げてしまったものの、首位ナポリとの勝ち点差は5と、依然としてセリエA優勝や来季のUEFAチャンピオンズリーグ出場権を狙える位置につけている。11月12日のナポリとの直接対決(セリエA第15節)に向け、攻守の練度を更に高められるか。今後はこの点に注目したい。

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