王国静岡の危機!J1清水エスパルスとジュビロ磐田の2022シーズンここまで

2022年10月17日(月)14時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

サッカー王国静岡に危機が訪れている。静岡には明治安田生命J1リーグからJ3リーグまでに所属する4つのクラブがあり、JFLまで含めれば5つもの多くのクラブチームが存在している。高校サッカーにおいても静岡学園高等学校をはじめ強豪校が多く、数多くのプロ選手そして日本代表選手を輩出してきた。


そんな日本でも指折りのサッカーどころ静岡だが、来2023シーズンは日本におけるトップカテゴリーのJ1リーグにクラブがいなくなる可能性が出てきた。今2022シーズンJ1に所属している静岡県勢は清水エスパルスとジュビロ磐田だが、リーグも終盤を迎える中、現時点この2クラブが自動降格圏(17位と18位)に沈んでいる。残り3試合は決して取りこぼしが許されない状況だ。


ここでは、J1リーグで苦しい状況にある清水と磐田両クラブの2022シーズンここまでを振り返る。




ジュビロ磐田 MF鈴木雄斗 写真:Getty Images

2022シーズンJ1での現在地(10月17日時点)


清水エスパルス:17位


  • 勝ち点:32(7勝11分13敗)
  • 得失点差:-8
  • 残りの対戦カード:ジュビロ磐田、鹿島アントラーズ、北海道コンサドーレ札幌

ジュビロ磐田:18位


  • 勝ち点:28(6勝10分15敗)
  • 得失点差:-23
  • 残りの対戦カード:清水エスパルス、ガンバ大阪、京都サンガ



清水エスパルス FWチアゴ・サンタナ 写真:Getty Images

不穏な雰囲気漂うシーズン開幕前


2022シーズン開幕前、清水と磐田はいずれも良い状態とは言えなかった。


清水は前年ほどの大型補強こそなかったが、かつての背番号「10」白崎凌兵をはじめ即戦力を中心に補強。盤石の体制での開幕が期待された。しかし2021シーズンのチーム得点王であるチアゴ・サンタナをはじめ、主力選手の戦線離脱によりいきなり窮地に立たされることとなった。


磐田では、オフシーズンに2021年のJ2得点王でありJ1昇格の立役者であるルキアンがアビスパ福岡へ移籍。元日本代表の杉本健勇ら複数の攻撃的な選手を補強したが、エースの移籍にチームが不安を抱えたのは間違いないだろう。なにより、チーム力向上のための補強ではなく、穴埋めに奔走した結果の補強になってしまったことが残念でならない。




元清水エスパルス 平岡宏章監督 写真:Getty Images

いまいち乗り切れないシーズン序盤戦


清水は1勝1分けで2022シーズンをスタート。主力不在という状況下を考慮すれば合格点と言えるだろう。しかし、3月と4月は勝利を挙げることができず、8戦未勝利と苦戦が続いた。5月に入り湘南ベルマーレ戦(5月3日)の大勝(4-1)もあったが、以降は再び勝てない試合が続き柏レイソル戦(5月29日)での敗戦(1-3)を最後に、前年チームを残留に導いた平岡宏章監督の解任が決定した。


一方の磐田は、第3節に前年J2優勝を争った京都サンガを相手に大勝(4-1)し、2022シーズンの初勝利を挙げた。しかし清水と同様、以降は未勝利の期間も長く、結果5月までに消化した16試合で勝利は3つのみと波に乗り切れない状況が続いた。


清水エスパルス ゼ・リカルド監督 写真:Getty Images

明暗が分かれたシーズン中盤戦


6月の中断期間を経て、清水と磐田両チームの状況は大きく変化した。


清水は新監督として招聘したゼ・リカルド監督のもと、初陣のアビスパ福岡戦(6月18日)で勝利。序盤戦の苦戦の影響もあり一時は最下位に転落するが、ホームで行われたサガン鳥栖戦(7月31日)を皮切りに5戦負けなし。8月は3勝1分の好成績で先への光が見えた夏となった。


磐田は、6月こそ負けなしで進むも7月は1勝4敗、8月も3敗と大きく負け越し、第21節以降は降格圏が定位置となってしまう。特に浦和レッズ戦(8月13日)ではホームで6失点を喫し、クラブは開幕から苦しいチームを鼓舞し続けた伊藤彰監督の交代を決断することとなった。




ジュビロ磐田 渋谷洋樹監督 写真:Getty Images

自動降格圏に沈むシーズン終盤戦


8月の好調から一気に上昇気流に乗るかに見えた清水。しかし、9月は悪夢の4試合となった。サンフレッチェ広島戦(9月3日)で相手が一人少なくなった状況からの2失点で敗戦すると、続く湘南戦(9月10日)は終了間際に同点弾を浴びドロー。続く福岡戦(9月17日)と川崎フロンターレ戦(10月8日)はいずれも打ち合いに敗れ、夏の貯金を一気に使い果たし17位の自動降格圏まで順位を落とした。清水にとっては勝ち点の積み上げができなかったことももちろんだが、一時改善が見られた守備面において、9月は4試合9失点と後退してしまったことが悔やまれる。


一方の磐田は、この終盤にきて最下位(18位)が定位置となっていた。しかし、柏戦(9月3日)セレッソ大阪戦(9月17日)鹿島戦(10月8日)と9月以降の上位陣との対戦で勝ち点を拾い、J1残留へ望みをつないでいた。さらに直近の首位横浜F・マリノス戦(10月12日)では、カウンターから奪った虎の子の1点を守り切り勝利。上に位置する残留争いのライバルたちを射程にとらえた。




ジュビロ磐田 FW金子翔太 写真:Getty Images

迎える残り3試合の展望は


清水と磐田の両チーム共に不本意な形で迎えた最終盤。残り3試合と負けが許されない状況の中、次戦(10月22日)に静岡ダービー(清水VS磐田)を迎えることは、運命めいたものを感じる。


残留争いをする他チームとの勝ち点差も少なく、両者の消化試合数も少ないことから、このダービーでの勝利は残留への大きな一歩となるだろう。数々の名勝負を繰り広げてきた王国静岡の名門、清水エスパルスとジュビロ磐田。この両チームが裏天王山で激突することは残念だが、いつも以上に絶対に負けられない白熱した試合を期待せずにはいられない。


その後の清水は、一時は首位にも立っていた鹿島(10月29日)と、残留争いのボーダーラインにいる札幌(11月5日)相手の2試合を残している。試合へのモチベーションという意味では清水の方が高いことも予想される。


一方の磐田は、ダービーを含めて全てが残留争いの直接対決となる(10月29日対G大阪、11月5日対京都)。直近3試合を無敗で来ているが、負けが許されない同士の試合となるだけに難しい試合展開が予想される。勝利が残留に直結する3試合になることも事実だ。


果たして清水、磐田の両クラブは、王国静岡の誇りを守りトップカテゴリーへの残留を勝ち取ることができるのか。残された試合は3つしかない。

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