年々レース数を増加するF1側の強気な姿勢の背景と弊害とは

10月18日(月)17時0分 ココカラネクスト

 国際自動車連盟が来季のF1暫定カレンダーを発表。史上最多の全23戦で開催されることが決まった。F1が世界選手権化されて初年度の1950年は米インディ500を含めて年間7戦で行われ、アイルトン・セナらが活躍した1990年前後は16戦で争われた。年々レース数が増えていくことからプレミアム感が薄まるのではないかと関係者の間で不満の声が挙がっている。

セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン提供)


 本欧州メディアなどによると、アストンマーティンの元4連覇王者・セバスチャン・ベッテル(ドイツ)は「グランプリの数を増やすと、それぞれの特別感や期待感が下がる」との私見を示し、「ほとんどのエンジニアやメカニックは家族や子供を持っている。移動もあるからこれでは家族と過ごす時間がない。仕事以外では普通の生活があってしかるべきだ」とした。

 1年は52週で、うち23週がF1のレースで割かれることになる。ドライバーは家族をパドックに連れてくることはできるが、チームの従業員はそれができない。以前からF1チームの現場スタッフに離婚が多いとささやかれていたが、それに拍車がかかる恐れもある。

 一方で23戦に増えることを歓迎する意見もある。開催数が増えることで放映権やレースプロモーションなどの収益が見込まれ、アルファタウリのフランツ・トスト代表も「23戦になることをわれわれ全員が喜ぶべきだと思う。もし嫌なら出て行けばいい」と語っている。

 モータースポーツでの他の世界選手権の年間開催数ははどうか。世界ラリー選手権は来季年間13戦で行われ、フォーミュラE世界選手権も新シーズンは12大会16戦が予定されている。二輪のモトGP世界選手権もレース数は増えているのだが、それでも来季は全21戦でF1には及ばない。

来季のF1暫定カレンダー(F1公式ホームページから)


 F1以上に過密スケジュールを組んでいるのが米NASCARカップシリーズだ。プレーオフを含めて年間36戦が2月から11月まで組まれ、レースのない週は6月に1度あるだけ。ただし、米国内を転戦するだけで、主催者やチームがチャーター飛行機を用意しており、レース後数時間で帰宅の途につける仕組みになっている。

 F1ではレース数の多さが新型コロナウイルス禍であだとなり、今季もカナダ、オーストラリア、中国、シンガポール、日本と開催中止が相次いだ。特に日本GPの場合は、直前のグランプリが1週前に組まれ、十分な自主隔離期間を取れない事態に直面。海外からのF1関係者の入国ビザが必ず発給される保証がなかったことなどから、昨年に続いて2年連続で開催を断念せざるを得なかった。

 来季もロシア、シンガポール、日本と3週連続開催。コロナ感染について一定の収束がみられず、入国緩和措置が講じられない場合は3年連続で中止となる恐れもある。防疫上の理由で開催が危ういグランプリについては事前に10日以上の間隔を空ける、もしくは開幕戦として設定するなどの配慮や措置が国際自動車連盟、F1運営会社の間で必要だったのではないか。

 鈴鹿サーキット側も2年連続中止となったことで多額の損失をこうむったはずだ。F1側の姿勢があまりに強気で、各グランプリの足元を見ているとしか思えないし、欧州とそれ以外の地でのコロナに対する温度差を感じざるを得ない。レースを詰め込みすぎていることの弊害を今ひとつ考えてもらいたい。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)



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